個人所有の蔵書表がなぜ古本屋に
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【タイトル】エクス・リブリスno.1
【制作】池田満寿夫
【制作年】1958年
樽本:池田満寿夫は古本屋の基礎知識のような人ですね。古本屋をやっていたら必ず出会う。
F:この本はインターネットでも検索しても一切情報が出てきませんでした。
樽本:ググってもわからないことがあるのっていいでしょ(笑)。
F:はい(笑)。これは一体どのような本なのでしょうか?
樽本:これは池田が制作した「蔵書表」です。なので本というよりかは、作品といった方が近いでしょう。1958年に制作されたモノなので、池田満寿夫が23歳の時とかなり初期の作品です。池田は画家や陶芸家、作家、映画監督など様々な顔を持ちますが、やはり売れる前の若い頃の作品が面白いですね。
蔵書表とは:その本の持ち主を明らかにするための小紙片
F:坂本さん、という人とのやりとりをした葉書もあります。
樽本:この蔵書表はここに載っている12人から依頼されて作ったんでしょう。元版も付いているので、実際に刷ることもできると思いますよ。著作権的に問題あるかもだけど(笑)。
F:実際に使っていた個人的なものが、50年以上経って古本屋に流れて着いているというのは不思議です。
樽本:これを持っていた人が古本屋に売り、訳あってウチが仕入れました。詳しいことは言えないんですが、これがうちにやって来るまでにドラマや歴史があるわけです。僕は、他人の家の本棚に差さっていた本を買うということは、同時にその人の生活を知ることで、顔も知らない誰かの生活を肯定してあげる行為だと思っています。「誰がこの本を売ったのか」は購入してくれたお客さんは知る由もありません。でも、僕だけはその本を売りにきた人がどんな顔だったのか、何を着ていたのか、どんな喋り方だったのかを知っています。僕にとって、それを知った上で販売をしていることに意味があるんです。「この本はこんなに大事にされてきたんだよ」と声に出して伝えることはありませんが、僕は知っている。それだけでいいんです。
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