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<縫製トップに聞く①> 国内工場に受注が集中 工賃上がるも「まだ足りぬ」

<縫製トップに聞く①> 国内工場に受注が集中 工賃上がるも「まだ足りぬ」

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 国内縫製工場が岐路に立っている。コロナ禍で不安定な海外生産に急激な円安が加わり、物作りの国内回帰が強まる。オーダーの増加傾向は顕著で、縫製加工賃も上昇基調にある。ただし円高に振れ、再び海外生産が主流となり、以前のように閑散期や厳しい工賃に悩まされる不安もある。工員不足も懸念材料だ。〝脱コロナ〟も見え出した今、縫製工場を追った。

11月まで埋まる

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 「今年に入ってからコロナ禍前まで受注状況が戻り始めた」と話すのは岩手モリヤ。婦人重衣料は5、6月が閑散期だが、「今年は受注で満杯」。7、8月分を先行予約するアパレルメーカーも多く、「新規の生産依頼も今までにないほど多いが、既存先でいっぱいなので断っている」。

 イワサキも「22年春夏から受注が元に戻りかけている」。コロナ禍で人員は以前の3分の2に減り、生産能力は下がったものの、生産ラインは11月前半まで埋まっている。

 ファッションしらいしは、「21年春から取引先アパレルは復調してきた」という。中でも米国の回復は早く、取引先の高級ブランドからの生産依頼があった。さらに1月には高級ブランドの生産のため「ニューヨークに4、5人のチーム派遣が再開できた」など、海外での仕事も戻ってきた。自社企画の役割も大きく、オリジナルの〝お受験服〟の備蓄生産も21年春から従来に戻った。

 サンワークも「9月まで工場はいっぱい。電話やメールで毎日のように問い合わせがくる」。

 もちろん、コロナ禍直後は厳しかった。岩手モリヤは20年3月半ばからコロナ禍の影響で受注が激減した。「その頃は雇用調整助成金の活用や従業員の有休消化でしのいだ」。イワサキも「20年はコロナ禍で受注が半分になった取引先もあった」ため、早くから生産ラインの半分をマスクに変更。医療用ガウンの生産依頼などの対応で耐え抜いた。ファッションしらいしも当初は「業界団体が窓口となってくれた医療用ガウンの生産に救われた。もしなかったら相当数の国内縫製工場はなくなっていた」と語る。

 今の活況についても丸和繊維工業は「工場はフル稼働状態が続いているが、統計数字を見る限り、〝国内生産回帰〟という言葉には疑問を感じる」。外注先の協力工場が廃業するなど国内の生産能力が縮小し、「残っている縫製工場に仕事が集中しているだけでは」と指摘する。

 受注の増加と同様に、縫製加工賃についても、上昇傾向にある。「少しずつ上がっている状況。ブランドにもよるが、適正な縫製加工賃を要求しやすくなっている」(イワサキ)、「発注元と同じ目線で工賃交渉が出来るようになった」(サンワーク)との声が聞かれる。

若手技術者の育成にも力を入れる(岩手モリヤ)

■働きたいレベルへ

 ただ、これも今までの工賃が低すぎた裏返しともとれる。ある工場経営者は今の環境ですら、著名レディスブランドを運営する企業から「裁断、プレス、検品、出荷送料込みでブラウス1400円、ワンピース1800円という依頼が来た。久しぶりに衝撃を受けた」と話す。

 辻洋装店は「以前から、アパレル業界はコスト削減を製造側に負わせて原価率を下げる手法で生き延びてきたが、もう限界にある」と強調する。「生産性の改善も手は尽くした。都内で縫製業を営むにはビジネスモデルを変換しないと継続は難しい」のが実感だ。丸和繊維工業も「現状の低い水準の工賃のまま少し上げても意味がない。他産業と比べて若い世代が、『ここで働きたい』と思えるレベルまで引き上げないと今後、縫製工場は存続できなくなる」という。

 工賃について、ファッションしらいしは「従来のアパレルによる小売価格の設定を前提とした原価算出の手法を改めるべきだろう」と話す。工賃適正化に向けて日本アパレルソーイング工業組合連合会による縫製加工賃交渉支援クラウドサービス「ACCT」の工場側の活用を拡大すべきだとしている。

 工場内に自社企画の服を販売する店を設けたり、ラボを作ったり。一方で、社員が働きやすい環境を整え、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)も導入する――物作りだけでは縫製工場の生き残りが難しくなるなか、国内を代表する有力縫製工場のトップに5年後、10年後の未来の姿を語ってもらった。

(繊研新聞本紙22年6月27日/森田雄也)

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