ダニエル ウェリントンの時計
Image by: Daniel Wellington
ミニマルなデザインと、中心価格帯は2万円という手の届くプライスで知られるスウェーデン発の腕時計・アクセサリーブランド「ダニエル ウェリントン(Daniel Wellington)」。若者の腕時計離れが進む中で、インフルエンサー・マーケティングを活用し、若年層のファン獲得に成功した同ブランドが、パンデミック下で考えることとは? 同社CEOを務めるヨハン・ヨハンソン(Johan Johansson)氏に聞く。
― 2011年にスウェーデン・ストックホルムでフィリップ・タイサンダー(Filip Tysander)氏によって設立されたそうですが、「ダニエル ウェリントン」という名前はどこから?
創設者のフィリップ・タイサンダーがオーストラリアでバックパッカーをしていた時の偶然の出会いが、ブランドをスタートしたきっかけなんです。その人はファッションセンスが抜群で、デザイナーズウォッチのフェイスに、使い古したNATOバンドを付けていたそうなんです。フィリップの人生を大きく変えることになったその人物の名前が、ダニエル・ウェリントン。この出会いは、独学でデザインを学んでいたフィリップにとって「完璧なミニマリストウォッチをデザインする」という夢を持つきっかけとなりました。デザインと品質に妥協することなく、同じスタイルと情熱を持つ誰もが手に入れられる価格の時計を作りたい、と。そんな背景から、クラシックで洗練された「ダニエル ウェリントン」の時計は、夢を持つ人やインスピレーションを与える人に向けて作っているんです。
― スマートフォンの普及に伴い若者の腕時計離れが進む中で、「ダニエル ウェリントン」は若年層のファンを持つことに成功したブランドでもあります。これはインフルエンサー・マーケティングの影響が大きいのでしょうか?
インフルエンサー・マーケティングは、私たちの事業の成功において欠かせない役割を果たしてきましたし、今もそうです。「ダニエル ウェリントン」は、Instagramだけで500万人近くのフォロワーを持つ"ソーシャルメディア生まれのブランド"として、今でもその分野で大きなシェアを獲得しています。そしてInstagramに限らず、様々なプラットフォームに挑戦することに積極的です。
最近では、「ダニエル ウェリントン」初の10気圧防水時計「Iconic Motion(アイコニック モーション)」の発売に合わせて、TikTokで世界的なコンテストを開催したんです。7人の映像プロデューサーが、この新しい時計をクリエイティブに解釈し、アクティブなライフスタイルのためにデザインされたことを紹介する映像で競い合うプロジェクトです。すべての映像作品が「ダニエル ウェリントン」の公式InstagramとTikTokアカウントで公開され、数日間で150万回以上の再生回数を記録しました。優勝者は賞金を受け取るだけでなく、「ダニエル ウェリントン」社の専任アートディレクターと年間を通じて6つのプロジェクトでコラボレーションすることになります。
初の10気圧防水時計「Iconic Motion」
Image by: Daniel Wellington
― コンテストの題材となった「アイコニック モーション」について教えてください。
ブランド初となる10気圧防水性能を備えた「Iconic Motion(アイコニック モーション)」の発売により、アクティブなライフスタイルを送っている方々にも私たちのブランドを知ってもらい、繋がる機会ができました。スイミング、ランニング、ヨガ、ワークアウト、ビーチなどで使うことができ、アクティブなライフスタイルにマッチした時計なんです。ストラップには、柔らかくて耐久性があり、汚れに強いFKMラバーを使用しています。10気圧防水のヘッドに、ローズゴールドやシルバーのアクセントを加えた「アイコニック モーション」は、機能性のためにスタイルを妥協したくない方に最適なモデルです。アクティブウェアにもフォーマルな服装にも合わせられるので、ジムからビジネスミーティングまで様々なシーンで着用できるのもポイントなんですよ。
― 「アイコニック モーション」に続いて、5月18日には「クアドロ(Quadro)」コレクションが発売されました。スクエア型の文字盤は新鮮に感じます。
シグネチャーである文字盤のデザインを一新し、ブランドとして初めてスクエア型の文字盤を採用しています。洗練されたPetiteコレクションからインスピレーションを得た「クアドロ」は、現代を生きる女性に向けたファッショナブルでコンテンポラリーなウォッチコレクションです。「クアドロ」コレクションのアンバサダーには、フランスのイットガールのティナ・クナキー(Tina Kunakey)、韓国の女優兼モデルのイ・ソンギョン、中国の女優兼歌手のファン・ビンビン、ドイツのモデル ステファニー・ギーシンガーなど、世界各地で活躍する6人のセレブリティを起用しています。今回起用した女性アンバサダーは皆、ローカルとグローバルの両方で活躍するスタイルアイコンであり、「クアドロ」コレクションのタイムレスなエレガンスを体現する存在です。
新作ウォッチ「Quadro」を身に着けたイ・ソンギョン
Image by: Daniel Wellington
― パンデミック後、人々の消費行動はどのように変化すると考えますか?
新型コロナウイルスの流行を機に、Eコマースとソーシャルメディアの利用は昨年から急速に増加しましたよね。「ダニエル ウェリントン」においてもそれは同じです。実店舗が休業になり多くの人が自宅やネット上で過ごす時間が増えたことで、多くのデジタルトレンド、特にライブコマースの成長が加速したと感じています。
「家にいながらにして買い物をしたい」と考える人が増える中で、ライブコマースはエンターテインメントとショッピングの間のシームレスな体験を提供できるツールです。消費者は、インフルエンサーのような憧れの存在からリアルタイムで買い物のアドバイスを受けることができ、商品を様々な角度から見たり、直接質問を投げかけたり、数回の簡単なクリックで購入することができる。「ダニエル ウェリントン」はデジタルトレンドを牽引するブランドとして、ライブコマースの活用について現在積極的に取り組んでいます。実店舗はこれからも私たちの事業において重要な役割を担いますが、ソーシャルメディアが「ショップウィンドウ」としての役割を持つ状況は今後も続くと信じています。
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