【2022年ベストバイ】ファッションエディター 大平かりんが今年買って良かったモノ

Edward Cuming レーヨンシャツ

F：次は「エドワード・カミング（Edward Cuming）」のシャツ。2019年にスペインでデビューしたばかりのブランドですね。

大平：私も今まで知らなかったのですが、ドーバー ストリート マーケット ギンザで偶然見つけて。メンズをメインに製作しているブランドなんですが、素材選びやシルエットにどこか可愛らしさがあって、海外のSNSなどを見ると女性でも着ている人が多くいるみたいです。特にこのレーヨンシャツは、丁度いい抜け感があって好みですね。

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F：確かに程よい光沢があって、ユニセックスで着られそうです。

大平：初期の「ジャックムス（JACQUEMUS）」みたいな雰囲気が気に入っています。品がありつつ、女性が着た時に固くなりすぎないリラックス感が魅力ですね。

F：Instagramの投稿ではピンク系のアイテムと色味を合わせてコーディネートしていました。

大平：赤・ピンク系の色味が好きなので、活躍の機会は多いですね。特に最近髪色をピンク系にしたので、スタイルに統一感を出すためにも好んで着用しています。ユニークさもあるし、主役になれるアイテムです。

F：インパクトがありますが、着回しもききそうです。今後注目のブランドですね。

大平：まだ日本では取り扱い店舗も少ないですが、今後徐々に増えていくと聞いています。個人的に、今年イチオシのブランドですね。

ミキオサカベ ×タカノ綾 テーラードジャケット

F：最後にご紹介いただくのは、「ミキオサカベ（MIKIO SAKABE）」と現代美術家 タカノ綾のコラボジャケットです。

大平：この2人は以前にもコラボしているんですが、独特な世界観があって大好きで。今回のコレクションではオーバーシルエットのシャツも買ったんですが、今日はこのジャケットを持ってきました。ショート丈でバックに深くスリットが入った形もキュートなんですが、一番はデザインですね。「アート作品を服にした」みたいなアイテムが好きなんです。

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F：意外とコーディネートに取り入れやすそうです。

大平：そうなんです。青を基調としているので全体的に柔らかすぎないと言うか、ガーリーな印象になりすぎずに使えますね。ベーシックなものにも合わせやすいし、逆にごちゃごちゃした組み合わせにも取り入れやすい優秀なアイテムです。

F：奇抜なデザインですが、ジャケットなので場所を選ばずに使えるというのもあるかもしれないですね。

大平：それは本当にあります（笑）。割と攻めた感じのデザインでも、ジャケットならある程度は許される気がするというか。だから、ジャケットに関しては遊び心のあるものを買うことが多いですね。形自体にかっちり感がある分、どこにでも着ていけるアイテムだと思っています。

今年を振り返って

F：前回のベストバイでは意図的に新しいブランドを買うようにしていると話していました。

大平：今日は持ってきませんでしたが「ワタル トミナガ（WATARU TOMINAGA）」のアイテムを初めて購入するなど、新しいブランドに挑戦する傾向は継続していますね。あとは今日紹介したキディルやメリル ロッゲなど、アクセサリー感覚でこれまでの服装をアップデートできるものを多く買ったように思います。コロナ禍の前後で、ファッションのトレンドってそんなに大きく変わっていないじゃないですか。だから、これまで着ていた服に組み合わせることで少し違った見え方に仕上げてくれるアイテムが今の気分にちょうど良いのかなと思っています。あとはやっぱりコラボ。アーティストのほか、「ロエベ（LOEWE）」とジブリのコラボなど、自分の好きなもの同士がタッグを組む機会も多かったので、その辺りはよく買いましたね。

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F：大平さんのように多趣味だと好きなものと服がコラボすることも多そうです。

大平：そうですね。ものを選ぶ判断材料にもなるので、アイテムにせよコンテンツにせよ「自分が何を好きなのか」というのはシビアに判断するようにしています。自分の好きなものを把握することで、自分が今何が欲しいのか分かるし、欲しいものが出たときに即行動することにも繋がる。基本的に大好きなものに囲まれて生きていたい気持ちがとても強いので、そこは何よりも意識するようにしています。

F：ちなみに、今年は何着くらい服を買ったんでしょうか。

大平：何着くらいだろうな。数えていないので分からないですけど、買う数は年々増えていますね。私は常々「ファッションと繋がっていたい」と感じているのですが、服を買うことでしか繋がれないことは絶対にあると思っているので。それに、服を買うことがファッションが好きだという一番の証明じゃないですか。ファッション大好きと言い続けるためには、他の人にも共感してもらうためには、結局のところ買い続けるしかないんですよ。ラーメンを食べていないのに、ラーメン好きって言えないじゃないですか。

F：ラーメンの喩え、分かりやすくて説得力があります。最後に、来年の目標をお願いします。

大平：皆さんにどう思われているかは分からないんですけど、「ファッションを追求するあまり違う境地に行ってしまった人」にはなりたくないんですよ（笑）。ファッションが大好きな私ですが、編集のお仕事があって社会と繋がっているので、そことバランスが取れた服装をしたいなという気持ちは一応あって。ファッションモンスターになりすぎないように、大好きな服をどうやってコーディネートするかというのが、自分なりの挑戦ですね。

■大平かりん
雑誌「GINZA」「BRUTUS」の編集部を経て、現在はデジタル領域でも活動するファッションエディター。2022年9月にはウィメンズブランド「タロウ ホリウチ」のアートディレクターにも就任した。「365日同じコーディネートはしません？」をモットーに、インスタグラムで更新している私服にはファンが多い。
インスタグラム：@ko365d