2024年秋冬シーズンのパリ・ファッション・ウィーク
Image by: Acne Studios、BALMAIN、DRIES VAN NOTEN
2024年秋冬シーズンのパリ・ファッション・ウィークで注目を集めたのは、シュールレアリスティックなモチーフ。廃タイヤの椅子を会場に登場させ、ランプシェードのドレスを発表した「アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)」、ボルドー産のブドウやエスカルゴをモチーフに取り入れた「バルマン(BALMAIN)」、自分で前髪を切る女性像を神秘的に表現した「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のコレクションを振り返る。
レザー&デニムで形成するアクネ ストゥディオズの鎧
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アクネ ストゥディオズの2024年秋冬コレクションの舞台となったのは、パリ天文台。会場にはアーティストのヴィル・ヤーニソー(Villu Jaanisoo)が手掛けた2つの大きな彫刻「Chairs in Rubber(2001)」が設置されていた。廃タイヤを使用し、工業用の家具本体を表現したこの作品は、コレクションテーマともリンク。丈夫さと人間のフォルムに着目し、レザーとデニムにフォーカスする内容となった。
「レザーとデニムはアクネ ストゥディオズの精神。この2つはパンクからS&Mまで、ジャンルやサブカルチャーを超越することができる」とクリエイティブ・ディレクターのジョニー・ヨハンソン(Jonny Johansson)は語る。鎧のようなレザーのドレスは馬具の製法からインスピレーションを得たもの。デニムには、オイルコーティングやメタリックな装飾、錆からインスパイアされた加工などを施し、メカニックなムードを演出した。メッシュとボーニングでストレッチされたランプシェードドレスなども登場し、彫刻的かつ未来的なルックが視線を集めた。
Image by: Acne Studios
ルスタンの故郷ボルドーとバルマンの歴史を結びつけて
バルマンを手掛けるオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)は、創業者であるピエール・バルマン(Pierre Balmain)が愛した園芸に着目。ムッシュがクチュール作品に頻繁に取り入れたリンゴ、ナッツ、イチゴの装飾の代わりに、ルスタンの故郷ボルドーの産物であるブドウにフォーカスした。また、雨の多いボルドーにちなんでトレンチコートを現代的にアップデートしたルックも登場。クラシカルでエレガントな世界観を、熟成したワインのように魅力的なシルバーヘアのモデルたちが体現した。
そのほか、ボルドーの屋外マーケットで使われる伝統的なマルシェバッグ、ピクニックを彷ふつとさせる市松模様のヴィシープリントなど、すべてがルスタンの幼少期の思い出とリンク。さらに、ボルドーのブドウ、料理、庭園から連想したエスカルゴも重要なモチーフに。コイル状のステッチやゴールドのメタル・ブレストプレート、そして貝殻からインスピレーションを得たボタンやジュエリーなどがドラマチックな装いを作り上げた。
Image by: BALMAIN
ドリスが手掛ける最後のウィメンズコレクション
6月末の2025年春夏のメンズコレクションでデザイナーを退任すると発表した、創業者のドリス・ヴァン・ノッテン。2024年秋冬コレクションのテーマは「自分で前髪を切る女性」。ショーの招待状には切り取られた前髪が貼り付けられていた。モデルたちは目元を覆い隠すほどの長い前髪でランウェイに登場。深みのあるリップカラーが意志の強さを感じさせた。
キーワードとなったのは二面性/二元性。タフさと柔らかさを併せ持つアウターや、体を包み込むテーラリングなどが、控えめでありながら大胆なフェミニニティを表現している。シワやドレープ、ふわふわした素材はレイドバックなムードを演出。塗りたての絵の具をモチーフにした刺しゅうなどが輝きを添え、フィナーレには鮮やかな色の洪水が高揚感たっぷりに会場を包んだ。
Image by: Dries Van Noten
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