現代の幻想画家を代表する1人とは?
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【タイトル】伊豫田晃一作品集 アルス・コンビナトリア(Ars Combinatoria)
【著作】伊豫田晃一
【発行年】2020年
F:こちらは古本ではなく、新刊書籍ですね。
喜多:これは去年出た限定本です。元々「1」「2」と出版されているんですが、その2冊を合体させて装丁を豪華にし、展覧会に合わせて出されたものです。
F:伊豫田晃一作品との出会いは?
喜多:元々は、お客さんに伊豫田さんの絵をみせてもらったことがきっかけです。確か、レオナルド・ダ・ヴィンチの模写作品だったんですが、すごく素敵な画家だな、と。
F:どのような部分が魅力的だと感じていますか?
喜多:伊豫田さんは、尊敬している作家にウルトラマンシリーズの怪獣を作り上げたデザイナー 成田亨をあげているんですが、先ほど挙げたボスと同様に、「ロマンティックで美しいものの中にある奇想天外なもの」「単純な綺麗さではない違和感」があるところが魅力だなと思います。技術面ももちろん素晴らしくて、幻想的なイメージを作るために当時のルネサンス期の制作技術を取り入れているそうです。例えば、昔の羊皮紙を買ってきて、イカ墨を用いて描いたり。絵画への伝統や歴史を踏まえて、新しいものを作ろうとしている人はとても尊敬します。
F:伊豫田さんは、古書ドリスの店舗ロゴもデザインされています。古書店のロゴモチーフに、鍵が用いられているのは珍しく感じました。
喜多:こちらからの要望として「本は出さないでくれ」とお願いしました。「古書を読んでいる人物の横顔」みたいなものは、ありきたりのように感じてどうしても避けたかった。お店の所在地が鶯谷なので「鶯でもいいですよ」と言っていたんですが、それはスルーされました(笑)。
F:鍵にも、象徴的な意味合いがあるように感じます。
喜多:そうですね。鍵は何かを開けるもので、幻想文学や幻想美術をはじめ、映画やアニメ、ゲームでも重要なアイテムとして登場することが多いと思います。秘密めいた少し妖しい印象を与えるもので、「新しい世界に踏み込むための扉を開ける」「知らないものへの好奇心」などのイメージがあるのかな、と。何かを開くものとしての意味合いが強いという意味では、本も同じだなと思います。
F:鍵の中には眼が描き込まれていますが、「眼を開く」という言い方もできますもんね。
喜多:「Des clefs et des hommes」という、古いカギの形状について、カラー写真や図版を用いて詳細に解説した本があるのですが、それを読んでいても、鍵には幻想的なイメージを持つ人が多いのだな、と見て取ることができますよね。
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