(左より)「プラダ」「ボス」「ヴェルサーチェ」「トッズ」「バリー」
2023年春夏コレクションを発表するミラノ・ファッションウィーク(以下、ミラノコレ)が、9月20日から26日まで開催された。パリス・ヒルトン(Paris Hilton)やカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)など、豪華セレブもランウェイに登場。ステージ上にバイクが登場するなど、大掛かりな演出も注目を集めた。
ミラノコレ特集 vol.2では、「ボス(BOSS)」「トッズ(TOD'S)」「プラダ(PRADA)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「バリー(BALLY)」の新作発表を振り返る。
BOSS
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「ボス(BOSS)」は、ヴェロドロモヴィゴレッリ競輪場のスタジアムでショーを開催。「パワースーツの新解釈」をテーマに掲げたショーは、1990年代のボスのキャンペーン画像からインスピレーションを受け、過去数十年のパワースーツを"盾"ではなく、"個性や自己表現となる服"として登場させた。特定のキールックを定めず、様々なシルエットを用意し、それらのバリエーションを披露するために、ショーでは様々な体型やバックグラウンドの多種多様なモデルを起用。
ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)をはじめ、ボクシング界のスターであるアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)や陸上選手のアリカ・シュミット(Alica Schmidt)などアスリートも多数出演し、素材やプロポーション、リラックスフィットからシェイプされたデザインまで、個を主体としたテーラードスーツを中心に提案した。
モーターサイクルのパワースーツからもインスピレーションを得たといい、プロテクションのデザインをディテールに取り入れたアウターや、バイカージャケットやパンツといったアイテムも登場。ショー中盤には、ランウェイに設置された球体の中でバイカーが縦横無尽に回転するスリリングなパフォーマンスが披露され、ショーを盛り上げた。
TOD'S
「トッズ(TOD'S)」がショー会場に選んだのは、「ピレリ(Pirelli)」のかつての工場で同社が所有する展示ギャラリー「ハンガービコッカ(Hangar Bicocca)」。ランウェイが行われたスペースには「The Seven Heavenly Palaces」というインスタレーションが常設されており、コンテナが積み重なったような箱型の塔が7つそびえ立つインダストリアルな空間が広がっている。
ファーストルックを飾ったカーラ・ブルーニは、ピンクベージュのワントーンルックで登場した。コレクションを構成するのはヌーディーなカラーを中心に、パウダーピンク、ダスティベージュ、レンガ色といった落ち着きのあるナチュラルな色味。ミニマルなスタイルの中に光るのはクラフトマンシップを感じさせるレザー使いで、レザーのシャツドレスはウエストがシェイプされており、体のラインにぴったりと沿う布のようなしなやかさが印象的。
コルセットとレザーシャツをドッキングさせたデザインや、シルクシャツにカマーバンドでウエストマークをしたパンツスタイル、ベルトでウエストを絞ったレザーコートなどフェミニンなシルエットを強調するルックが多く登場した。
シューズとバッグの新作として、コントラストの効いたペブルを配した「バブル バレリーナ」がイエローやパープルといったアクセントカラーで足元を彩ったほか、異なるレザーを手編みしアップサイクルされた「ディーアイ バッグ」がラインナップした。
PRADA
「プラダ(PRADA)」の今シーズンのテーマは「Touch of Crude(粗い手触り)」。会場の内装には黒の紙を部屋の仕切りとして使用(6月のメンズでは白だった)。くり抜かれた窓からは「ネオンデーモン」や「ドライヴ」などの作品で知られるデンマーク人映画監督のニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn)が手掛けたショートフィルムの断片的なシーンが投影され、同氏の視点を取り入れた没入型の空間を作り出した。
シャツ生地にも関わらずレギンスのように体にピッタリ沿うボディスーツは、冒頭をはじめコレクション随所に登場。「紙」はキーテーマとしてコレクションにも呼応しており、紙を素材として取り入れた生地は一連のドレスに使用された。裂け目やシワ、折り目やねじれなど人間の動作の痕跡が記憶されたかのような平面的な布は、モデルが袖を通すことで生命が吹き込まれ「衣服」として形を成す様を捉えている。
デイタイム/イブニング、ミニマリズム/デコレーション、特別なシーン/日常、夢/現実といった相反するものがコレクションに反映され、コートの上にオーガンジーを重ねたドリーミーなナイトガウン、夢の儚さを視覚的に表現したかのようなシアーなセットアップ、バラのコサージュがついたTシャツドレスなど、コンセプチュアルなルックが現実の境界線を曖昧さを印象付けた。
VERSACE
「ヴェルサーチェ(VERSACE)」は「DARK GOTHIC GODDESS(ダークゴシックの女神)」がテーマ。切り裂かれたようなカッテングを大胆にデザインしたドレスやフリンジが袖にあしらわれたレザージャケットといった冒頭のブラックのモノトーンルックに続き、パープルやフーシャピンクのカラードレスが続いた。
フラワープリントとゼブラ柄、連続するVERSACEロゴを組み合わせたソフトで軽やかな素材のドレスシャツには、フレアパンツにタフな厚底シューズやポインテッドヒールを合わせ、チョーカーのアクセサリーや強めのアイラインでハードロックなムードを演出。
終盤は、ランジェリー風のウエディングドレスが、パープル、ピンク、イエロー、ブラックといったカラーで登場。フィナーレではピンクグリッターのミニドレスをまとったパリス・ヒルトンがサプライズでウォーキングを披露し、会場を沸かせた。
BALLY
「バリー(BALLY)」は、ルード(RHUD))」のルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villaseñor)がクリエイティブディレクターに就任してから初のコレクション。ブランドにとってショー形式での新作発表は20年ぶり。コレクションではマニラで生まれ、LAを拠点にするデザイナーのレンズから見たヨーロッパのラグジュアリーを追求した。
メンズとウィメンズで構成されたコレクションは、センシュアルでグラマラスなムードが全体的に流れ、ベルベットのスーツをはじめ、ダブルブレストテーラードジャケットや太ももの付け根までスリットが入ったセクシーなシャツドレス、パイピングパジャマ、サファリテイストのセパレーツ、アビエイタージャケットなどリラクシーでクラシックなワードローブに、ビラセノールならではの現代的なひねりを加えた。
ブランドのレザークラフトマンシップを感じさせるバッグは、フレームバッグやソフトポーチ、ホーボーバッグが登場。アーカイヴから考案された「フィギア8デバイス」をデザインしたアクセサリーなども、様々なサイズやアイテムに応用された。
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