
早稲田大学内の「アシックスキャンパスストア早稲田」
Image by: FASHIONSNAP
東京五輪開幕まで1000日を切りスポーツ気運が高まる中、スポーツメーカーと大学の取り組みが新しいビジネスモデルになりつつある。以前からユニフォームや用具の提供などは行われてきたが、新たに教育機関とスポーツメーカーが包括提携を結び、商品開発の協力やキャンパス内の出店など、より関係性を強めることで価値と収益を生み出している。
■スポーツと大学間の協定続々と
ドームが展開する米スポーツメーカーの「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」は、関東学院大学をはじめ、筑波大学および近畿大学とパートナーシップ協定を締結。ミズノは中京大学などを運営する学校法人 梅村学園と連携協定を結び、運動部所属選手のユニフォームなどを一括して提供するほか、商品開発や選手の育成支援などを通じて大学スポーツの活性化に寄与することを目的に掲げている。
この新たなビジネスモデルにいち早く着目したのが、国内大手のアシックスだ。同社は昨年3月、早稲田大学と協定を5年契約で締結。先月には、学校法人立命館と同様の協定を結び、小学校から大学院までを対象に提携していくことを発表した。同社としては大学と取り組むことで、若手アスリートの育成と大学スポーツの発展を目指し、ひいてはブランド価値の向上を狙う。

■大学構内にインストアを出店
アシックスと早稲田大学との取り組みでは2016年9月、大学構内に「アシックスキャンパスストア早稲田」をオープンするなど新しい試みに着手。店内ではスクールカラーであるエンジ色を中心に、大学のマスコットキャラクター「ワセダベア」や「フクちゃん」、「WSD」や「W」がプリントされたオリジナルのアパレルおよびグッズが並び、学生だけではなく地域住民なども含めてファンをつなげる情報発信のコミュニティの場として好評を得ているという。
同社は、大学との協定やインストアを出店するメリットとして以下を挙げている。
1. 学生・OB等の意見のマーケティング活動や商品へのフィードバック
2. 両者の持ち合わせる資産の融合による研究開発・社会貢献活動
3. 将来の有望選手へのアプローチおよび情報収集
4. スポーツ各部を通したメディア露出および商品の信頼性の訴求
在学生をはじめ、OG・OBや教職員、また今年に入ってからは留学生やインバウンド客が増えたという。売り上げについては、当初の計画を達成する見込みだ。「オープンキャンパスや学園祭など学内のイベントで来場した一般客にも購入して頂いています。大学スポーツの醸成を目指し、ラグビーや野球などの試合観戦時に競技場を大学カラーで埋め尽くすほど浸透させることが理想」(アシックス担当者)。

■購買後押しする「愛校心」
早稲田大学の学生数は約5万人にのぼる。メインのターゲットは在校生だが、その家族や、とりわけ愛校心が強い全国に散らばる卒業生がポテンシャルの顧客であることも、このビジネスモデルにおけるポイントだ。Tシャツやパーカなどそれぞれのアパレル用途に加え、個々が持つ大学への"思い入れ"や"価値"が付加されているという点は、大学グッズならでは。これらの忠誠心の高い「ロイヤルカスタマー」は、ビジネスを行う上での強みになる。
アメリカではアマチュアながらプロ並みの収益を生み出すと言われる大学スポーツ。日本では東京五輪開催決定後の2015年にスポーツ庁が設置されるなど、政府は国策としてスポーツ振興を重点に置いている。教育的側面が強かった大学スポーツに、収益を生むビジネス要素を加えたメーカーと大学をはじめとする教育機関との協定連携は、今後新たな大学スポーツの形となる可能性を大いに秘めている。
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