メゾン マルジェラ 2023年「Co-Ed」コレクション
Image by: Maison Margiela
ジョン・ガリアーノ(John Galliano)が手掛ける「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」が1月23日、2023年Co-Edコレクションを発表した。パリのメンズプレタポルテの最終日を飾るにふさわしい、話題たっぷりのイベントとなった。
「アーティザナル」の物語を引き継ぐ
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会場となったのは、パリ16区のエタ=ユニ広場にある新しい本社。地下のスペースでは、2022年「アーティザナル」コレクションと、その中で発表した映画「シネマ・インフェルノ(Cinema Inferno)」を公開。マネキンたちや、アトリウムに突っ込むクラシックカーのインスタレーションなどが来場者たちを驚かせた。
Image by: FASHIONSNAP
今回のショーは映画の主人公2人の子どもを想像し、彼らのスタイルの本質と美学を融合したものだという。映画の舞台となったアメリカのハートランドの暗く詩的な風景が、コレクションの色彩にも影響を与えた。オートクチュールとプレタポルテ、デジタルとフィジカルといった様々な要素が組み合わさった野心的なプレゼンテーションとなった。
フライヤーとミッキーマウス
招待状として送られてきたのは、コピーで作られたフライヤーのコラージュ。古き良きアンダーグラウンドのナイトイベントを想像させる。ビル5階の会場でショーが始まると、モデルたちは真っ白なランウェイを前屈みに闊歩した。流れるサウンドトラックは「Future」「Revolution」という言葉を何度も繰り返す。
今回のコレクションでは「カスタマイズと記憶の再文脈化という、若者中心のアイデア」を検証。ジャケットに取り入れられたのは「ロールシャッハカッティング」と呼ばれる、メゾンの新しい概念だ。ロールシャッハ・テストとは、インクのしみを用いた投影法のこと。アメリカンウエスタンのヨークの中にミッキーマウスの輪郭を浮かび上がらせるなど、「あるイメージを別のイメージに変える、サブリミナルな変換」を服に投影しているという。
パンクアイコンのアティテュード
ルックには安全ピンやフィッシュネットタイツといったパンクの要素が取り入れられ、セックス・ピストルズのジョン・ライドン(John Lydon)のスタイルを彷彿とさせる。昨年他界した「パンクの女王」ことヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の影響をその背景に感じざるを得ない。
スイートな素材やモチーフ
また、今回のコレクションでは「お下がり」をキーワードに、服をつなぎ合わせたりカスタマイズしたりしたアイテムも多数。ドレスを解体し、ロンパースに変えたルックは「ロンパージュ」と名付けられ、下着にドレスが引っかかる様をユーモラスに表現した。チュールやレースといった軽やかな素材もフィーチャーされ、リボンのモチーフも甘さをプラス。1950年代のボールガウンを思わせるドレスやオペラコートなども、ガリアーノらしい華やかな作品に仕上がっている。
Image by: Giovanni Giannoni
ペンドルトンとの意外なコラボ
前後逆さまに着用したチェックのシャツは、アメリカのライフスタイルブランド「®ペンドルトン(Pendleton)」とのコラボレーションによるもの。ウール・チェック柄はカーディガン、 ロンパース、アウター、フォーマルウェアのディテールにも採用され、伝統的なアメリカのイメージを強調した。
また、コレクション全体に登場したアイウェアは、韓国のブランド「ジェントル モンスター(Gentle Monster)」とのコラボレーションにより誕生したジェンダーレスアイテム。様々なカラーバリエーションと11のデザインを揃え、今年2月28日に発売されるという。
ガリアーノ劇場を印象付けるショー
マルジェラのアイコンである「タビ(Tabi)」は、ラインストーンをちりばめたパステルカラーで登場。ウエスタンブーツ、ウェリントンブーツなどのバリエーションのほか、10cmヒールが付いた初のパンプスも披露された。
全体を通して“攻めた”演出とスタイリングで、マルジェラのコードである計算された「未完成の美」が随所に感じられる。巧みなクリエーションはもちろん、ガリアーノならではのドラマティックなストーリーテリングを印象付けた。
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