27 Sep 2021

カルティエ「タンク」

LEGENDARY

100年を超える伝説と愛され続けるデザイン

100年を超える伝説と愛され続けるデザイン

1917年、「タンク<TANK>」の誕生は腕時計における新時代の幕開けだった。生みの親はカルティエ創設者の孫にあたる3代目当主ルイ・カルティエ。きわめてシンプルな4本線のスケッチが伝説的なレクタングル型のフォルムとなり、瞬く間に高級時計の地位を確立していく。それから1世紀以上、なぜ時を超えて愛され続けているのか——不朽の定番「タンク」に秘められたストーリーと、歴代の"タンキスト"たち。

Part 01
Legendary
Part 02
Future
shinji abe cartier tank
01
Meaning of TANK

「タンク」という名は戦車のコードネーム。「モダンで完璧な時計」を追求していたルイ・カルティエの着想源となったのは、当時「絶対打ち破ることは不可能であろう」と考えられていた戦車のフォルムだった。ルイがスケッチしたのは、正方形の2本の線を伸ばした担架の柄のような、究極にミニマルなシルエット。無限軌道(キャタピラー)を腕時計の縦枠に、操縦席をケースに見立てて、力強く機能的なデザインが誕生した。

「タンク」という名は戦車のコードネーム。「モダンで完璧な時計」を追求していたルイ・カルティエの着想源となったのは、当時「絶対打ち破ることは不可能であろう」と考えられていた戦車のフォルムだった。ルイがスケッチしたのは、正方形の2本の線を伸ばした担架の柄のような、究極にミニマルなシルエット。無限軌道(キャタピラー)を腕時計の縦枠に、操縦席をケースに見立てて、力強く機能的なデザインが誕生した。

02
100 Year DESIGN CODES

1919年に発売された初代モデルのデザインは、今見てもモダニティを感じさせる。四角形のケースと縦枠、ホワイトシルバーの文字盤、線路型の分目盛、ローマ数字、そして特徴的なリューズは、今も受け継がれる「タンク」のコード。時代とともに変化を遂げてきた「タンク」だが、本来のエスプリは100年以上変わらぬまま。そして1970年代頃から文字盤に刻印されるようになったシークレットサインも、カルティエ時計らしい意匠の一つだろう。放射状に広がるローマ数字の一部に組み込まれた極小の「CARTIER」ロゴは年代やモデルにより異なり、本物の証となっている。

shinji abe cartier tank

1919年に発売された初代モデルのデザインは、今見てもモダニティを感じさせる。四角形のケースと縦枠、ホワイトシルバーの文字盤、線路型の分目盛、ローマ数字、そして特徴的なリューズは、今も受け継がれる「タンク」のコード。時代とともに変化を遂げてきた「タンク」だが、本来のエスプリは100年以上変わらぬまま。そして1970年代頃から文字盤に刻印されるようになったシークレットサインも、カルティエ時計らしい意匠の一つだろう。放射状に広がるローマ数字の一部に組み込まれた極小の「CARTIER」ロゴは年代やモデルにより異なり、本物の証となっている。

shinji abe cartier tank
03
The Jeweler’s WATCH

1847年にパリで創業以来、王室御用達として名を馳せてきたカルティエ。歴史あるジュエラーならではの美しく繊細なデザインと素材使いは、時計作りにも見て取れる。特にプラチナを使用した腕時計は、メゾンのアイデンティティの一つ。1906年に発表されたカルティエの「トノー」は、プラチナで製造された初めての腕時計として歴史に名を刻んでいる。「タンク」の初代モデルもまたプラチナ製で、その後ゴールドやヴェルメイユ、ステンレスなど幅広い素材が用いられていった。またリューズを飾るカボションカットの宝石も、カルティエならではの技術とエレガンスを物語る。「ドレスウォッチの王様」と呼ばれる「タンク」の華やかな表情にも注目したい。

1847年にパリで創業以来、王室御用達として名を馳せてきたカルティエ。歴史あるジュエラーならではの美しく繊細なデザインと素材使いは、時計作りにも見て取れる。特にプラチナを使用した腕時計は、メゾンのアイデンティティの一つ。1906年に発表されたカルティエの「トノー」は、プラチナで製造された初めての腕時計として歴史に名を刻んでいる。「タンク」の初代モデルもまたプラチナ製で、その後ゴールドやヴェルメイユ、ステンレスなど幅広い素材が用いられていった。またリューズを飾るカボションカットの宝石も、カルティエならではの技術とエレガンスを物語る。「ドレスウォッチの王様」と呼ばれる「タンク」の華やかな表情にも注目したい。

04
Nothing Like the TANK

「タンク」が生まれた背景には、類まれな発明家であった時計師エドモンド・ジャガーの存在がある。ルイ・カルティエがさまざまなフォルムや形状のケースを自由にデザインできたのは、ジャガーのおかげとも言われている。1931年には当時不可能とされていた防水性を備えたモデル「タンク エタンシュ」が完成。水の入ったコップに入れた形で行われた発表会は、当時大きな注目を集めたという。さらに1922年に発表された「タンク バスキュラント」は、ケースを180度回転させて文字盤を隠すことができる斬新なデザイン。それ以降も時代の移り変わりとともに、「クラッシュ」「フォル」「アシメトリック」など唯一無二のデザインの数々が登場した。

「タンク」が生まれた背景には、類まれな発明家であった時計師エドモンド・ジャガーの存在がある。ルイ・カルティエがさまざまなフォルムや形状のケースを自由にデザインできたのは、ジャガーのおかげとも言われている。1931年には当時不可能とされていた防水性を備えたモデル「タンク エタンシュ」が完成。水の入ったコップに入れた形で行われた発表会は、当時大きな注目を集めたという。さらに1922年に発表された「タンク バスキュラント」は、ケースを180度回転させて文字盤を隠すことができる斬新なデザイン。それ以降も時代の移り変わりとともに、「クラッシュ」「フォル」「アシメトリック」など唯一無二のデザインの数々が登場した。

Famous TANKISTS

歴代のタンキストたち

どの時代のスターも、この前衛的ウォッチに計り知れない愛情を注いできた。ポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホルは熱心なコレクターで「僕がタンクを身につけるのは時間を見るためではないから、リュウズを巻いたことすらない」と語ったほど。また「モードの帝王」と呼ばれながらもシャイな性格だったというイヴ・サンローランが、「レ マスト ドゥ カルティエ」をつけた手で顔を隠したポートレイトは有名だ。2009年には、ミシェル・オバマがファーストレディとしての公式写真で「タンク フランセーズ」を着用。そのほか、アンジェリーナ・ジョリーやエディ・スリマンなども「タンク」を愛用する姿が知られている。(FASHIONSNAP調べ)

shinji abe cartier tank
Michelle Obama
ミシェル・オバマ
shinji abe cartier tank
Hedi Slimane
エディ・スリマン
shinji abe cartier tank
Andy Warhol
アンディ・ウォーホル
shinji abe cartier tank
Yves Saint Laurent
イヴ・サン=ローラン
shinji abe cartier tank
Angelina Jolie
アンジェリーナ・ジョリー
minami sara
Michelle Obama
ミシェル・オバマ
minami sara
Hedi Slimane
エディ・スリマン
minami sara
Andy Warhol
アンディ・ウォーホル
minami sara
Yves Saint Laurent
イヴ・サン=ローラン
minami sara
Angelina Jolie
アンジェリーナ・ジョリー
アンジェリーナ・
ジョリー

どの時代のスターも、この前衛的ウォッチに計り知れない愛情を注いできた。ポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホルは熱心なコレクターで「僕がタンクを身につけるのは時間を見るためではないから、リュウズを巻いたことすらない」と語ったほど。また「モードの帝王」と呼ばれながらもシャイな性格だったというイヴ・サンローランが、「レ マスト ドゥ カルティエ」をつけた手で顔を隠したポートレイトは有名だ。2009年には、ミシェル・オバマがファーストレディとしての公式写真で「タンク フランセーズ」を着用。そのほか、アンジェリーナ・ジョリーやエディ・スリマンなども「タンク」を愛用する姿が知られている。
(FASHIONSNAP調べ)

Back to Home
illustrator:
Shinji Abe
composition & text:
Chiemi Kominato (FASHIONSNAP)
Fuyuko Tsuji
realization:
Mizuki Okuhata (FASHIONSNAP)
svg