「シャネル(CHANEL)」のアイコンフレグランスのひとつ、「チャンス」から登場した5つ目の香り「チャンス オー スプランディド オードゥ パルファム」。ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)の遊び心を忘れずポジティブで、どんな時でもチャンスを掴み取るようなマインドを落とし込んだチャンスシリーズの新たな香りは、ヴァイオレットの魅惑的なジュースから、甘くフレッシュなラズベリー、気品あるローズ ゼラニウムが絡み合い、輝きに満ちたフルーティ フローラルが広がる。そしてこのチャンスの新章を彩るべく、新アンバサダーに、ベルギー出身の人気シンガーソングライター アンジェル(Angèle)が就任。発売とともに公開されたキャンペーンフィルムでは、まばゆく光り輝く香りにインスパイアされた楽曲「A Little More」を書き下ろした。
キャンペーンフィルムを手掛けたのは、フレグランス&ビューティ、グローバル クリエイティブ リソース ディレクターを務めるトマ デュ=プレ=ドゥ=サン=モー(Thomas du Pré de Saint Maur)。彼がディレクションしたフィルムは、チャンスが持つ遊び心と煌めく世界を踏襲し、オー スプランディドの魅惑的な側面を滲ませる。それぞれの立場で“新生チャンス”に向き合ったふたりの言葉から、新たな香りの魅力に触れる。

©︎CHANEL

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目次
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フレグランスをまとうと、「これで完璧だ」と感じる
⎯⎯まずはアンジェルさんに質問です。これまでもシャネルのヴィジュアルに起用されたり、さまざまな関わりがありましたが、今回アンバサダーに就任した感想を聞かせてください。
率直に、非常に嬉しく思っています。フィルムやヴィジュアルはもちろんですし、この新たな香りを打ち出していく美しいプロセスに関わることができて、私はなんてラッキーなんだろうと。この仕事をいただけたことで、素敵な写真を撮影していただけて、色々な場所に訪れることができていますし。もちろんこの東京にもです。これまでもシャネルとさまざまなコラボレーションをしてきましたが、これからがもっと楽しみになりました。
⎯⎯チャンス オー スプランディドの印象はいかがでしょうか。
初めてこの香りを試したとき、どこか儚げなムードと同時に花の“鋭さ”を感じて、この二面性の虜になりました。私自身ともリンクします。生真面目で軽やか、逆説的なところ、ノウハウやテクニックを自由や自発性とつなげてクリエティブする、そんなところですね。それから、キャンペーンフィルムやヴィジュアルは香りにインスパイアされた架空の世界を描いていますが、写っている自分を見て「これこそ私だな」というふうに感じるほどでした。

■アンジェル:ベルギー出身。2018年にデビューアルバム「Brol」をリリースし、ベルギーやフランスなどヨーロッパを中心に世界中で人気を集め、各国でコンサートを開催。デュア・リパ(Dua Lipa)やラッパーのダムソ(Damso)とのコラボレーションでも知られている。2024年パリオリンピックの閉会式では、ロックバンド フェニックス(Phoenix)とパフォーマンスを披露したことで注目を集めた。 ©︎CHANEL
⎯⎯フレグランスは日常的にまといますか?
外出前に、素敵なフレグランスをつけると、「これで完璧だ」と感じることができます。香りは目には見えませんが、感覚的で親密なもの。自分をとても強く感じさせてくれると思います。
⎯⎯キャンペーンのために書き下ろした「A Little More」は、どんなインスピレーションによって生まれたのでしょうか。
この曲を書いた時、ニューヨークで過ごしていたからか、自然と英語の歌詞にしようかなとふと思い立ったんです。“チャンス”という大きなテーマだったので、私にはたくさんのアイデアがありました。香りにまつわるエッセンスも取り入れようと思いましたし、ノスタルジックなムードやエモーショナルな要素もミックスしたいと。そういう要素を一つひとつ、じっくり考えていきました。作曲自体はスムーズで、そこからディテールを詰めていったのですが、作業を進めながら、ますます気持ちが高揚していったのを覚えています。








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⎯⎯アンジェルさんから見て、音楽と香りの共通点はありますか?
共通点はたくさんあると思いますね。両方とも見えるものではありませんが、記憶を呼び起こしたり、気持ちや感情を掻き立てたり、直感的なところが非常に親密なものではないでしょうか。香りにはフォーミュラがあり、技術と知識が必要で、そこにストーリーも落とし込まれています。今回チャンス オー スプランディドをオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Polge、シャネル 専属調香師)氏が作り上げましたが、彼が持つ卓越した技術と感情が織り重なったものですよね。音楽もフォーミュラのように音符と楽譜があって、制作の旅を通じて、さまざまな旋律やコーラス、要素が何層にも重なったものが曲になる。そんなところがとても似ています。
⎯⎯これまでの人生における“チャンス”を教えていただけますか?
私は幸運な星のもとに生まれた、といつも思っているんです。4歳の頃に知り合った女の子がいるのですが、私が19か20歳の時に彼女が「インスタグラムであなたのビデオを見た」、「何かやろうよ」と提案してくれたんです。プロのミュージシャンとして売り出そうと。100万分の1の成功率だと思いました。今の私の姿は、自分だけでは得られませんでした。そこから、パソコンで楽曲制作のプログラムをインストールして、最初の曲を書いたんですよ。

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⎯⎯日々の中で、スプランディド(華麗・素晴らしい)な気持ちになるのはどんな瞬間でしょうか。
まさに今、東京にいてそのような気持ちになっています。それから、ステージに立つ時にいつも感じます。多くの人が私を待っていてくれて、ステージの上で美しいパフォーマンスをし、自分の気持ちを届けて、皆さんと一緒に歌えると言うことが、何者にも代え難い素晴らしい瞬間なんです。大好きな東京で、(グローバルイベントの催しとして)今晩パフォーマンスができることを楽しみにしています。





東京で行われたイベントでパフォーマンスを披露したアンジェル ©︎CHANEL
「チャンス」はラッキーチャームのようなお守り

◾️トマ デュ=プレ=ドゥ=サン=モー:シャネル フレグランス&ビューティ グローバル クリエイティブ リソース ディレクター。フランスのエセック経済商科大学院大学を卒業後、名だたるフレグランスメゾンやファッションブランドでキャリアを積み、2008年にシャネルのフレグランス&ビューティのマーケティング ディレクターに就任。2014年から現職。文学や歴史の愛好家。 ©︎CHANEL
⎯⎯以前の取材で、「シャネル N°5」はトマさんにとって「聖なるもの」だと表現していましたが、「チャンス」はどう捉えていますか?
私にとって、ラッキーチャームのようなものです。軽やかで、お守りのような愛らしさを秘めていて、幸せをもたらしてくれるかのような。シャネル N°5はもっと凝縮された、重厚感のあるスタイルで、どちらも異なるキャラクターを持っています。
⎯⎯トマさんから見て、今回フィルムの主役となったアンジェルさんの魅力は何でしょうか。
普段もカメラの前でも変わらず自然体でいて、嘘がない、軽やかな雰囲気をまとっています。その一方で、仕事の面で非凡な才能を持っている。作曲家として、歌手として素晴らしいものを作り出していますよね。今回のフィルムのために、「A Little More」を書き下ろしてくれました。身を捧げて創作に向き合い、情熱的で自分の人生を楽しんで、煌めいているパーソナリティは、まさに今回のチャンス オー スプランディドのフィルムのメッセージともぴったりとフィットしていて、本当にすべてがハマったと思っています。

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⎯⎯撮影中、アンジェルさんが“煌めいた”瞬間を挙げるなら?
ずっとです。彼女自身が楽しんでこの撮影に臨んでくれたからこそ、このフィルムが完成しました。撮影中も、カットがかかったあとも、彼女から幸福そうなオーラがにじみ出ていて、そのエネルギーがフィルムの魅力を引き出してくれています。
⎯⎯では、今回のキャンペーンフィルムが持つメッセージとは何でしょうか。
プロデューサーの私の立場からのお話ですが、今回表現したかった大きなテーマは「幸福」。幸せは自分の運命を切り拓いていく意味であり、人生を費やす目的であり、指針。そして、チャンス オー スプランディド自体が、人生で与えられるものに対して、受け身ではなく、自ら掴み取り輝くというメッセージを持っています。
⎯⎯フレグランス「チャンス」シリーズらしい、遊び心が散りばめられたような移動遊園地が舞台ですね。
前作の続編のような立ち位置になりますから、全てを一気に変えるのではなく、長期的なクリエイションのヴィジョンのもとで、新しい香りの「らしさ」を伝える必要がありました。監督は以前と同じくジャン=ピエール ジュネ(Jean-Pierre Jeunet)氏。夜にひと際輝く移動遊園地で、女の子たちがチャンス(のフレグランス)に巡り合う。キラキラとした鏡が万華鏡のように反射する部屋や、魅惑的な迷路などのアイデアがありました。
⎯⎯同じ移動遊園地をテーマにしていても、今回は鏡の使い方が特に印象的に感じました。
シャネルのフレグランスというのは、もともと複雑で非常にリッチなもので、決して単調なものではないですよね。特に今回のチャンス オー スプランディドは、非常に多面性のある、豊かな香りなので、それが鏡や万華鏡といったイメージとマッチしたと思います。
こうした制作のアイデアや世界観の要素については、アンジェルも面白そうだと楽しんでくれました。彼女は今回のフィルムで曲を書くということで、私たちがどんなものが撮りたいのか、世界観やアイデアについて深く知りたいと言ってくれたんです。いいクリエイションとはいつもそうで、こういう風にオーガニックに進んでいくんですよね。








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⎯⎯“オーガニック”とはどういう状態なのでしょうか。
ごく自然に、自発的にプロジェクトが進んでいくことです。重要なのは、あらかじめ「決めつけない」こと。新しいアイデアがあったらそれを取り入れながら、話し合って作り上げていくんです。常にコミュニケーションを大切にしています。
⎯⎯フィルムの制作に際して、香りをクリエイションしたオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Polge)氏とも何かやりとりはありましたか?
彼とはどんなプロジェクトの時も、たくさんのことを語り合います。私の仕事は、香りそのものを表現するのではなく、香りに秘められたエスプリや個性を伝えることですから、まずは彼がこの香りに対してどんな想いを持っていて、アイデアと背景をどうやって形にしたかを、私が理解することから始まります。仕事だけでなく、自分たちの趣味や、こんなことがやりたいという話まで、さまざまなトピックをいつも話しているんです。
⎯⎯これまで、トマさんがチャンスだと思った瞬間について教えてもらえますか?
まず、間違いなくシャネルから連絡が来た時。初めは信じられませんでしたが、段々と私はこのチャンスを掴まなければならないと思うようになりました。フランス人の私にとって、シャネルという歴史のあるメゾンで、その歴史の一部を紡ぐことができるのはとても光栄で感動的なことでした。
幸いにも、そのほかにもたくさんチャンスがあり、掴んできたと思います。幸せやチャンスがなければ、人生は寂しいものですから。ただ、私が思うに、「チャンスに恵まれる」のではなく、「これがチャンスなんだ」と考えることが大事なのではないでしょうか。そういう意味でも、これまでの人生でチャンスだった出来事はたくさんありました。アンジェルと一緒に仕事ができたことはもちろん、ジャン(ピエール・ジュネ)やマーゴット・ロビー、マーティン・スコセッシ、ティモシー・シャラメ......。こうした才能に満ちた方々とコミュニケーションをとって、何かを作り上げる仕事ができている今、チャンスにあふれた人生だったと思えます。
⎯⎯最後に、もし今後日本でシャネルのキャンペーンフィルムを撮るとしたら、どこを舞台にしたいですか?
東京で撮りたいです。建築が独特ですし、巨大なビルに囲まれて、自分がどこにいるのか迷い込むような感覚もありました。パリやLAともまったく違った個性があり、とてもユニークな体験ができる場所なので、面白いものが撮れると思います。

Image by: FASHIONSNAP
最終更新日:
(聞き手・福崎明子、編集・平原麻菜実)
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