文化人やアーティストとの交流・創造の場に、「AKIRANAKA CONCEPT SHOWROOM」がオープン
「AKIRANAKA」ディレクターの中章氏
Image by: AKIRANAKA
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文化人やアーティストとの交流・創造の場に、「AKIRANAKA CONCEPT SHOWROOM」がオープン
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「アキラナカ(AKIRANAKA)」が、ブランドの哲学や価値観を共有する新たなショールーム「AKIRANAKA CONCEPT SHOWROOM」を東京・羽根木に構えるアトリエの1階にオープンした。
「AKIRANAKA CONCEPT SHOWROOM」は、ブランドの哲学や価値観を共有し、新たなインスピレーションを生むための特別な空間として誕生。既存のPR活動を補完する形でブランドのストーリーや価値観を深く伝え、文化人や業界のキーパーソンと直接交流する機会を提供することを目的としている。
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ショールームは、緑豊かで静寂に包まれた場所に立地。建築物や空間自体が「日本的な美しさ」と「ブランドの美意識」を体現している。室内では、コレクションに合わせてシーズンごとに装飾を変更。書籍や花器、香り、茶、音などを通してコレクションのテーマやメッセージを五感で感じられる形で表現するほか、デザイナー 中章によるドローイングやインスタレーションなども展開する。
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また、今後は定期的に、文化人やアーティストとの交流やコラボレーション、対談などの多彩な企画を予定。コンセプトショールームは原則として一般開放は行わないものの、コラボレーションから生まれた一般客も来場可能な展示やイベント等の開催も計画しているという。
“服とコンテクスト”の双方を伝えられる場を
今年でブランド設立15周年を迎えた「アキラナカ」。デザイナーの中章(ナカ アキラ)氏に、今回コンセプトショールームを新たにオープンするに至った背景や思い、近年のブランドや自身の在り方と価値観の変化、今後の展望などについて話を聞いた。
── 今回、「CONCEPT SHOWROOM」を新たに作ろうと思った背景を教えてください。
僕はアントワープで学んだこともあり、これまでずっとコンセプトベースで服を作ってきました。ですから、コレクションが“最終的なゴール”ではありつつも、実際には毎回そこに至るまでに相当な量のリサーチをしていて、多くの学びや気づきを得ています。そのような経験の中で、「制作する過程で自分たちが学んだことや得た視点を、自分たちの顧客にも伝えることができないか」という思いを持ったことが、最初のきっかけでした。
特に、最新の2025年春夏コレクションはドイツの抽象画家 ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)が着想源なのですが、リサーチの過程で彼の有名な提言でもある「全てを等しく重要に、あるいは等しく重要でなくする」という価値観を知って自身のコレクション制作に照らし合わせてみたとき、「リサーチで学んだこと」「実際に作り上げたコレクション」「コレクションのヴィジュアル制作」という一連の作業の価値や重要性は、“フラット(等価)”だということに気がついたんです。だからこそ、例えばコレクションの制作過程を動画にして共有したり、ヴィジュアルをブックにしてお客様に見てもらうといったことをはじめ、服とコンテクストを両方お見せできるような企画や場所を作りたいと考えたんです。
2025年春夏コレクションのルック
Image by: AKIRANAKA
2025年春夏コレクションのルック
Image by: AKIRANAKA
── このショールームが、まさに「服とコンテクストを両方見せる場」ということでしょうか。
そうですね。これまで、アキラナカでは「洋服」を見せる機会としては展示会やリテールなどがあったものの、「コンテクスト」を見せる機会はありませんでした。でも、このコンセプトショールームを作り、「コンテクスト」という抽象的なものをベースにすれば、茶道の流派の家元をはじめ、ミュージシャンや陶芸家、画家、社会学者のような分野の異なる方々とも、対話やコラボレーションができるのではないかと考えました。
例えば、今回の2025年春夏コレクションなら、“等価”という価値観やテーマをベースにして制作した陶器や楽曲、絵画があってもいいですし、社会の出来事や現象の中で見られる“等価”について語ることもできます。それらを打ち出した展示やイベントを、ギャラリーなどで開催してもいいですよね。
── 服の背景にあるコンテクストを起点に、他の文化領域との繋がりや広がりを知ることができるというのは、とても興味深いです。
服だけでなく1つのコンテクストをベースにさまざまなものに触れることができた方が、“アート”を日常のリアリティの中に見出していけるようになる気がしていて。襖や掛け軸、茶碗、庭などに代表されるように、日本的な芸術の在り方や趣の捉え方は“日常の内側”にある。そして、「装い」も日常の重要な一部分なので、服自体の素敵さはもちろん、その背景にあるテーマや、着想源となった人物の生い立ちや表現などを皆で共有できるような、インテレクチュアルな時間や場を提供できたらと思っています。
装いにも、コンテクストを知ることで着る時の気持ちが変化したり、「今日はこのマインドだから、こういう背景がある服を着よう」という選び方があってもいい。洋服は物として高価なものだからこそ、そういった楽しみ方があっていいと考えています。
── 「日本的な芸術の在り方」に着目されているとのことですが、2019年のインタビューでも、今気になっているものとして「日本」を挙げていらっしゃったのが印象的でした。
当時はパリに出た直後だったということもあるのですが、パリでプレゼンテーションを行うようになってから、作る服や自分の行動が「日本っぽい」と言われることが多かったんです。以前は「日本らしさ」は自然に出るものだからあえて表現しなくていいと思っていたものの、最近は、自分自身もまだ日本や日本的なものの良さに十分触れられていないと感じるようになって。近年は、国内のさまざまな場所を旅する中で、これまでは見えなかったことや感じられなかったことを感じるようになった部分もあるので、今後は改めて、そういった日本的なものの豊かさや良さを伝えていきたいですね。
── 今年でブランド設立15周年。ブランドの現在地について教えてください。
今はアトリエやPR、生産チームも含め、ブランドとしての体制が確立され成熟してきたため、年4回のコレクション制作もアシスタントに任せられる部分が少しずつ増えてきました。それによって、ようやく僕自身がアトリエワークから少し外に出て、リサーチのために京都の寺を回ったり、イサム・ノグチの作品を見に香川に行ったり、茶会に出てみたりと、様々な文化人やアーティストの方々と少しずつ交流を深める機会を得られるようになりました。今後はそういった他の分野の方にもファッションの素晴らしさや文化価値を伝えていきたいですし、そういったものを互いに交換し合えたらいいなと思っています。
── 最後に、コンセプトショールームやブランドとしての今後の計画や展望を教えてください。
まずは第1弾のイベントとして、あるチェリストがアキラナカの2025年春夏コレクションから着想を得て作った楽曲と、それを聴いたフォトグラファーが楽曲からイメージして撮った写真作品、その3つを合わせた展示の開催を計画しています。「洋服が音源に、音源がイメージに変わる」という、それぞれの美意識や創造性がジャンルを超えて影響し共鳴し合うことを体感していただけるような内容になる予定です。
ブランドとしては、女性が誰とも会わない日でも「自分のために着たい」と思うような、自分自身を鼓舞したり高めてくれるような服をこれからも作っていきたいです。
「AKIRANAKA」ディレクターの中章氏
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