【インタビュー】「共感してくれる人だけに届けたい」元ギンザ編集長の河田紗弥が立ち上げたアウウマガジンとは

河田紗弥氏
Image by: FASHIONSNAP
2020.08.24 Mon. - 21:58 JST

河田紗弥氏
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【インタビュー】「共感してくれる人だけに届けたい」元ギンザ編集長の河田紗弥が立ち上げたアウウマガジンとは

河田紗弥氏
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2020.08.24 Mon. - 21:58 JST
2008年から2019年2月までファッション誌「ギンザ(GINZA)」一筋でキャリアを築いてきた河田紗弥氏。新たに立ち上げたメディア「アウウマガジンアンドギフトショップ(AWW MAGAZINE & GIFT SHOP、以下アウウマガジン)」はウェブで展開し、9月からはギフトショップの運営も開始する予定だ。編集長も務めたギンザでの11年間を振り返りながら、小規模からスタートするというアウウマガジンの狙いについて聞いた。
ギンザ一筋だったマガジンハウス時代
ー2008年から約11年にわたってギンザに携わり、2018年1月からは中島敏子氏の後任として編集長を務めました。どんな雑誌作りを目指していましたか?
雑誌が好きでマガジンハウスに転職したので、自分が一冊丸々ギンザを作れるなんて夢のようでした。やりたいことは全部やろうと決めて、自分が思う"ギンザらしさ"を反映しました。
ーコンテンツを大きく刷新しました。
「挑戦したい」とか「変えてやる」と気負うことはありませんでしたね。チャンスを与えて頂いたなら、自分が思い描くことを形にするのが誠実なことだと思ったので。ただただ楽しい時間でした。

ー昨年2月に「アンドプレミアム(&Premium)」編集部への異動という形で編集長を退任し、翌月にはマガジンハウスを退社されました。
まだまだこれからという時だったので、ギンザを離れるなら自分でやりたいと考えて退社し、ギンザや「ブルータス(BRUTUS)」「ポパイ (POPEYE)」などで活動してきたファッションエディターの加藤直子と新しい会社Townを昨年4月に立ち上げました。
ーTownではどのような活動を?
1年ほどクライアントワークを中心に活動しながら新メディアの準備をし、アウウマガジンを始動した形です。
自分たちが良いと思うものを誠実に作る
ー「アウウ」という名前の意味は?
「AWW」は「all we want」の略です。それから、子犬とか可愛いものを見た時に、「もう可愛くってしょうがない」という感情を「Aww」という言葉で示すんですね。なのでダブルミーニングなんです。
ーパーソナルな感覚のマガジンなんですね。
自分達が「これ可愛いよね」と友達同士で話すような内容で、これが美味しかったとかこれが可愛かったとか、そういう「Aww」なものを発信したくて。ファッションページを中心に、スポーツやウェルネス、街にまつわるコラムのような記事を発信していきます。ターゲットとかも特に設定せず、「いい」と思うものに共鳴してくれた人に見てもらえたら嬉しいですね。

ーアウウマガジンにはどのような人が関わっていますか?
スタイリストやフォトグラファー、ライターやデザイナーなどこれまで一緒にものづくりをしてきた方々にご協力いただいています。ローンチのタイミングでは、白山春久さん、長谷川昭雄さん、井伊百合子さんのスタイリングによるファッションコンテンツやニューヨークのフォトグラファーJIMAさんのフォトエッセイなどがアップされる予定です。その後は更新頻度は1週間に1回、その週に集まった記事をアップしていく予定です。
ー名称は「アウウマガジンアンドギフトショップ」ですが、ギフトショップとは?
アウウマガジンの"お土産屋さん"のようなイメージですね。
ーECも行うのでしょうか。
といってもセレクトアイテムを展開する予定はなくて、主にオリジナルグッズを販売していきます。旅先の本屋や美術館でトートバッグをお土産で買ったりするじゃないですか。そういう感覚で、初回はトートバッグ(4500円)を作りました。Tシャツやマグカップなども販売していきたいですね。

ーロゴのデザインが印象的ですね。
アートディレクターの前田晃伸さんがデザインしてくれました。候補はいろいろあったのですが、新聞社とか銀行っぽいロゴデザインと、可愛い意味合いの「Aww」を組み合わせたデザインに決めました。知的で爽やかなブルーも気に入っています。
ーアウウマガジンのマネタイズはどのように考えていますか?
まずは楽しんで作ること、読んでいただけることを大切にしているのでマネタイズは未定です。お声がけいただくクライアントワークを続けながら、アウウマガジンを並行できたらと。アウウマガジンの存在が徐々に知られるようになってから、興味を持ってもらえるブランドや企業がいれば何か一緒にできることはあると思います。収益化はそれからですね。

ークライアントにとらわれず好きなものを作っていく姿勢は、通常の雑誌とは異なりますね。
今私たちはすごく小さな範囲でやろうとしているんですよね。ギンザでは読者層もある程度想定しながら作っていたのですが、アウウマガジンでは共感してくれる人たちだけに見てもらえれば、というスタンスなんです。トピックスとしてもニッチなものを発信していけたら。
ー新型コロナウイルスの感染拡大が準備期間と重なってしまったと思いますが、影響はありましたか?
3月からつい最近までは、基本的に撮影などができなかったので家にいました。クライアントワークもストップしていましたね。なのでアウウマガジンのグッズを作ったり記事を書いたり。「家でテニスの壁打ちしてます」とか「この歯磨き粉が使いやすいです」とか、かなり個人的な内容の記事ばかり書いていました(笑)。

ーずっと雑誌畑でしたが、アウウはウェブなんですね。
元々は雑誌を作ろうと思って始めたんです。なのでこれからも作ろうとは思っていますが、時間や人員、金銭的にも軽快に始められるのはウェブだなと。自分たちのペースで、良いタイミングがあれば出そうと思っています。
ー「雑誌が売れない」と言われ、またウェブも移り変わりが早い昨今ですが、メディアを作る上で大事なことは?
商業誌であってもインディペンデントなメディアであっても、純粋に作りたいものや自分たちが良いと思うものを誠実に作るのが大事だと思います。それは紙でもウェブでもそうだと感じています。
(聞き手:山本亜樹)
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2005年10月からマガジンハウスに入社し、広告部を経て2008年からギンザ編集部所属。2018年6月号から2019年3月号まで同誌の編集長を務め、2019年3月にマガジンハウスを退社した。同年4月から新会社Townのもとクライアントワークと並行しながらアウウマガジンのプロジェクトを進行している。AWW MAGAZINE & GIFT SHOP:公式サイト
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