FACETASM 2021年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
東京では5年ぶりとなるショーの終了後、「楽しんでできました」と清々しい表情で答えたデザイナーの落合宏理。「ファセッタズム(FACETASM)」の2021年春夏コレクションが、天王洲アイルの寺田倉庫で発表された。
2007年にデビューしたファセッタズムが、落合の夢だったというランウェイショーを初めて開催したのは2011年10月22日。東日本大震災の年だったが、様々なカルチャーやスタイルをレイヤードしたエネルギッシュなコレクションが注目を集めた。
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最後の東京でのショーは、2015年10月12日。その年にはすでにメンズコレクションをミラノで発表しており、ウィメンズコレクションのみのショーを渋谷で開催。あらゆるものをミックスしたファーストショーとは対照的に、"壊す"というアプローチから制作したコンセプチュアルなコレクションとなった。
それから発表の場をミラノやパリに移して5年。楽天がサポートする新プロジェクト「by R」に抜擢され、ファセッタズムが2020年、東京に帰ってきた。
会場に着くとマスクが配られ、観客はそれを装着して観覧するスタイル。マスクにプリントされているのは、落合の息子が4歳の時に描いたモンスターの絵で、落合がそれらを見て心が動いたことから制作されたコレクションだという。タイトルは、変化と共に積み重ねてきた記憶や想いに寄せた「More memories.」。
ベースは7月に映像で発表した2021年春夏のメンズ・ウィメンズコレクションだが、今回のショーのために15ピースほどをプラス。コロナ禍で服の可能性について考えながら、前向きな気持ちで制作したという。トラックスーツやタキシードジャケット、トレンチコートといった定番アイテムをカットアウトしたり異素材を重ねたり、独特なひねりはファセッタズムの強み。パッチワークやレイヤードが、東京のランウェイによく映える。「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」のロゴ入りのセットアップも目に入った。
息子の絵はプリントデザインにも用いられていた。お姫様の人形のようなチュールドレスや、サンリオと制作したというぬいぐるみ、ジャラジャラと巻き付けたカラフルなロザリオのアクセサリーが揺れる様は、おもちゃ箱を開けた時のような感覚を思い起こさせる。
「自分自身が大好きなものを込めた」と落合。9年前の震災の後のファーストショーとは異なり責任なども感じるが、「ファセッタズムが楽しんでショーをやっている、ということを見せる意味はあると思った」と、参加意義について答えた。今シーズンのファッションウィークはデジタルとフィジカルの融合となったが、コロナによる新たな時代の訪れに対して「ファッションでも新しいムーブメントが起こせたら」とポジティブに捉えている。
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