気がつけば今年も残りわずか。いつもより少し長い今年の冬休みは、スマホを置いて、ゆっくりと読書に明け暮れるのも良いですよね。
FASHIONSNAPでは、カルチャーからデザイン、写真に至るまで、幅広い視点からファッションへの理解がもっと深まる「2024年”ファッションの副読本”」を調査。都内有名書店スタッフの皆さんに、2024年に発売された「ファッションに興味のある人に今読んで欲しい本」を聞きました。
目次
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ジュンク堂書店 池袋店──ジェンダー規範から自由になれる気がする一冊

藤高和輝 著 「バトラー入門」(筑摩書房)
ジェンダー・セクシュアリティ研究の基本書と言われるジュディス・バトラー著「ジェンダー・トラブル」の入門書。
服を着る時、どうしてもついてまわるジェンダー規範から自由になれる気がする一冊です。
特に第2章、ドラァグ・クイーンのパフォーマンスと、世で展開されているいわゆる「女性らしい、男性らしい振る舞い」を比較する論考では、ジェンダーに本物も偽物もないということがよく理解できます。
ジュンク堂書店池袋本店 人文書担当 井手さん

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バトラーの難解な名著を、筆者の軽妙な語り口で当時の社会背景を踏まえて解説してくれます。これからの社会では、ジェンダーにまつわる様々な言葉や出来事を「なんとなく」ではなく、しっかりと自分の頭で理解し、自分なりの考えを持つことが必要不可欠。2024年の必読本です。
◾️「バトラー入門」内容紹介(筑摩書房公式サイトより)
クィア理論って何? ドラァグ論ってどこから来たの? パフォーマティブってつまりどういうこと? 『ジェンダー・トラブル』がはじめてわかる!
現代のジェンダーとセクシュアリティ研究の方向性を決定づけたとされるジュディス・バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』は、その難解さでも名高い。
実は、バトラーの理論を理解する鍵は、当時のフェミニストやセクシュアル・マイノリティが置かれていた現場――社会と歴史と思想の文脈にある。
◾️丸善ジュンク堂ネットストア
紀伊國屋書店 新宿店──幅広い関連カルチャーから知る「ゴスロリ」の世界

鈴木真理子 著 「ゴシック&ロリータ語辞典 ―ゴス・ロリにまつわる言葉をイラストと豆知識で甘くデカダンに読み解く」(誠文堂新光社)
本著はファッション史的側面でも有用ですが、実際にゴスロリ文化にどっぷり浸かっていなければ通じないようなマニアックなワードも多く収録されています。ゴスロリ文化を起点とした枝葉のカルチャーまで網羅しており、非常にユニークな1冊です。
「ゴスロリ」は独特なファッションに目が行きがちですが、TOY・小説作品・音楽ジャンルなど、ファッションだけにとどまらない多様なゴスロリの世界を知っていただける貴重な1冊だと思います。
紀伊國屋書店新宿本店 実用書担当 佐藤さん

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今年は、映画「下妻物語」の20周年を記念した初のデジタル版が上映されたほか、ピンタレストは新年のトレンド予測に「ロココ・リバイバル」を挙げました。ロリータムードが高まっていくことが予測される2025年。知識面でも理解を深めるとよりファッションが楽しくなりそうです。
◾️「ゴシック&ロリータ語辞典 ―ゴス・ロリにまつわる言葉をイラストと豆知識で甘くデカダンに読み解く」内容紹介(誠文堂新光社公式サイトより)
ゴシックとロリータに関する624の「語」を解説!
服、小物の名前や、使用されている柄、パーツ名、その服のルーツ、ブランド名の意味まで解説。またファッションだけではなく、ゴス、ロリータ、ゴスロリの歴史、彼女達の趣味、文化(音楽、美術、文学他)、精神性や生活についても触れています! 思わず微笑んでしまう「ゴス、ロリータあるある話」も。イラストもたっぷり。どこから読んでも楽しい本です!
◾️紀伊國屋書店オンラインストア
青山ブックセンター本店──クリエイターたちの共作、1960〜70年代の刺激的なファッションフォト
ファッション写真の巨匠 ギイ・ブルダン(Guy Bourdin)が撮影した、デザイナー シャルル・ジョルダン(Charles Jourdan)の靴やファッションの写真をまとめた1冊。1960〜70年代という古い時代の写真ですが、最近のファッション写真にはあまり見られない斬新さや力強さを感じられ、フェティッシュな作品の数々は今見ても新鮮で刺激的です。
青山ブックセンター本店 ファッション・写真担当 髙橋さん

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ジョルダンとブルダンの名を世に広く知らせることになった写真作品。未発表作品を多く含む150点以上の作品が収録されています。不安感を煽る構図や独特な色彩は、一度見たら忘れられません。巨匠たちの共作はブランドヴィジュアルの域を出てもはや「アート」。
◾️「Guy Bourdin for Charles Jourdan」内容紹介(Rizzoli公式サイトより)
現代ファッション写真の巨匠、ブルダンは、シャルル・ジョルダンの靴やファッションにシュールレアリスト的な視点を注ぎました。動き、色彩、官能性に満ちた構図を生み出したこのデザイナーと写真家の先駆的なコラボレーションは、現代のファッション写真に今も深い影響を与えています。
代官山 蔦屋書店──UA栗野も推薦、“なぜ「センスのいい人」が得をするのか?”

デーヴィッド・マークス 著、黒木章人 訳「STATUS AND CULTURE—文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?」(筑摩書房)
次に何が流行るのか、どんな流れが来ているのかを知るにはどうしたら良いのでしょうか。
その流れをつくりだすことはできるのでしょうか。
社会のなかでの各個人の重要度を示す非公式な指標―「ステイタス」のメカニズムを知ることは、この社会を知り、変化の可能性を探ることにつながるはずです。
代官山 蔦屋書店 人文コンシェルジュ 宮台さん

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同書の帯には、ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さんがコメントを寄せています。トレンドやセンスといったものはどのように形作られるのか、社会を俯瞰して見ることで、自分のアイデンティティが見えてくるかもしれません。
◾️「STATUS AND CULTURE—文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?」内容紹介
ひとは自分の〈立ち位置〉を気に掛ける。本書は私たちの文化的生態系を解明し、その「呪縛」から解放してくれる。
――栗野宏文(ユナイテッドアローズ上級顧問)
かつてビートルズの〈マッシュルームカット〉と呼ばれた長く、だらしない髪型は各世代から反発を招き、社会を分断するほどの騒動を全世界に巻き起こした。しかし現在では受け入れられ、むしろクラシカルな髪型となっている。トレンドは一部の過激な行動から始まり、反発を生むが、徐々に許容され、ついには一般化する。人はなぜ集団で特定の習慣を好み、やがて別の流行に移行するのだろうか。なぜあるものが 「クール」になるのか? スタイルの革新はいかにして生まれるのか?
われわれの文化に起こる絶え間ない変化のメカニズムを、本書は〈ステイタス〉――社会のなかでの各個人の重要度を示す非公式な指標――を希求するプロセスとして説明する。
本書で解き明かしていくステイタスと文化の原則は、捉えがたいものとされてきたセンスや真正性、アイデンティティ、階級、サブカルチャー、アート、ファッション、流行、スタイル、リバイバルといった概念や現象を明確にし、われわれを取り巻く世界を分析する際に極めて役に立つ。
歴史的事例と数々の分野の学問の叡智を統合する文化の普遍理論書。
◾️代官山 蔦屋書店 公式サイト
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