「シャネル(CHANEL)」を代表するフレグランス「シャネル Nº5」が今年で誕生100周年を迎えます。現代でも新鮮に感じられる唯一無二のフレグランスは、時代を超えて、様々なミューズ達に愛されてきました。Nº5の歴史と秘密、そしてタイムレスな魅力とは?シャネルのビューティ アンバサダーで、今年15年ぶりに拠点を日本に移したバレエダンサーの飯島望未さんと紐解きます。
シャネル N°5の誕生
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シャネル Nº5は、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が初代専属調香師エルネスト・ボーに「女性そのものを感じさせる、女性のための香水」とオーダーして誕生。1920年代のフレグランスは単一の香料を使った"具体的な香り"が主流でしたが、ボーが完成させたのはローズやジャスミン、イランイランといった天然香料と、合成香料のアルデヒドを大胆に組み合わせ、80種類以上ものエッセンスを配合した複雑でミステリアスな魅力を持つフレグランスでした。
革新的な香りを生み出したガブリエルのマインドには、飯島さんも影響を受けたそう。
「彼女は自由かつ創造的、芯があるのにとてもしなやかなマインドを貫いていた人。とても現代的な考えで、彼女が生きた時代の中では先進的なものだったと思うんです。彼女のようになろうと思っても簡単に実現できないですが、考えや言葉、己の美学を貫く姿勢に共感しますし、私もそうありたいと憧れます」
シャネルのエスプリを落とし込んだこのフレグランスがなぜシンプルな「5番」という名前なのかーーその背景には様々なストーリーが言い伝えられています。ボーによるフレグランスの試作品の中でガブリエルが気に入ったものが5番目のサンプルだったという話や、ガブリエルが12星座の5番目である獅子座であったためだという説も。また、ガブリエルが5という数字をラッキーナンバーとして大切にしていたからだとも言われています。
豊潤なフローラルノートとミステリアスな香りの秘密
ーベッドで身につけるのは「シャネル N°5を数滴」だけ マリリン・モンロー
これはNº5にまつわる有名な言葉の一つ。一世を風靡した女優さえも虜にした香りの秘密とは一体何なのでしょうか?
Nº5には南仏の香水の都と呼ばれるグラースで採集されたジャスミンやローズ ドゥ メを惜しみなく使用。30mLのボトルには、なんとジャスミン約1000輪、ローズ ドゥ メ約12輪相当の香料が使用されており、ひと吹きで花畑に囲まれたような豊かな香りに包まれます。豊潤なフローラルノートが香り立つのと同時に、80種類以上もの香料が生み出す奥深さが特徴です。
また、ミステリアスな要素として合成香料のアルデヒドを採用したのも革新的でした。1種類の香料にフォーカスしたフレグランスが主流だった当時、複雑でありながら気分を高揚させる香りに仕上げられたシャネル Nº5はセンセーショナルな香りだったのです。
飯島さんがNº5に出会ったのは幼少期。自身の成長につれて香りに対する感想も変化したそうです。
「母がよく使っていたので、子どもながらに神秘的な香りだなと感じていて。その後マリリン・モンローが愛した香りだったことや、いつの時代も『憧れのNº5』として女性たちの憧れだったことを知りました。私にとってNº5はただ敷居が高い香りではなく、『Nº5に似合う女性になりたい』と気持ちを高めてくれるものなんです」
「自分で初めて使ったのは26歳の時。子どもの時に感じた神秘的で官能的な印象は変わらず、フローラルノートの華やかさや、様々な香料が折り重なって生まれる複雑さなど、香りを深くまで楽しめました。ミステリアスが故の捉え所のなさは、シャネルの自由な精神を表しているような魅力もあります。全体的にクラシカルな雰囲気ですが、爽やかな要素もあるのでカジュアルな服装に合わせるのも素敵だというのが大人になってからの発見です」
"変わらないために時代とともに変わり続ける"ボトルデザイン
ボトルデザインにもシャネルの意志は色濃く反映されています。1921年当時のフレグランスは意匠を凝らした豪華なボトルが主流で、その華麗なデザインがフレグランスを上質たらしめるものでもありました。
しかし、Nº5は装飾を限りなく排除したシンプルなボトルデザイン。流行に左右されないタイムレスな見た目は話題を集めました。
「初代のデザインは言うなれば『究極のbeauty of simplicity』。ボトルに収められた複雑な香りが主役だという意気込みを感じます。当時このデザインを出すということ自体も挑戦的ですし、極限まで無駄のないストイックな魅力には表現者として学ぶところがありますね」
ボトルは1924年にほぼ現行品のデザインに生まれ変わりました。8角形にカッティングされたボトルストッパーはパリのヴァンドーム広場の形からインスパイアされたもので、その後ラベルのデザインも少しずつリニューアル。最後の仕上げの封は全て職人が手作業で行い、丁寧に施されたシーリングはNº5を手にした人だけが外すことができます。
「基本の形はあえて変えずシンプルなままなのに、この形が今やNº5を象徴するデザインとして受け入れられているのは凄いことですよね。美学をブラさずにアップデートするのはバレエともリンクすると思っていて。古典作品は内容も基本の踊りの型も既に確立しているものですが、私はいつも型のベースをブラさずに現代に自分が演じることを意識して踊っています。基本の美しさや魅力を今の時代も変わらずに伝えるために少しずつ変えるというのは終わりのない挑戦ですね」
気分に合わせたシャネル Nº5の楽しみ方
100年の歴史を超えて愛される「シャネル N°5」。現在はN°5シリーズとして「シャネル N°5 オードゥ トワレット」「シャネル N°5 オードゥ パルファム」「シャネル N°5 オー プルミエール」「シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット」を合わせた計5種類をラインナップしています。
・シャネル N°5 オードゥ トワレット
フローラルブーケと心地よいパウダリーな香りが、センシュアルな高揚感と穏やかな深みを演出。ネロリの軽やかなトップノートがローズ ドゥ メとジャスミンのフローラルなハーモニーと響き合う。アルデヒドが香り全体に軽やかな爽やかさをプラスする。N°5シリーズ内で最もウッディノートが目立ち、ジェンダーレスに使いやすい香り。
・シャネル N°5 オードゥパルファム
N°5と同じフローラル アルデヒドの香調で、ローズ ドゥ メとジャスミンを中心とするフローラルノート。トップノートにシトラス、ラストノートにバニラが加わった。シーンを選ばずに使えるモダンな香り。
・シャネル N°5 オー プルミエール
イランイランやネロリ、アルデヒドが組み合わさったトップノートに始まり、ローズ ドゥ メとジャスミンの繊細なフローラルの輝きに満ちたミドルノートに変化。ラストではバニラとムスクのフェミニンなヴェールに包み込まれる。N°5よりも透明感を感じさせ、柔らかな甘さが香る。
・シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット
レモン、マンダリン、オレンジのトップノートがアルデヒドとともに香り立ち、ミドルノートでローズやジャスミン、イランイランの花々の香りが登場。ラストで柔らかなホワイトムスキーノートやベチバー、シダーの力強い香りのエッセンスが加わる。N°5 シリーズデビューとして購入する人が多い香り。
「普段はレモンやマンダリンの柑橘系が爽やかに香るロー(シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット)の出番が多いですが、ファッションや会う人によって香りを変えるのでN°5シリーズのようにベースは同じなのに少しずつ表情が異なるフレグランスは色々試してみたくなります。カジュアルな服装の時はウッディノートが際立つオードゥ トワレット、フェミニンな気分にはオー プルミエールをつけたりと、香りも含めたコーディネートが楽しめると思います」
「N°5はやっぱり一番気合を入れたい時に選びます。バレエの役に合わせて使うこともあって、『うたかたの恋(現題:Mayerling)』という作品のミッツィ・カスパール役を演じた時も魅惑的な役柄にぴったりだったのでつけていました。通常フレグランスは首元につけるのがオーソドックスですが、私は体の動きに合わせてふわっと香るように手首や足首に付けるんです」
現代においてもモダンな魅力を放つ「シャネル N°5」の新たなミューズとして女優のマリオン・コティヤール(Marion Cotillard)が就任。マリオンが出演するキャンペーンフィルムも登場し、2021年は多彩な顔ぶれがアニバーサリーを祝福しています。
「ゴージャスなドレスを揺らしながら軽快に踊る様子は、Nº5の香りが持つ重厚感と爽やかさのバランスを巧みに落とし込んでいて素敵でした。マリオンのエレガントでチャーミングな部分が描かれていて、映像を見ているとNº5の香りをまといたくなるんです」
フレグランス業界にとどまらず、様々なクリエイターやイノベーターにインスピレーションを与えてきたシャネル N°5。豊かなフローラルノートとミステリアスな香りのヴェールが、どんな人にも寄り添ってくれるのも長年愛されてきた秘密。歴史に名を残す香りを試してみたい人も、大人の魅力を演出したい人も、上質な香りで背伸びしたい人も、この機会にトライすればその魅力を堪能できるはず――。
ジャケット ¥608,300
ブラウス 参考商品
ジーンズ ¥201,300
ベルト ¥85,800
サンダル ¥203,500
「シャネル N°5」リング WG/DIA ¥885,500
「シャネル N°5」ピアス WG/DIA ¥1,188,000
すべてシャネル(シャネル カスタマーケア0120-525-519)
HAIR&MAKE:RIKA MATSUI
STYLIST:MAKI YANAGITA
TEXT&EDIT:MANAMI HIRAHARA(FASHIONSNAP)
PHOTOGRAPHER:HIROYUKI OZAWA(FASHIONSNAP)
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