「シャネル」2022-2023年秋冬オートクチュールコレクション
Image by: CHANEL
ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)が手掛ける「シャネル(CHANEL)」が7月5日、2022-23年秋冬オートクチュールコレクションを発表した。スーツやロングドレスなど、1930年代に創設者ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が提案したスタイルと、ジオメトリックでモダンな要素が特徴。先シーズンからの流れを汲みつつ「実験的余白を残しながらイメージを膨らませていった」とヴィアールは語っている。
ショー会場をアート空間に
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会場となったのは、パリのエトリエ馬術センター。馬術の要素は、モナコ公国のシャルロット・カシラギ(Charlotte Casiraghi)が馬にまたがって登場した前回のショーの演出に呼応している。
美術セットは、アーティストのグザヴィエ・ヴェイヤン(Xavier Veilhan)がデザイン。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)が制作拠点としていたニューヨークのスタジオ「シルバーファクトリー(Silver Factory)」が着想源の一つとなり、天井には銀色の球体オブジェがいくつも吊り下げられていた。視覚的なカモフラージュからインスピレーションを得たストライプやシェイプが壁面をグラフィカルに彩っている。
ファレルのドラム演奏で幕開け
ショーのオープニングを飾ったのは、ミュージシャンでシャネルのアンバサダーであるファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がドラムを演奏する映像。特別に制作されたサウンドトラックを披露した。
ファレルは「ドラムは私の人生。人格形成期において私を成長させ、私のリズムに対する理解を洗練させてくれた。音楽やアート、ファッションには相関性があると思う。それぞれが他なくしては存在できない」とコメントしている。
グラフィカルでモダンなスタイル
コレクションは、鮮やかなグリーン、カーキ、 ベージュ、ピンク、そして多くの黒とシルバーで構成。スクエア型に開いた背中や幾何学模様の刺繍などは、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)による構成主義に基づいたグラフィカルな世界観に共鳴しているものだという。
アクセサリーで際立っていたのは、メンズライクなハットやつば広の帽子。ドレスやロングスカートの足元にはTストラップヒールのほかに馬術を連想させるカウボーイブーツを合わせ、メゾンの不変のテーマでもある「強い女性像」をモダンに表現した。
また、1932年にガブリエルがデザインしたハイジュエリーコレクション「ダイヤモンド ジュエリー(Bijoux de Diamants)」から、「天体のエレメント」を表現したネックレスをヴィアールが再解釈。ラグジュアリーな星のモチーフが、煌びやかなアクセントに。
さらに、ロマンチックな花のモチーフやシフォンドレスなども、オートクチュールならではの巧みなクラフトマンシップを感じさせた。モデルたちの頭に飾られた大きなリボンはフェミニンなムードを加速させる。最後に登場した白のマリエは、モデルが羽織ったショールに繊細な花のモチーフが施されていた。
フィナーレには、音楽を手がけたセバスチャン・テリエ(Sebastien Tellier)とセットを手掛けたグザヴィエが、ヴィルジニーと手を繋いで登場。3人の強力タッグを印象付けた。
「オートクチュールにはその膨大な労力を感じさせない浮遊するような軽さがある。ヴィルジニーの作品にはスケッチの優美さを保ちたいという願いが表れている」とグザヴィエが語ったとおり、シャネルらしいエレガンスを感じさせる軽やかなムードが会場を包んだ。
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