フェンディ 2021年春夏オートクチュールコレクション
Image by: FENDI
「フェンディ(FENDI)」ウィメンズのアーティスティックディレクターに就任したキム・ジョーンズ(Kim Jones)のデビューコレクションとなる、2021年春夏オートクチュールコレクションが発表された。メンズファッション界で活躍してきたキムが手掛けるウィメンズ、そして初のオートクチュールということで注目が集まる中、パリの旧証券取引所で撮影したショー映像が1月27日に公開となった。
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コレクションのインスピレーションとなったのは、ヴァージニア・ウルフの小説「オーランドー(Orlando)」。ショーノートは、小説の一節から始まっていた。
「空虚なつまらないものに思えても 衣服は身を温かく保つよりも 大切な役目を果たすようだ。 それは、世界に対する私たちの見方 そして私たちに対する世界の見方を変えるのだ」——ヴァージニア・ウルフ 「オーランドー」より
オーランドーは、主人公が16世紀から20世紀まで時代を超えて生き、男性から女性に転換するという1928年発表の小説で、「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」が2020年春夏コレクションの主題に掲げるなど様々な分野でインスピレーションを与え続けている文学作品のひとつ。キムは、オーランドーがフェンディの創立から3年後に発表されたという歴史の重なりと、流動的な両性具有といった文学的要素の解釈を、コレクションに落とし込んだという。そして、キムが育ったサセックスの家が、ヴァージニア・ウルフの自邸や、姉のヴァネッサ・ベルと共に所属していたブルーズベリー・グループの拠点であるチャールストン・ ファームハウスと近かったこともあり、幼少期から触れてきたブルーズベリーの美学も反映されている。
ファーストルックのモデルに起用したのは女優のデミ・ムーア(Demi Moore)。ドレッシーなブラックのセットアップに手帳型のクラッチバッグというミニマルなスタイルに、シャンデリアのようなドロップタイプのイヤーカフが装飾的な印象を添えた。ベラ・ハディッド(Bella Hadid)の装いは極薄のヴェールをまとった神秘的なイブニングドレス。アジョワ・アボアー(Adwoa Aboah)は、ノーカラージャケットと刺繍が施されたオフショルダードレスが左右でドッキングし、両性具有を意識させるデザイン。オートクチュールコレクションでは珍しい男性モデルも、性差が曖昧でエレガントなスタイルを特徴としている。
キムが重視したもう一つの要素は、創業家一族により代々受け継がれてきたフェンディにとってかけがえのない「家族」。メゾンとキム自身、それぞれにとっての「家族」の存在をショーに反映した。3代目シルヴィア・フェンディの娘、デルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)とレオネッタ・ルチアーノ・フェンディ(Leonetta Luciano Fendi)をモデルとして抜擢したほか、ケイト・モス(Kate Moss)と娘のライラ・モス(Lila Moss)、クリスティー・ターリントン(ChristyTurlington)と甥のジェームス・ターリントン(James turlington)、アジョワ・アボアーと妹のケシーワ・アボアー(Kesewa Aboah)を起用。また、ケイト、ベラ、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)といったキムと親しいモデルが登場し、ラストルックはマーブル模様のガウンをまとったナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が務めた。
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