伊藤美恵のさらなる目標

　もう66歳にもなりますし、何度も「これが最後」と思って仕事を受けていますが、幸いにもたくさんの方から課題をいただくのでずっとエンドレスですね。ただ、時代の移り変わるスピードが早くて自分の今までの経験を活かすだけでは追い付かなくなってきています。アイデアとなる財産を貯めるより吐き出す方が多いんですよね。自分はまだまだこれからだと思っていますし、きっと死ぬまでやり尽くしたと思う事はないと思っています。そのためには、「常に魅力的な人間でありたい」という思いは変わりませんし、どこまで人間の器を大きくできるかは自分の最後の目標です。人間の器は誰が決めるものでもありませんから。アタッシェ・ドゥ・プレスに必要なのは、いつまでも新鮮でワクワクするといったような思いと夢を消費者に伝えていくことです。「ミーハー心」と「プロ魂」、これにつきますね。

ワグ代表取締役　エファップ・ジャポン学長 1944年　東京生まれ　山脇服飾美術学院（現：山脇美術専門学院）　卒業 1966年　株式会社花井入社。花井幸子氏のアシスタントとして、デザイン、ブティック経営を学ぶ。 1970年　独立し、青山にブランド＆ブティック「バズショップ」をオープン。 1981年　取引先の倒産に巻き込まれ、バズショップを解散。有限会社デザイン・オフィス・ミエを設立し、アパレル分野でのデザイン及びプロデュース活動を開始。 1985年　有限会社デザイン・オフィス・ミエ改め、株式会社ワグ設立 1988年　株式会社エラ設立。鉄道企業「ワゴン・リ」の紋章をブランドマークとしてファッションブランド設立のプロジェクトを始動。 1989年　株式会社エラ仏国支店設立。「コレクション ワゴン・リ」のトータルコレクション、ブランドプロデュース、企画、プロダクションコーディネート、及び（株）ダーバン、（株）ヨウジ　ヤマモト"A・A・R" 発足コーディネート、アタッシェ・ドゥ・プレス業務スタート。その後、JOSEPH,　MARNI,　BALLY,　MAX&Co.,　soe,　Vivienne Westwood,　MARC JACOBS, PAUL&JOE,　FOREVER 21その他、数多くの国内外ブランドのアタッシェ・ドゥ・プレス業務を手掛け現在に至る。 2000年　アジア圏初の姉妹校として、ＥＦＡＰグループと正式契約を締結。 2001年　エファップ・ジャポンの前身となるMIE塾がスタート。 2003年　ミエ・エファップ・ジャポン開校 2004年　第22回毎日ファッション大賞　鯨岡阿美子賞を受賞 2005年　エファップ・ジャポンと改名、コミュニケーションのプロ育成校として意義を拡大。 2007年　著書「情熱がなければ伝わらない！アタッシェ・ドゥ・プレスという仕事」（日経BP社）を刊行。 2008年　学校法人山脇服飾美術学院理事就任 2009年　フランス共和国　文化・コミュニケーション省より藝術文化勲章シュヴァリエを受勲

〜インタビュアー・インプレッション〜
　アタッシェ・ドゥ・プレス業界の"カリスマ"とも呼ばれている伊藤美恵氏だが、実際の彼女はむしろ、様々な課題に自ら挑み切り開いてきたという人一倍の努力家だ。「いい意味で一生ミーハーでいたい」と笑う、その笑顔の奥には高いプロ意識と強い信念が見え隠れする。現役アタッシェ・ドゥ・プレスとして活躍するかたわら、学長として自ら教壇に立ち、後進育成に力を注いでいる伊藤氏。すでに400名以上の教え子達が巣立ち、各界で活躍している。人や物の良さや夢を伝えるのが広報・PRの仕事なら、その中心をなすアタッシェ・ドゥ・プレスの重要性と神髄を伝えていくのが伊藤美恵の使命。「やると決めた以上は絶対にやりとげる」という彼女の情熱とバイタリティーで、これからもあらゆる難題を乗り越えていくことだろう。

連載「ふくびと」一覧
・設楽洋（ビームス代表取締役社長）
・本間正章（マスターマインド・ジャパン デザイナー）
・吉井雄一（ザ・コンテンポラリー・フィックス オーナー／ゴヤール ジャパンブランディングディレクター）
・【前編】山室一幸（WWD JAPAN編集長）
・【後編】山室一幸（WWD JAPAN編集長）
・勝井北斗・八木奈央（ミントデザインズ デザイナー）
・【前編】伊藤美恵（ワグ代表取締役兼エファップ・ジャポン学長）
・【後編】伊藤美恵（ワグ代表取締役兼エファップ・ジャポン学長）
・重松理（ユナイテッドアローズ代表取締役社長）
・阿部千登勢（サカイ デザイナー）
・ドン小西（コメンテーター）
・増田セバスチャン（ロクパーセントドキドキ代表兼ディレクター）
・藤巻幸夫（バイヤー）