「ディオール」の2023年クルーズコレクション
Image by: Cruise 2023 © Angela Suarez pour Dior
マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が手掛ける「ディオール(DIOR)」が6月17日、スペインのセビリアにて2023年クルーズコレクションのランウェイショーを発表した。舞台となったのは、セビリアの象徴であるスペイン広場。フラメンコダンサーのパフォーマンスとオーケストラの生演奏を組み合わせた、壮大でドラマティックな一夜となった。
黒いパンツスーツに身を包んだ男女のフラメンコダンサーによる、力強いステップでショーがスタート。群舞のダンサーたちが真紅のドレスで現れ、石階段の上で一糸乱れぬ動きを見せる。
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今回のキーインスピレーションは、伝説的なフラメンコダンサーのカルメン・アマヤ(Carmen Amaya)。フラメンコの分野で初めて男性の衣装をまとった彼女は、ルールに縛られない革命的なダンサーとして知られる。スペイン出身のカルメンは1940年代にアメリカに渡り、ブロードウェイやハリウッド映画などで活躍した。
ファーストルックは、黒いパンツをサスペンダーで吊ったメンズ風のスタイル。モデルのバズカットと力強いアイラインが、今シーズンの女性像を表している。カラーはモノトーンからレッド、ベージュ、ゴールドと華やかさを増していき、ジュエルトーンのイヴニングドレスへと繋がっていく。
2023年クルーズコレクション
Image by: DIOR
ショーのラストには、カルメンをモデルにしたアート作品を取り入れたドレスが登場。スペインのアーティスト マリア・アンへレス・ヴィラ・トルトサ(Maria Angeles Vila Tortosa)が版画の手法でカルメンの姿を描き、スペインのアーバンアートの要素を取り入れたデザインに仕上げたという。
さらに、スペインの伝統的な要素を取り入れたショートジャケットやワイドブリムハットなどは、ジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)と一緒に乗馬を楽しんだスペインのアルバ公爵夫人からの着想。乗馬ブーツや乗馬鞭など、スペイン式馬術の要素も随所に見られた。
力強さを打ち出したコレクションの中でも、キウリ特有のフェミニンでロマンティックなムードは健在。太いベルトでウエストマークしたシアーなドレスや、網タイツなどが多用され、センシュアルなムードをプラスする。また、デニムとトロッター柄の組み合わせもフレッシュ。スパニッシュテイストとディオールのフレンチシックが融合した、エレガントなルックに仕上がっている。
2023年クルーズコレクション
Image by: DIOR
キウリの公式インスタグラムでは、リサーチトリップの映像も公開中だ。キウリがスペインを訪れ、マカレナ大聖堂の聖母像のガウンを飾る数多の刺繍の装飾などに感銘を受ける様子が窺える。
1956年のオートクチュールコレクションでも、ムッシュ ディオールによる「Bal à Séville(セビリアでの舞踏会)」と題されたドレスが発表されるなど、これまでもスペイン文化から大きく影響を受けてきたディオール。今回の一夜限りのスペクタクルは、カルメン・アマヤの功績を讃え、メゾンとスペイン文化のつながりをあらためて祝福する特別なショーとなった。
■ディオール:公式サイト
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