前回「HOME」をテーマにコレクションを発表した「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が、今回の2021-22年秋冬コレクションで着目したのは足元の「GROUND」。デザイナー森永邦彦は、天地や重力の逆転といった視点の転換により、非日常を日常に取り込むようなコレクションを提案した。
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■重力逆転で柄やディテールに変化
コレクションムービーに映し出されているのは、一見するとオーソドックスなランウェイショーの会場。ファーストルックにドット柄のコートが登場し、続く2ルック目で変化が起きた。モデルが逆さまになり、ランウェイではなく天井を歩いてくる。よく見ると、着用しているコートの形は一体目と同じだが、ドット柄が重力で肩の方に落ちていくようなデザインに変わっていた。重力の逆転によって、セーラーカラーや靴紐、髪の毛は、従来とは反対の方向に逆立っている。
続くルックの市松模様、千鳥格子、花柄、星柄、そしてニットの編み柄も、反転した重力に引き寄せられて肩の方に寄っていたり、歪んだりしている。
ユニークなアイテムは、りんごの木の絵柄のニット。地球上の万有引力に逆らうように、落ちたりんごが木から天に向かっていくようなデザインとなっている。
■上下逆転で着られる服も
重力逆転のアイデアは、ディテールにも反映された。ポケットやベルト、ボタン、スタッズなどが、従来の位置を離れて肩の方に寄っている。裾はめくれ上がって裏地が露出。トレンチコートやライダースジャケットといった見慣れた定番アイテムも、逆さまの力を加えることによって新鮮なデザインに変わった。
終盤に登場したのは、天地を逆転しても着られる服。一着のフリルドレスが、ひっくり返して着ると違ったデザインになる。天と地、上と下、対局の概念が混じり合うようなコレクションとなった。
PITTA MASKとコラボレーションしたパッチワークマスク
Image by: ANREALAGE
■音楽は「天国と地獄」をアレンジ
ムービーの撮影は、通常のランウェイと逆さまのランウェイ、2つを設営して行ったという。音楽はサカナクション・NFの山口一郎と、NFの青山翔太郎が担当。テーマを反映し、作曲家ジャック・オルフェンバックによる楽曲「天国と地獄」をベースに、サウンドエフェクトやビートを加えてアレンジした。
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