来日公演時のビョークのコスチューム
Image by: ©︎Santiago Felipe
歌姫・ビョーク(björk)が今年3月、6年ぶりに来日した。神戸ワールド記念ホールと東京ガーデンシアターで開催されたライブでは、パフォーマンスだけでなく毎回異なるコスチュームやヘアメイクも注目を集めた。日本のブランドやクリエイターを巻き込んだ、特別なスタイリングを振り返る。
今回の来日公演では、最新型の「コーニュコピア(cornucopia)」と古典的な「オーケストラル(orchestral)」という、2つのコンセプトが披露された。前者はルクシアル・マルテル(Lucrecia Martel)とビョークが監督し、ジェームス・メリー(James Merry)を共同演出として迎え⼊れ制作された作品。後者はビョークの⾁声とオーケストラだけで構成され、彼女の原点を彷彿とさせるステージとなった。
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また、ビョークならではのアヴァンギャルドなコスチュームも注目の的に。全公演にわたり、スタイリングを手掛けたのは、ビョークと同じアイスランド出身のエタ・グトムンツトッテル(Edda Gudmundsdottir)。ヘッドピースは共同演出を手掛けるジェームスによるもの。そして幻想的なヘアは河野富広が、メイクはドラァグクイーン・ヴィジュアルアーティストのハングリー(Hungry)が担当した。
3月20日 東京公演
来日ツアーの幕開けとなった東京公演では「オーケストラル」を披露。ビョークは、ダニエル・デルコア(Daniel Del Core)が手掛けるミラノブランド「デルコア(DEL CORE)」の着物風ドレスをまとい、指揮者のビャルニ・フリーマン・ビャルナソン(Bjarni Frímann Bjarnason)は「オブセス(obsess)」のシャツとパンツを着用して登場した。「オブセス」のデザイナーである北田哲朗は、この東京公演をはじめとする4公演全てにテーラーとして参加。ビョークや演奏者らのフィッティングを担当したという。
3月25日 神戸公演
「オーケストラル」が披露された神戸公演でビョークが着用していたのは、神秘的な「ノワール ケイ ニノミヤ」(2023年春夏)のドレス。細いワイヤーで吊るされた白いコットンが、照明によってピンクやブルーに染まっていく。エキゾチックな食虫植物のようなウィッグも彩りを添えた。
また、指揮を務めたビャルニが着用していたのは、トップスが「Julius(ユリウス)」、ドット柄のスカートは「ブラック コム デ ギャルソン(BLACK COMME des GARCONS)」のものだ。
Image by: ©︎Santiago Felipe
3月28日 東京公演
28日と31日の東京公演は、いずれも「コーニュコピア」の構成。28日の公演でビョークは「ノワール ケイ ニノミヤ」を2着まとった。黒の造形的なドレスは、2つのコレクションピースを組み合わせてスタイリングしたもの(2023年春夏)。メタリックのヘッドピースと相まって現実離れしたキャラクターを作り出している。また、淡いベージュのたっぷりとしたシフォンドレス(2022年春夏)はハーネスとの組み合わせが斬新だ。
Image by: ︎Santiago Felipe
最新作「フォソーラ(fossora)」でも共演したDJ KASIMYNは、ボリューミーな「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のルックを着用。カラフルなメイクにゴールドのヘッドピースをまとった。
3月31日 東京公演
最終公演となった31日にビョークが着用したのは、またしても「ノワール ケイ ニノミヤ」。光り輝く菌糸が全身を包むようなルックは、3月にパリコレで発表されたばかりの2023年秋冬コレクションで、神々しいオーラを放つ。そして球体のフリルが連なるドレスは2022年秋冬コレクションのルック。インナーにソーラ・ステファンスドッティル(Thora Stefansdottir)によるカラフルなボディスーツを合わせた。
また、バンドメンバーは「バルマン(BALMAIN)」を着用。クワイアとして参加していた「サマディ」は全員白のルックにヘッドピースをまとっている。
Image by: ︎Santiago Felipe
今回の公演では、ツアー開催の地である日本の気鋭ブランドやクリエイターを多く起用し、圧倒的なステージを繰り広げたビョーク。また来日公演の後に開催されたアメリカ最大級の音楽フェス「コーチェラ(Coachella)2023」のステージでも、引き続き「ノワール ケイ ニノミヤ」をピックアップし、2021年秋冬コレクションの象徴的なドレスをまとっていた。彼女のユニークな音楽性とファッションは唯一無二の世界観を作り出し、世界中をインスパイアし続けている。
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