今年のお買い物を振り返る「2024年ベストバイ」。15人目は韓国を拠点に活動するスタイリストのチェ・ユミ(YUMI Choi)さん。人気ガールズグループNewJeansのデビュー曲から現在までスタイリングディレクション&スタイリングを担当しています。2000年代の「STREET」や「CUTiE」を彷彿とさせるそのコーディネートは「Y2Kリバイバル」の火付け役ともなり、K-POPに関心の薄かったファッション好きも魅了。時代のムードを掴んだ懐かしさと新鮮味が融合したスタイルで幅広い層から支持を集め、世界的なトレンドをけん引しています。今世界が最も注目する“トレンドメーカー”が「今年買って良かったモノ」とは?
目次
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Kiko Kostadinov × Levi’s® 原宿店&オンライン限定バッグ
FASHIONSNAP(以下、F):「キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov、以下 キコ)」がとてもお好きだとか。今回も6つ中3つにキコのアイテムを挙げていただきました。ブルガリア人デザイナーが手掛けるロンドンの気鋭ブランドですね。今年3月には東京に世界初の店舗をオープンするなど、日本にも縁が深く国内でも人気が高いブランドです。
チェ・ユミ(以下、ユミ):キコは一番好きなデザイナーズブランド。全てのアイテムが好きなので、ついつい買ってしまいます。今年は、パリのファッションウィークでウィメンズのショーに招待していただいたり、アーティストのために特注品を仕立てていただいたりと縁が深まって幸せな1年でした。
F:最初にご紹介いただくのは、定番の「MARGUTTA BAG」の原宿店とオンラインストア限定モデルです。
ユミ:原宿店には、オープンしたタイミングで友人と一緒に買い物に行きました。花柄とブラウンの組み合わせが美しいですし、形も使いやすくて気に入っています。すごく似合うと友人からも言ってもらったし、原宿のお店でしか実際に手に取ることができない特別感も感じ、記念に購入しました。
F:アーティストの歌番組やライブに合わせて、日本に来る機会は多いと思いますが、日本でもよく買い物をされるんですか?
ユミ:今は忙しくてそもそも買い物に出かける時間があまり取れていなくて、基本的にはオンラインで買い物をしています。でも日本を訪れて時間があるときはドーバーストリートマーケットギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)や渋谷PARCO、ラフォーレ原宿など、短時間でも最新のトレンドに触れることができて、様々なブランドをチェックできるファッションビルを見にいくことが多いですね。
F:好きな日本ブランドはありますか?
ユミ:やっぱり「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」や「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」、「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」、「フラグメント(fragment design)」、「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」でしょうか。
ECCO.Kollective × Kiko Kostadinov シューズ
F:続いて、日本では今年8月に上陸したばかりの「エコー コレクティブ(ECCO.Kollective)」とキコのコラボシューズです。エコー コレクティブの日本上陸を記念して発売されたものですね。
ユミ:キコのブランド性がよく出ているし、インパクトのあるデザインが可愛くて一目惚れでした。色もポイントで、普段は黒っぽい服をよく着るので、アクセントとして取り入れています。履いていると必ず褒められます。流石キコだなぁ(笑)。エコーコレクティブもこれを機に注目するようになりました。
Kiko Kostadinov × Levi’s® トップス
F:3つ目は、キコと「リーバイス(Levi’s®)」のコラボトップス。グレーとマルチカラーの2色を色違いでお持ちいただきました。
ユミ:服も雑貨も、気に入ったものに出合うとつい色違いまで揃えてしまいます。「ひとつ買ったから、別の色は諦めなきゃ…」と思うのが嫌で。
F:このアイテムのお気に入りポイントは?
ユミ:このトップスは、色々なスタイリングができるのも面白いアイテム。1枚で着ても可愛いですが、ボタンを外したり留める位置を変えたりして別のアイテムとのレイヤードが色々と楽しめます。単純に見て「可愛い」と感じた服が色々なアレンジができるものだと、尚更好きになります。
HYEIN SEO フットボールシャツ
F:NewJeansもよく着用している韓国のブランド「ヘイン ソ(HYEIN SEO)」のフットボールシャツです。
ユミ:ヘイン ソは、韓国ブランドの中では一番好きなブランドです。昔から仕事でもよくご一緒していますし、個人的にも普段から愛用しています。
サッカーのバイエルン・ミュンヘン(ドイツ・ミュンヘンのチーム)対トッテナム(イングランド・ロンドンのチーム)戦が韓国で開催された際のハーフタイムショーでメンバーが着用した衣装は、このシャツをベースに製作していただきました。
F:なんと、ユミさんナンバーのスペシャルなアイテムもお持ちいただきました。
ユミ:普段からブランドと親交が深かったので、衣装をオーダーした記念に、私とミン・ヒジンさん(NewJeansのプロデューサー)の分も作ってくださったんです。すごく気に入ったので色違いも欲しくなり、黒い方は自分で購入しました。
POST ARCHIVE FACTION パーカ
F:こちらも2色買いのアイテム。韓国発ブランドの「ポスト アーカイヴ ファクション(POST ARCHIVE FACTION)」のパーカです。
ユミ:ポスト アーカイヴ ファクションも好きなブランド。家に本当に大量にあります(笑)。このアイテムは、肌触りが良くて軽いので、春先の肌寒い時期にも、夏場のエアコンがきつい室内でも、サッと羽織ったり肩に巻いたり、どんなシーンや季節にも重宝します。本当に今年はこれをよく着ました。
F:サッカーシャツに続き、アクティブなテイストのアイテムですね。
ユミ:「ゴープコア(アウトドアウェアをストリートに取り入れたファッションスタイル)」スタイルが好きで、そういったテイストや考え方をベースにしているブランドに関心があります。着心地が良くて、サイズはタイトすぎるものより少しゆとりのあるものが好き。
VeniceW バッグ
F:最後は、ロンドンのブランド「ベニスW(VeniceW)」のバッグです。缶バッジがたくさんついたデザインが特徴的ですが、一つだけハローキティのバッジがついていますね。お好きなんですか?
ユミ:「珍しいバッグだね」と言ってもらう機会が多いバッグ。撮影時にもしょっちゅう使っていたらすごくボロボロになってしまいました。このバッグには元々ブランド名のアルファベットが書かれた缶バッジが付属していたんですが、気がついたらいくつか消えていて。取れてしまった「N」の代わりに、ミンジ(NewJeansのメンバー)がくれたキティちゃんのバッジを付けています。
F:スタイリストさんは荷物が多いイメージですが、バッジがたくさんついていると、結構重そうです。バッグ選びの基準は?
ユミ:「お気に入りのデザインで、かつ荷物がたくさん入る大きなもの」が好きです。小さいバッグに入れるようなものだけなら、ポケットに入れれば良いですし。そして、もし荷物を入れすぎて重すぎてしまうようなら、荷物を減らします(笑)。バッグはデザイン重視です。
F:ベニスWも衣装でもよく採用されているブランドです。東京ドーム公演の羽つきベストのセットアップは特に印象的でした。ブランドやアイテムの情報収集はどのようにされているんですか?
ユミ:衣装でも、私服でもよく購入しています。ブランドは基本はInstagramで見つけることが多くて、よく利用するプラットフォームは「エッセンス(SSENSE)」。お気に入りのブランドは大体固定されているので、常にパトロールしています。
F:ちなみに、今日の洋服はどこのものですか?
ユミ:パンツはキコ、シューズはポスト アーカイヴ ファクションと「オン(On)」のコラボ、中に着たパーカもポスト アーカイヴ ファンクションで、上に重ねているのはイッセイ ミヤケです。帽子は仕事でメキシコに行った時にメキシコ空港で買いました。
F:だから「MEX」なんですね!(笑)。
ユミ:アウターのパデッドダウンはヘイン ソのもので、ダウンは本当にたくさん持っているんですが、軽くて暖かくて気に入っています。「ミュウミュウ(MIU MIU)」のジャケットは特に日本の方から褒められることが多くて、これらも今年買ったものなんですが、良い買い物でした。
F:毎日のスタイリングはいつもどのように考えているんですか?
ユミ:感覚ですね。服の山の中から、その日にパッと目に留まったアイテムを手に取って、それに合うものを組み合わせていきます。自宅には服が溢れていて、本当にもう牧場の牧草のように積み上がっているので(笑)。
今年を振り返って
F:今年の買い物を振り返ってみて、いかがですか?
ユミ:本当にたくさん服を買いましたね(笑)。
F:日頃はどれくらい服を買うんですか?
ユミ:タイミングによって異なりますが、職業柄服をたくさん見るので、色々と欲しくなってしまって。多い月は10アイテム以上、金額で言うと200万ウォン(約21万円)を超えることもあります。
F:それは家に山ができるのも納得…。私服はオンラインで購入することがほとんどだというユミさんですが、中には「失敗」だった買い物も?
ユミ:基本的には良い素材を使用しているクオリティにも信頼がおけるブランドをチェックすることが多いし、これまでにたくさん服を見てきたので、オンラインの画像だけでも大体は想像がつくのですが、たまに思ってたのと違うものが届いたり、返品対応が不可だったり…。そんなこともいっぱいありますよ。
F:とにかく服に向き合う試行回数を増やすことも、服好きの楽しみの一つでもありますしね。買い物上手なイメージがあったユミさんも様々な失敗を重ねていると知れて、なんだか励まされました!今日は年末前のお忙しい時期に、仕事の合間を縫って取材にご対応いただきましたが、今回の日本滞在中にも何か買い物はできましたか?
ユミ:スケジュールが詰まりすぎて全く時間が取れなくて(泣)。
F:おつかれさまです…。今、日本で行ってみたい場所はありますか?
ユミ:沖縄にバカンスにいきたいです。
F:ゆっくり沖縄でリフレッシュできる休暇が取れることを祈っています!ユミさんが手掛けたアーティストたちのスタイリングは、世界的な新しいトレンドをけん引しています。ユミさんが予測する「2025年に注目されそうなトレンド」はありますか?
ユミ:とても難しい質問ですね。これまでもトレンドを意識して衣装を組んできたわけではないし、ピックアップしたブランドたちも「流行りそう」という狙いで選んだというよりはただ「素敵だな」と思ったものを選んできたので…。
F:では、インスピレーションはどこから来るのでしょうか?
ユミ:“インスピレーションを得るため”に本や映画を鑑賞するというよりは、これまで日常的に触れてきた様々なものを思い出したり、自分で想像したものや思いついたアイデアに踏み込んでいくようなイメージですね。
F:ユミさんのスタイリングは懐かしさと同時に新鮮さがあって驚かされます。「新しいものを作りたい」というモチベーションが強いんでしょうか?
ユミ:それは強くあります。だから、トレンドを作っていると言っていただくけれど、トレンドを追いたくはない。同じようなものがたくさん作られる流れを感じたら、あえてそれを追わないようには意識をしています。他の人と似ていることよりも、少し違うことがしたい。だから“インスピレーションがない”というのはつまり、誰かを真似するのではないオリジナリティを追求したいという気持ちでもあるんです。だって、その方が「可愛い」と思うから。
F:ユミさんが最近「可愛い」と思ったものは?
ユミ:担当しているアーティストたちですかね。彼女たちは本当に明るくて、美しいんです。
◾️YUMI Choi
韓国の美大でガラス工芸を学んだ後、2008年にハ・サンベクのデザインアシスタントとしてキャリアをスタート。SHINeeやBIGBANGなど様々なアーティストのスタイリングを手掛けた。NewJeansは、2022年7月のデビュー曲「Attention」から現在までスタイリングディレクションとスタイリングを担当している。
インスタグラム:@choiyumi___
photography: Tomoharu Kotsuji
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