ディオール、シャネル、ヴァレンティノ、フェンディ
1月に開催された2024年春夏オートクチュールコレクションは、メゾンが持つ歴史や伝統を未来に紡ぐフューチャリスティックなムードを感じさせた。プレシャスな素材、繊細な手仕事による刺繍、クチュールならではのシルエットを再解釈し、現代的に仕立てたスタイルも。それぞれの形でオートクチュールを再考した「ディオール(DIOR)」「シャネル(CHANEL)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「フェンディ(FENDI)」の新作コレクションに注目する。
ディオール
モアレ生地と彫刻的なシルエット
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「ディオール(DIOR)」のショーはロダン美術館の庭園で開催。特設会場の壁全体に飾られた、93歳のイタリア人アーティスト イザベラ・デュクロ(Isabella Ducrot)による作品「Big Aura」は、肉体を超越した力の象徴である衣服を抽象的に体現したという。
「ディオール」を手掛けるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)は、2024年春夏オートクチュールコレクションに「アウラ」の概念を反映させた。アウラとは、ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンの定義によると、芸術作品の独自性と真正性を反映するもの。マリア・グラツィアは、メゾンの歴史を辿り1952年秋冬オートクチュール コレクションの「ラ シガール」ドレスに着目。彫刻的なシルエットやモアレ生地を現代的に再解釈し、ドレスやセットアップを仕立てた。終盤はミレフィオリ(幾千もの花々)モチーフの刺繍、ビーズフリンジなど、繊細な装飾がイブニングドレスを飾った。
Image by: DIOR
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会場にはディオール ジャパン アンバサダーに就任した八木莉可子をはじめ、リアーナ、ナタリー・ポートマン、アニャ・テイラー=ジョイ、ハンソヒといった華やかなセレブリティが集った。
八木莉可子
Image by: DIOR
シャネル
バレエの世界を軽やかに表現
創設者のガブリエル・シャネルが初めてバレエ衣装をデザインしてから、今年で一世紀。シャネルとダンスの親密な関係性が、2024年春夏オートクチュールコレクションに反映された。「私にとってダンスとは、心のなかにある数々の物語や感情を呼び起こすもの。それを後世に伝え、語り継いでいくことに喜びを感じています」(ヴィルジニー・ヴィアール)
解放のシンボルとするジュエルボタンが今シーズンのキーとなり、ランウェイの舞台装飾として天井に設置。ファーストルックは、メゾンのアンバサダーでありダンサー兼俳優のマーガレット・クアリーが務めた。
ヴィルジニー ヴィアール(Virginie Viard)はバレエとダンスの世界を結びつけながら、身体と衣服が持つ力と優雅さを、軽やかで優美なコレクションに集約。淡いピンクとホワイトを基調に、チュールやフリル、プリーツ、レースで構成。レオタードやタイツ、チュチュを思わせるシフォンスカート、ミニドレスやジャンプスーツなどフェニミンなスタイルを、色とりどりの花の刺繍レース、リボンの装飾が彩った。
Image by: CHANEL
Image by: CHANEL
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ヴァレンティノ
現代の衣服から探るクチュールの本質
「ヴァレンティノ」は、ヴァンドーム広場にある自社のサロンで2024年春夏オートクチュールコレクション「ル サロン」を発表。現代の生活に深く根ざすワードローブから、個別のアイテムの組み合わせによるハーモニーやコントラストを探ることで、クチュール本来の意図や起源に立ち返った。ピエール パオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)は、矛盾や衝突も表現の自由とし、ファッションへの愛の表現と捉える。
Image by: VALENTINO
Image by: VALENTINO
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エキゾチックレザー、ファー、フェザーのように見える素材の数々は、シルクオーガンジーやスパンコールで表現。新しい現実を作り出すクリエイションに可能性を見出し、オートクチュールの本質を見つめ直した。
フェンディ
人間性に焦点 フューチャリスティックに
箱を意味する「スカトラ(Scatola)」シルエットのブラックドレスで始まったコレクションでは、フューチャリズムとヒューマニズムに焦点が当てられた。アーティスティック ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)は、構造と装飾の結びつきをテーマに、精密さと情緒を同時に表現することを試みたという。幾何学パターンのミニマルなドレスや女性の身体に沿うテーラードスーツ、そして「シバリ(Shibari)=結び目」が施された上質なリブ編みのドレスなど、人間性を再認識するコレクションが発表された。
Image by: FENDI
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18Kホワイトゴールドとホワイトダイヤモンドのアイウェア「シンギュラー ビジョン(Singular Vision)」、クロコダイルやフリンジ刺繍の「バゲット(Baguette)」バッグなど、"貴重な実用品"の概念がアクセサリーやファインジュエリーに反映されている。
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