dinoworksのデザイナー IORI
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考古学を着想源とし、恐竜の形をしたバッグや卵の殻が割れたようなカッティングのフーディーなどアイコニックなアイテムを発表する新鋭ブランド「ディノワークス(dinoworks)」。昨年「コンテナストア(CONTENASTORE)」とラフォーレ原宿でポップアップを開催したほか、ラッパーのHIYADAMやLEXが着用するなど注目を集めている。デザイナーのほか、スタイリストやバイヤーなどマルチに活動する23歳のIORIに、新時代のクリエイションについて話を聞いた。
IORI
1998年、大阪府生まれ。大阪文化服装学院入学後、約2ヶ月で中退し上京。古着屋サントニブンノイチのショップスタッフを経て、コンテナストア東京のショップスタッフ兼バイヤー、スタイリスト、モデルなどマルチに活動。2021年1月に自身のブランド「ディノワークス(dinoworks)」を立ち上げた。
ーIORIさんはデザイナーとしてだけでなく、スタイリストやモデル、セレクトショップのバイヤーなど幅広く活動しています。
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ラッパーのHIYADAMをはじめとしたアーティストのスタイリングをはじめ、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S」の「コウザブロウ(KOZABURO)」と「ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)」のショーキャスティング、2019年の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」キャンペーンムービーへの出演、現在は外部の仕事が多くなってしまいあまり出勤していないのですが、「コンテナストア(CONTENASTORE)」ではショップスタッフ兼バイヤーもしています。
ーファッションに興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?
高校生くらいです。大阪出身なのでアメ村で消費者としてファッションを楽しんで。それが講じて、高校卒業後は大阪文化服装学院に入学しました。
ーデザイナーを志して大阪文化服装学院に入学した?
何か具体的に学びたいことがあって入学したというより、出会いを求めて入学したという感じです。僕にとって学校の授業で学べる知識より、友達同士で買い物に行ったり服を見せ合ったりして視覚的に学べるものの方が大事だったので。それができる友達や知り合いが入学してすぐにできたため、学校は2ヶ月ほどで辞めてしまいました。その後、知人が東京にお店を出すとなりスタッフを探していたので手伝おうと思い、そのタイミングで上京しました。
ーショップスタッフとして上京し、そこからスタイリングやキャスティングの仕事も始めたんですね。
おしゃれが好きというより頭の中にあるものを形にする事が好きで、今まではその表現方法が自分で服を着ることでした。ただ上京を機に色々な人と出会って、自分が着るよりも似合う人に自分がスタイリングした服を着てもらう方が表現方法として適切だなと感じるようになって。働いていたショップのヴィジュアル撮影などで経験を積み、今に至るという感じです。
ーディノワークスの立ち上げも自身を表現する方法として?
そうですね。僕の中ではディノワークスも、キャスティングやスタイリングなどと同じで、自分を表現する媒体の1つとして考えています。ブランドの立ち上げは2021年の1月頃。上京してから仲良くなったアーティストのKOTA KAWAIが、コンテナストアでポップアップをやることになって、その時に自分もスタイリング以外で何か表現できることはないかなと考えたんです。当時の自分は服を作ったこともなかったけど、とにかく自分の好きなもの、かっこいいと思うものを発信したいという気持ちのみで、ディノワークスの第1弾アイテムを製作しました。ネクタイ3型とプリントTシャツ、ヴィンテージのユニバーサル・スタジオ・ジャパンのグッズなどを展示するという簡単な内容でしたが、なんとか形にできました。
ー去年12月に発売したファーストコレクションのテーマは?発売にあたり、ストーリー性のある2本のムービーも公開していましたが。
テーマは「コスタリカの無人島」と「ジュラシックパーク」です。コレクションムービーは、1本目の最後にディノワークスのパーカが入った箱を海に流すシーンがあり、2個目のムービーはその箱が島に流れ着いたところからスタートする。貨物船のコンテナ事故で年間1万個くらいの荷物が海に流れているらしいんですが、その積荷の中身がディノワークスだったらという設定です。同世代の色々なクリエイターと一緒に仕事をしたいという思いから、あえて1本目と2本目のムービーディレクターを変えたんです。同じテーマを同じ場所で撮影したのに、2本とも全然仕上がりが違っていて、多様な個性ある同世代のクリエイターと一緒に仕事をする楽しさを再認識しました。
ー恐竜型のバッグやカッティングが独特なフーディー、恐竜の爪の形をしたピンなどアイコニックなアイテムが目立ちます。
ブランドの着想源である考古学の象徴である恐竜をモチーフにしたアイテムが多いです。サッカーボールを型にして海外のぬいぐるみを貼り付けて作った恐竜型のバッグをはじめ、フード部分のカッティングを卵の殻が割れた形をイメージしたフーディーや、ヴェロキラプトルの爪をモチーフにしたネクタイピン、フロスト加工をかけたボディを使いアジャスター部分にホイッスルとコンパスと火打ち石を付けたキャップなどが代表的なアイテムです。
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ー様々な活動をしていますが、それらは相互的に作用している?
そうですね。仕事でインプットしたものはブランドのクリエイションを考える時に参考にしてますし、ブランドのルックのスタイリングやキャスティングも自身で行っているので、相互に良い影響を与えていると思います。ただヴィジュアル作りとプロダクト作りでは脳を切り替えていて、例えばバッグのチェーンは安っぽくならないよう重厚なものを選びたいけど、重すぎるとバッグとして機能しなくなるのでバランスのとれたものを選んだり。見た目の良さだけでなく、利便性も考えてモノづくりをしています。
ー自身の経験や同年代のクリエイターたちとの関わりの中で生み出されるIORIさんのクリエイションは、今の時代ならではという感じですね。
しっかりと知識や技術を学んだ上で作るものにはそれでしか出せない良さがあると思うし、そういうクリエイションも素晴らしいと思います。でもそうじゃないクリエイションにはまた違った良さがあると思っていて。僕の場合は様々な仕事の経験と同世代のクリエイターからたくさん刺激を貰っていて、それがクリエイションに繋がっている。今はSNSなどが普及して誰でも簡単にインプットや発信ができる時代で、だからこそ僕のようなスタイルも成立すると思うし、そういう意味で今っぽいと言われるのも納得です。
ー今後の展望を教えてください。
僕の世代は今後のファッション業界を担っていかなければいけない存在だと思っているし、既に活躍している人や良いクリエイションをしている人がたくさんいます。自分を含めみんなが個々のクリエイションの質を高めていくのはもちろんですが、それをまとめていく人も必要だなと感じていて、僕はその役割を担いたいなと考えています。ファーストコレクションでやったように、音楽や映像など様々な分野で活躍する人とタッグを組むことで生まれる良いクリエイションは続けていきたいし、それは様々な仕事を経験している自分だからできることだと思います。ブランドとしては、従来通りの年2回のコレクション発表は今のところ考えていないので、その時々で自分が今良いなと思うものを表現していければと考えています。
(聞き手:志摩将人)
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