Gaultier Paris by sacai オートクチュールコレクション
Image by: sacai
「Enfants Terribles(恐るべき子どもたち)」とは、まさにジャン=ポール・ゴルチエと阿部千登勢のこと。「Enfant Terrible(恐るべき子ども、ファッション界の悪童)」はゴルチエを表現する時に使われる言葉で、それを複数形にしてコラージュしたロゴのTシャツを、「Gaultier Paris by sacai」コレクションのフィナーレで阿部が着用していた。1年越しで実現したオートクチュールショーで、2人は何を見せたのか。
■最初のゲストデザイナーに阿部千登勢を抜擢
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ファッションデザイナーのジャン=ポール・ゴルチエは、2020年1月に発表したオートクチュールコレクションを最後にファッションデザイナーを引退。ゲストデザイナーを招聘する形でオートクチュールの継続を決め、初回として迎えたのが「サカイ」の阿部千登勢だ。本来は2020年7月にコレクションを発表する予定だったが、コロナの影響で2度にわたって延期したため、1年越しのコレクション披露となった。
ショーは7月7日、パリのゴルチエ本社で開催。コレクションはオンラインでも配信され、業界内外から注目を浴びた。
■アイコニックなアイテムを再構築
発表された31ルックは、ゴルチエのスピリットを称え象徴的なデザインを再構築し、サカイが得意とするハイブリッドの手法をふんだんに取り入れた。アーカイヴをそのまま用いるのではなく、一度壊して予想外の組み合わせを楽しむようなアプローチで、アバンギャルドなスタイルを提案している。
ファーストルックは、ドクター ウー(Dr. Woo)が手掛けたタトゥープリントのボディスーツに、透けるテニスストライプのシャツドレスを重ねたスタイル。コルセットは1983年にマドンナが着用したコーンブラを彷彿とさせる。
1994年にショーのランウェイでビョークが着用したJPGロゴのファー付きブルゾンや、タータンチェックのパンツといったアイコニックなアイテムに、阿部による新しい解釈とクチュール技術を注入。ヴィンテージジーンズを解体して縫い合わせたドレスには、同年のショーに登場したジャケットのレプリカを融合している。
テーラードジャケット、トレンチコート、ボンバージャケットなどは、サカイが普段からコレクションのベースとしている定番アイテム。今回は大胆にハサミを入れたり膨張させたり、繊細なチュールやコルセットと融合するなど、より自由で振り切ったアプローチによって唯一無二のドレススタイルに昇華させた。
ゴルチエのトレードマークであるブルトンストライプのトップスも登場。ブルーのラインをサテンからチュールにグラデーションさせるといった、クチュールならではの手の込んだ仕立てに遊び心が込められた。
ラスト2体の題材となったのは、2020年のラストショーでゴルチエが着用していたブルーのオーバーオール。イブニングガウンとパンツのアンサンブルに形を変えており、これはゴルチエの物語の終わりと始まりをつなげたものだという。
■ピエール・アルディのブーツとNIKEのスニーカー
コレクションのシューズデザイナーに起用したのは、阿部の友人であり長年のコラボレーターでもあるピエール・アルディ(Pierre Hardy)。レザー、メッシュ、デニム、ジャカードなど、コレクションのテーマを反映したオーバーステッチのブーツやサイハイブーツが、ドレスの力強さを引き立てた。
また「ナイキ(NIKE)」とのトリプルコラボとして、「ヴェイパーワッフル(Vaporwaffle)」をベースとしたスニーカーも登場し注目を浴びた。
■ショー翌日にカプセルコレクション発売
ショーの開催にともない、「Gaultier Paris by sacai」のカプセルコレクションを発表。コレクションとも連動するデザインのプレタポルテのウェアとフレグランスを、ショー翌日の7月8日に発売した。Tシャツは阿部が着用していたのと同じデザインで、「Enfants Terribles」が象徴的にプリントされている。
また、ランウェイにも登場した「ヴェイパーワッフル」は9月末の発売が予定されているが、それに先駆けてショーの直後に先行予約販売を実施。コレクションの話題性と相まって、早くも争奪戦となっている。
■Gaultier Paris by sacai:公式サイト
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