(左より)サンローラン、プラダ、エルメス、フェンディ、ヴァレンティノ
Image by: SAINT LAURENT、PRADA、HERMÈS、FENDI、VALENTINO
今年は、世界各地で熱波被害や記録的な暑さが確認されている。6月に発表された2024年春夏メンズコレクションでは、極端に短いショートパンツや透ける素材といった"肌見せ"の要素を多くのブランドが取り入れていた。特に目立った新しいメンズスーツやテーラリングの提案に着目し、猛暑を乗り切るヒントを探る。
太ももを露わにするショートパンツ
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今季のランウェイは膝上丈のショートパンツが豊作。「プラダ(PRADA)」は、ハイウエストがジェンダーレスなムードを引き立て、「エルメス(HERMÈS)」はコンパクトなシルエットがエフォートレスな印象に。ほかに「フェンディ(FENDI)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」「アミ パリス(AMI PARIS)」「トム ブラウン(THOM BROWNE)」「ターク(TAAKK)」も、ジャケットとショートパンツの組み合わせを提案。ここまで短い丈が揃うのは異例とも言える。
フェンディ
Image by: FENDI
シューズとの絶妙なバランス感
足元はソックス&ローファーや素足にサンダルなど様々だが、「ダブレット(doublet)」は「スイコック(SUICOKE)」とのコラボレーションによる5本指シューズをスタイリング。これまでスラックスで隠されてきた男性たちの脚を解放し、新鮮なバランス感を生み出した。
スラックスを穿かない、という選択
「ポール・スミス(Paul Smith)」のショーでは、モデルたちが脱いだスラックスを片手に、トランクス風のショートパンツでランウェイに登場。コロナ禍のリモート会議に「上半身ジャケット、下半身パジャマ」で参加した男性たちのような、どこかユーモラスなスタイリングが目を引く。デザイナーのポールは「テーラリングはとかくシリアスなものだと思われがちだが、私はいつも、それがいかに楽しいものであるかを人々に伝えたいと考えてきた」と語る。
ハーフパンツもフォーマルな雰囲気で
マスキュリニティの再定義を試みた「ヴァレンティノ(VALENTINO)」と、ファレル・ウィリアムスによる新生「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、ウェアラブルなハーフパンツをセットアップで提案。「ゼニア(ZEGNA)」はジャケットの袖も短めに、軽やかな夏の装いを作り上げた。いずれも膝丈のリラックス感のあるワイドシルエットだが、センタープレスの入ったデザインがフォーマルなイメージをキープ。“脱スラックス“に挑戦しやすいバランスとなっている。
ジェンダーレスなスカートスーツ
性差を超越する「トム ブラウン」では定番となっているが、今季は「ヴァレンティノ」もジャケットとスカートの合わせ技を提案。どちらもテーラリングに定評のあるブランドならではの、洗練されたアプローチとなっている。近年、ブラッド・ピットやオスカー・アイザックなど多くのセレブが着用するメンズスカートは、男性はこうあるべきという固定観念を打ち砕き、ファッションに自由な選択を与えている。
上半身の肌見せもポイントに
ジャケット×シャツという鉄板の組み合わせにも変化が生まれている。「サンローラン(SAINT LAURENT)」はビッグショルダーのジャケットに、大きく胸元の開いたブラウスをスタイリング。男らしさの固定概念を揺さぶる「ドリス ヴァン ノッテン」はゴールドチェーンのアクセサリーでデコルテを飾り、肉体の存在感を強調した。シャツもネクタイも省いた装いは、力強さと官能性の両方を併せ持つ。
シアーなトップスをインナーに
エルメス
Image by: HERMÈS
「素肌にジャケット」のほか、軽やかに透けるインナーも今季を特徴づける潮流となっている。「エルメス」は「光と透明感」をキーワードに、シアーなシャツとタンクトップをレイヤード。ほかにも「トレーシングペーパー」と呼ばれる生地をシャツやジャケットに取り入れ、素肌が透けるルックを数多く発表した。「フェンディ」は同系色のメッシュ素材をインナーに取り入れ、「ドルチェ&ガッバーナ」と「ドリス ヴァン ノッテン」はシアーなトップスを覗かせ、涼しげな装いを完成させている。
室温の適正化とその温度に適した軽装などの取り組みを促す「クール・ビズ」が日本で提唱され始めたのは2005年だが、もはや「ノーネクタイ、ノージャケット」だけでは凌げない暑さとなっている。今回紹介したスーツスタイルのバリエーションは私たちを様々な規範から解放し、これからの未来を生き抜くための装いのヒントを与えてくれる。
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