2021年上半期を振り返る
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—2021年の市場を振り返るとナイキの勢いがずっと続いているという印象でしたが実際にはどうでしたか?
アトモス本明:一強ですね。
スニダン内山:一強とまでは言わないですが、かなり強いですね。
アトモス本明:その他に売れているのは「ニューバランス(New Balance)」かな。900番台も、1300も1500も1700も2000番台も売れました。2002に関してはアメリカのデザインだけど、アジア製で少し値段が安いから、僕もびっくりするぐらい人気を集めています。
スニダン内山:リセール市場だとニューバランスもたしかに売れていますが、「イージーブースト(YEEZY BOOST)」があるのでアディダスも高い支持を得ています。
—イージーブーストは2019年頃から「YEEZY FOR EVERYONE(YEEZYをすべての人へ)」をテーマに掲げていたので、リセール市場での取引は減っていくと思っていました。
アトモス本明:イージーの350はたしかカニエ・ウェスト(Kanye West)がもうアディダスに権利を売っているんですよね。アディダスが作りたい足数を作れるから「すべての人へ」と言っているんですよ。でも他のモデルは生産するのにカニエの許可が必要で。カニエが今狙っているのはサンダルだと思いますけど、あれは全然数が入ってこない。
スニダン内山:そうですね。しかも350もずっと店頭で売られているという状況ではない。今、トリプルホワイトを買おうと思ったらリセールで買うしかないので需要は残り続けると思いますよ。
—他にはコート系スニーカーの流行が続いていますが、下半期も継続しそうですか?
アトモス本明:しばらく続くと思いますよ。来年はエア フォース 1の40周年なので、色々なモデルが出てくると思いますし。
スニダン内山:最近、よくダンク人気が終盤だという声がありますが、わかりやすく終わったという状況にはならないと思うんです。コアなファンが多いモデルなので、流行としてではなく定番として売れ続けるんじゃないかなと。
アトモス本明:みんながコート系を履いているからとランニング系だったり、ACGなどのアウトドア系の需要が少し高まることもありそうですが、基本はコート系でしょうね。
—実際、ランニングやアウトドア系の需要ってありますか?
スニダン内山:リセールはぼちぼちという感じですね。
アトモス本明:エア マックス 90や95の定番で出しているカラーは、ハイプではないので目立たないだけでコンスタントに売れ続けてはいますよ。
—リセール市場は年々規模が拡大していますが、2021年に入ってからも変わらず好調ですか?
スニダン内山:頑張っています。2018年に会社を設立してからしっかり伸びているので、リセールは市場に貢献しているという表現が正しいのかわかりませんが、需要に応えられているのかなと。
アトモス本明:でもリセール市場があるから僕らの一次流通も活性化されて多くの人に見てもらえることが増えた。実は僕も平行屋からビジネスを始めたので一次流通と二次流通の壁をそんなに感じていないけど、僕は凄く社会貢献していると思うよ。テレビCMもたくさん出しているからサイトに来る人は増えているでしょ?
スニダン内山:そうですね。今回のCMは原始人が個性に目覚めて格好良くなっていくというストーリーなんですが、僕らはスニーカーヘッズの人はもちろんなんですけど、興味がない人にもスニーカーが格好良いものだということを広めていきたいという想いがあって。CMで実際にスニーカーに興味がない人にもサイトを見ていただけるようになったという数字は出ています。
アトモス本明:リセールサービスも増えているけど、今後は余計なものが大事になってくると思う。アプリを開いてもらうためにどういったことができるか。余計なことをやらないとお客さんがこないから、そういうのが差別化になるんだと思う。
スニダン内山:うちのサイトにもカテゴリーで「コミュニティ」を用意していて、シューズの情報やコーディネートが共有できる。他のリセールにはないカテゴリーですし、毎日見てもらうためのフックになっていると思います。数字には直結しないかもしれないけどやったほうが面白いと思うものはいくつか構想があって。社内で優先順位をつけて取り組んでいきたいなと思っています。
—アトモスのYouTubeに本明さんが出演するようになったのも今年からですね。ユーザーから好評のようで。
アトモス本明:YouTubeに出ていたG-KENっていうスタッフがやめたので、代わりに出て欲しいと言われて。僕はなんでも言っちゃうからそういったところで共感したり、現実を新しく知れたりするんだろうね。でもスニダンも今度YouTube始めるんでしょ?
スニダン内山:はい。うちはオンラインがメインなので人の顔が見えにくい。顔が見えた方がお客様は信頼できるので、2人広告塔を立てて彼らを有名にしていけたらなと思っています。
—スニーカーダンクはメーカーと関わることもありますか?
スニダン内山:発売情報を発信しているメディアというカテゴリーがあるので少しだけ。
アトモス本明:でもナイキは難しいかもしれないけど、他のブランドはこれから一次流通と二次流通が合わさった販売方法を模索していくと思うよ。今は売り場とかプラットフォーム勝ちみたいなところがあるから、一次流通と二次流通も関係なしに考えて行かないと伸びていかない。
—一次流通との取り組みでは石川涼が手掛ける「ザ・ネットワーク ビジネス(THE NETWORK BUISINESS)」とコラボレーションして原宿#FR2ギャラリーでポップアップストアを出店していましたね。
スニダン内山:スニダンは一次流通があってこそのサービスなので、還元していきたいという想いもありますし、ずっとオンラインで仕事をしているのでリアルな取り組みをしてみたかったんですよ。手応えも感じましたし、今後もイベントをやっていきたいですね。あと、スニーカーやストリートウェア市場を広げていきたいという意味で、全然違うユーザーさんを相手にしている異業種の企業と取り組んでいきたいと考えています。あまりやりすぎるとブランド価値が保てなくなりそうなのでバランスを見ながら、商品のことも考えながらという感じですね。
アトモス本明:「ワーム トウキョウ(WORM TOKYO)」が今度2店舗目を大阪に出店しますが、あそこでだいたい年間4億5000万円ぐらい売っているんですよ。リセールって目が良ければ凄く儲かる市場で、ワームは一点モノをペイパルとかを使って海外にも売っているし。スニーカーブームって日本だけじゃないので、買い取りでしっかり売り切ることができれば差別化もできるし良さそうだけどね。
スニダン内山:僕らはプラットフォームなのでユーザーさんが出品した商品になりますが、ワームさんのような買い付けができるようになったらやりたいです。面白そうですし。
アトモス本明:買い付けの日本のツートップがワームの大草(大草良平)くんと「スキット(SKIT)」の鎌本(鎌本勝茂)くん。ここは儲けているよ。
スニダン内山:「ローテックス(LOWTEX)」は入ってこないんですね。
アトモス本明:ローテックスはあるものしか売らないスタイルで細かく追ってないからお客さんが満足しなくて。今は無駄なことをやらないとお客さんが喜ばないんですよね。例えば僕がやっている偏愛企画もそうですが、マニアが表に出てくるようになってきた。スニーカーに人生をかけているような人にフォーカスすることで面白いコンテンツが生まれているんですよ。数字には繋がらないかもしれないけど、そういった無駄なことをしていかないと。
—2021年下半期に注目しているスニーカーはありますか?
アトモス本明:「アグ®(UGG®)」ですかね。「ホカ オネオネ(HOKA ONE ONE)」と同じデッカーズだから言ってしまえばホカ オネオネにファッション性を追加したような感じ。ブーツで名前も知られているので若い人たちの親近感があるのか、想像していたよりも売れるんですよ。
—アグは2019年頃からリブランディングしていますよね。
アトモス本明:そうそう。デニス・ロッドマン(Dennis Rodman)だったり、グラミー賞を受賞したラッパーのリル・ウェイン(Lil Wayne)を起用してPRをしていて。だからアメリカではめちゃめちゃ売れているんですよね。
—日本でも人気になりそうですか?
アトモス本明:ムートンブーツが人気なので夏になると全然売れないという状況だったんですけど、最近は夏もスニーカーがあるから売れているんですよ。客層も幅広いらしく、ファッション性と機能性の両立が上手くいっている。ニューバランスの良さがアグに取られてしまった感じ。ニューバランスはその影響からかアメリカでのシェアが徐々に落ちていて。だから最近は一生懸命色んなブランドとコラボしているんですよね。
—なるほど。内山さんは注目しているスニーカーはありますか?
スニダン内山:模範解答のようですが、「オフ-ホワイト(Off-White)」のダンクと、トラヴィス・スコット(Travis Scott)のエア マックスですかね。
アトモス本明:でもあれも偽物が大量に出回って終わる気がする。オフ-ホワイトのダンクも50色出るけど、ナイキとオフ-ホワイトの青山の店舗でしか扱わないと思うし。
スニダン内山:1番が白、50番が黒で、50色が少しずつ色が違うんですよね。アトモスさんも取り扱わないんですね。
アトモス本明:グローバルでも凄く絞って展開するからうちは入ってこないよ。ちなみに日本では48色しか売らないって聞いたからおそらく2〜49番しかないと思う。
スニダン内山:えー、そうなんですね。しかも買えても色が選べなくて箱を開けるまで何色か分からないって聞きましたよ。詳細はまだわかりませんけど気になります。
—では、最後に下半期の目標を教えてください。
アトモス本明:面白くないとどうにもならないと思うんですよ。売り方の想像とか、商品の企画力とか。下半期だけの話ではないですが、1年間を通してお客さんが飽きないように面白いことを。どうでもいいことをやりたいので、無駄だと思われるような偏愛だったり変なことをやって、数字がついてくるのが理想ですね。
スニダン内山:僕らはずっと粛々とやるというのがモットーで、日々の積み重ねが全てという考えです。一発これをやって当てようとかは一切なく、下半期も変わらずやるべきことを粛々とやって、スニーカーヘッズじゃないユーザーさんも増やしていきたいですし、リアルイベントも、海外展開もしていきたいです。全部含めて社内の各自で分担されているので、各々粛々とやって成長していこうぜという感じです。
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