(左より)ビューティフルピープル、トム ブラウン、アクリス、ウジョー」
2023年春夏コレクションを発表するパリ・ファッションウィーク(以下、パリコレ)が、9月26日から10月4日まで開催された。パリらしい壮大なロケーションを生かした演出や、ストーリー性あふれるショーは見どころ満載。ファンタジックな世界観の中で、各ブランドの巧みなクリエイションが披露された。
パリコレ特集vol.4では、「アクリス(AKRIS)」、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」、「ビューティフルピープル(beautiful people)」、「ウジョー(UJOH)」の新作発表を振り返る。
AKRIS
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創業100周年を迎えた「アクリス」が、パリでアニバーサリーコレクションを発表。クリエイティブ ディレクターのアルベルト・クリームラー(Albert Kriemler)の父が1978年に制作し、ブランドのシグネチャーとなっているカシミヤダブルフェイスのコートでショーが幕を開けた。
1989年に発表したマルチカラーのハートプリントをはじめ、フランス北部のカレーで制作されるレースのアイテムが復活。ラストパートは鮮やかな6色のドレスと、その6色をデザインに取り入れたシフォンのドレスが登場し、ブランドのアニバーサリーを華やかに祝福した。
THOM BROWNE
「トム ブラウン」はシンデレラのストーリーから着想したショーを開催。会場のオペラ座(オペラ・ガルニエ)のホワイエに、ガラスの靴に見立てて高さ2メートルほどの輝く靴を設置した。王子様は金糸で刺繍を施したチェスターコートをまとい、靴を試そうとする20人の女性たちはシルクタフタのグランドオペラコートで行進。後半では女性たちがオペラコートを脱ぎ、ポルカドットの様々なスタイルを披露した。継母と義姉たちは鮮やかなドレス姿で登場。
主役であるシンデレラは、ショーの中盤で登場した時には飾り気のない純白のコート、終盤では豪華なドレス姿に変貌。そしてラストシーンでは輝く靴の中に入ってドレスを脱ぎ、トム ブラウンらしいミニマルなシャツとタイ、腰からブリーフを覗かせるクロップドパンツのスタイルに。シンデレラが最後に本当の自分自身を取り戻すというストーリーを描いたという。
beautiful people
熊切秀典が手掛ける「ビューティフルピープル」は2年半ぶりにパリファッションウィークでショーを披露した。テーマは「A NEW WAY OF CONNECTING(新しい繋がり方)」。ミリタリーウェアをベースに、服の表面と裏面の間に着目したブランド独自のパターンテクニック「サイドシー(Side-C)」の進化させたコレクションを見せた。
このミリタリーウェアに込められているのは、反戦への思いだ。伝統的であり、今では日常着になっている衣服であるが、戦うためではなく、楽しむための目的にフォーカスを当てた。ショーではダンサーが登場し、服をひっくり返しながら、上下を逆さにしても着用できる「ダブルエンド(DOUBLE-END)」のテクニックを披露。ラストにはパンツからパラシュートが登場し、モデルがランウェイを舞いながら会場を一周した。
展示会には、ショーには登場しなかった花火をモチーフにしたウェアも並んでいた。これも「火薬を使うなら、爆弾ではなく、人を喜ばせる花火で」という平和の願いが込められたもの。
プレスリリースには「私たちビューティフルピープルは、絶え間ない繋がりと変化し続ける人間のように、進化していく服を考えています」と記された。何通りにも着こなすことができる新しいミリタリーウェアは、クリエイティブで今の時代を生きるための強さを宿していた。
UJOH
西崎暢による「ウジョー」は、パリファッションウィークの公式スケジュールで初めてのリアルショーを披露した。コロナ前はオフスケジュールでショーを開催しており、この2年半の間は、映像発表で参加を続けてきた。
今季は、ブランドが得意とするテーラードや大胆なカッティングを軸にしながらも、職人やアーティストの協業で手作業のぬくもりを感じさせるディテールが光った。まず目を引いたのは、ジャケットに合わせたメタリックコッパーのコルセットやブラトップ。ちりめんの上にプリントを施すことで、歪な凹凸が浮かび上がる。花柄のシャツやスカートは、西崎の出身地である福井県越前市の越前和紙を使って表現。大胆なハンドペイントは、アーティストの佐々木香菜子(Sasaki Kanako)が手掛けた。
またブランド初のジュエリーは、ジュエリーデザイナーの三野彰太(SHOTA MINO)との協業で誕生した。ウジョーの「U」を重ねたモチーフのイヤリングをはじめ、手をモチーフにしたブローチや、魚の骨や菌類など、生命体をイメージしたという有機的なシルエットがポイントに。エレガントで洗練された印象に、アーティスティックな力強さをプラス。
ショー後に西崎は、パリコレ正式初参加について「あっという間だったが、これを続けていくんだな、というスタートを切ったと実感した」と明かした。「(師匠の)山本耀司さんはこれを年4回以上も続けていて、本当にすごいな……と強く思った。やれることなら、これから何十年と、僕も頑張って発表を続けていきたい」と話した。
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