2024年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウィーク(Milan Fashion Week)が9月20~25日(現地時間)に開催された。シモーネ・ベロッティ(Simone Belotti)が新ディレクターに就任した「バリー(BALLY)」をはじめ、「ボス(BOSS)」「フェラガモ(FERRAGAMO)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」など、2024年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウィーク後半のハイライトを振り返る。
未来的な空間でオフィスウェアを再解釈した「ボス」
ADVERTISING
「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」のコアブランド「ボス(BOSS)」は、「see now, buy now(今見て、今買う)」方式で2023年秋冬コレクションを披露した。クリエイティブ・ディレクションを手掛けるマルコ・ファルチョーニ(Marco Falcioni)は「CorpCore(コープコア)」と名付けたコレクションを、広大なカンファレンスセンターで発表。人類とテクノロジーが交差する未来的空間で、AI ロボットのソフィアがゲストを出迎えた。ブランドアンバサダーのイ・ミンホ(Lee Min Ho)が映像とリンクする形で会場に現れ、ショーがスタート。
今回ファルチョーニがこだわったのは、ブランドの伝統であるテーラリング。パリッとした素材とシャープなシルエットを採用し、スーツやシャツ、ペンシルスカートといったオフィスウェアをモダンに再解釈。ペーパークリップやペン、フォルダーといったオフィスの備品をアクセサリーとして取り入れ、ブリーフケースに施された数字錠のディテールをウェアにも施すなど、主張あるデザインを生み出していた。
カリブ的な自然体の心地よさを表現する「フェラガモ」
マクシミリアン・デイヴィス(Maximilian Davis)が手掛ける「フェラガモ」は、イタリアとカリブ海のドレスコードの精神に類似点を見出しながら、1960~70年代にイタリアで興った「アルテ・ポーヴェラ(Arte Povera)」のコントラストからもインスピレーションを得たという。アルテ・ポーヴェラは、日常にある天然素材と人工物を組み合わせ、アートへと昇華させた芸術運動。それに倣い、デイリーな素材であるリネンやコットンをサテンにボンディングしてケープにするなど、天然素材を洗練されたスタイルに昇華させた。「親しみやすいワードローブであると同時に、手で触れた感覚がおもしろいものを作りたかった」とマクシミリアンは語る。
バッグは、前回のコレクションからグラフィカルなラインと幾何学的なフォルムを継承。「ハグ(HUG)」はキャンバスやレザーのほか、ポーチのスタイルが登場した。また、アーカイヴのライターをクロージャーとして取り入れたショルダーバッグ「フィアンマ(FIAMMA)」がデビュー。クラシカルなワンハンドルバッグには、今シーズンの自然体なムードを象徴するウッドビーズやフリンジがあしらわれた。
自信に満ちあふれた「ドルチェ&ガッバーナ」の女性像
ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)とステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)が手掛ける「ドルチェ&ガッバーナ」の今季のテーマは「WOMAN」。力強くも挑発的な女性たちを讃えるモノクロ写真をインスピレーション源に、ブラックとホワイトを中心にしたルックを披露した。1960年代のクリーンなラインとシルエットも取り入れ、ブランドのコードを再解釈。コルセットやアンダーウェアにシアーなブラウスやチュールドレスを重ね、官能的なムードを演出。新たなシチリアの女性像を創り上げた。
また、テーラリングにこだわり、襟の大きなトレンチコートやオーバーサイズのジャケットも登場。シェイプの効いたアイコニックなドルチェジャケットは、ショート、ミディアム、ロング丈の3つのバージョンで展開した。ラストルックには、スーパーモデルのナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が登場。その堂々としたウォーキングに会場からは喝采が送られた。
新ディレクターが着目した「バリー」のアイデンティティ
「バリー」のショー会場は、サン・シンプリチアーノ教会の庭園。新ディレクターのシモーネ・ベロッティは、ブランドのルーツであるスイスのアイデンティティにフォーカス。20世紀初頭に多くの文化人・知識人たちが集った南スイスのユートピア「モンテ・ヴェリタ(Monte Verità)」の精神に通じる、落ちついたエレガンスを提案した。モンテ・ヴェリタのコミュニティには、ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)やイサドラ・ダンカン(Isadora Duncan)などが参加し、様々な分野で文化的革命を起こした。コレクションにはスイスレッドやアルプスの植物のモチーフを取り入れる一方で、都会的なムードをミックス。人間の本質を映し出す二面性のコンセプトを反映した。
また、ブランドのアーカイヴにも目を向け、1920〜1950年代のフォーマルシューズをさらに洗練させて復刻。ポリッシュ仕上げの「アッペンツェラー(appenzeller)」タリスマンベルトやツールドレザーベルは、いずれもスイスの習慣へのオマージュだという。バリーのリボンと紋章で縁取られたソフトキャンバス地のメッセンジャーバッグやウィークエンダーバッグも登場し、伝統とクラフトマンシップを継承した実用的なアイテムを提案した。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【注目コレクション】の過去記事
TAGS
記事のタグ
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境