シンプルなワンルームでも、部屋に置くだけで一気に空間全体が華やぐ観葉植物。おしゃれなインテリアへの第一歩として取り入れたいアイテムですが、こまめな手入れが必要なことから「きちんと育てられるか不安」という人も多いのではないでしょうか?水やりはもちろん、日当たりや風通しなどの環境も重要な観葉植物の育て方について、アクタスで植物のバイヤーを務める曽我広範さんに話を聞きました。初心者におすすめの種類と合わせて、部屋の特徴やポイント別の選び方についても紹介します。
目次
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観葉植物はどう選ぶ?初心者向けのポイントを解説
はじめて観葉植物に挑戦するとなったら、まずはできるだけ育てやすい種類を選びたくなりますよね。しかし、曽我さんによると、育てやすさ云々の前に「まずは見た目で選ぶことが大切」とのこと。もちろん、種類ごとに育て方は異なるため、部屋との組み合わせや育てる人の性格との向き、不向きはありますが、そういった性質的な側面ではなく、ファーストインプレッションで気に入ったものを選ぶことで、長く愛を持って育てられるんだそうです。
曽我さん
店頭に立っていると、お客さんから「育てやすい種類を教えてください」と聞かれることがよくありますが、何を育てやすいと感じるかは人それぞれ。例えば、乾燥に強いサボテンは水やりが少なくて済むので育てやすいと思われがちですが、水をあげすぎると根腐れしてしまうので、こまめに手入れがしたい人には向きませんし、室内環境を考えて日の当たらない場所におきたいのであれば、日当たりがマストな種類はおすすめできません。このように「育てる上で1番心配なポイント」を考えると、自分に合う育てやすい種類を見つけることができます。
【初心者向きの種類はこれ!】日当たりの良い部屋の場合
🌵おすすめは多肉植物
日当たりが十分にある部屋には、乾燥に強いことで知られるサボテンなどの多肉植物がおすすめ。日光に強いので、水やりの頻度も少なくて済むのが特徴で、室内から出さない場合には月1回ほどの水やりで十分です。
曽我さん
サボテンなどの多肉植物は、こまめな手入れが苦手な人にもおすすめです。
【初心者向きの種類はこれ!】日当たりの悪い部屋の場合
💧水やりに自信がある人におすすめ:アスプレニウム、フレボディウム
アスプレニウム
Image by: FASHIONSNAP
まめな手入れを好む人には、多少、水をあげすぎても大丈夫な種類として、水を好むアスプレニウムとフレボディウムがおすすめ。日差しが当たらない日常空間でも育てられ、サイズも小さすぎず大きすぎないので、初心者でも育てやすいのが特徴です。
🌞水やりに自信がない人におすすめ:サンスベリア、リプサリス、モンステラ
サンスベリア
Image by: FASHIONSNAP
こまめに水やりをしなくても育てられる種類として初心者におすすめなのが、サンスベリア。とにかく乾燥に強いので、水を頻繁にあげなくても元気に育ちます。遮光空間にも適しているので、日当たりの悪い部屋でも安心です。同じく、サボテンの仲間であるリプサリスも、乾燥に強いため、おすすめ。観葉植物の代表格であるモンステラも同様の性質を持っていて育てやすいですが、大きく成長することから、部屋の空間に余裕がない場合は避けるようにしましょう。
大きい方が育てやすい?初心者におすすめのサイズ
観葉植物には、大小さまざまな種類がありますが、曽我さんによると、大きい方が育てやすく、おすすめなんだとか。なぜなら、大きいものは、そこまで育つまでの年数の積み重ねから、小さいものよりも丈夫という性質を持っているから。また、植物が大きければ大きいほど、土の量が増えて乾くのが遅くなるため、水やりの頻度が少なくて済むという利点があります。
曽我さん
逆に言えば、小さいものはこまめな水やりが必須になるので、比較的難易度が高いんです。「小さいものから始めてみようと育てはじめたものの、枯らしてしまって苦手意識が芽生えた」という人も少なくないので、最初から体力のある大きいものに挑戦するのも1つの手です。
置き場所は“過ごしやすいところ”を意識
観葉植物は、部屋の空間やインテリアありきで選ぶことになりますが、どこに置くのがベストなのでしょうか? 家の広さや間取りによって異なるため一概には言えませんが、ポイントは「自分が過ごしやすいと思うところ」。特におすすめなのが、リビングです。リビングは、1日の大半の時間を過ごす場所であることから、自然と目に留まり、忘れずに水をあげることができるんだそうです。
曽我さん
人間が「過ごしやすい」「心地よい」と感じる場所は、植物にとっても同じです。暗がりの部屋よりも日当たりの良い部屋、閉め切られた空間よりも風通しの良い空間、というように、自然と心地よく感じる場所を選んで置くようにしましょう。
置き場所としておすすめできないのが、寝室、玄関、トイレの3ヶ所。寝室は、朝起きるときと寝るときだけを過ごす場所なので、水やりを忘れてしまう恐れがあるためです。玄関とトイレは、窓がなかったり、窓があっても開けることができない場合が多く、空気がこもってしまうため元気に育てるのは難しくなります。「日当たりや風通しは確保できないけど、どうしてもトイレや玄関に置きたい」という場合は、状態が悪くなったら、一定期間窓際などの好環境に置いて復活させて、また元の場所に戻す、というローテーションを組みながら育てるようにしましょう。
曽我さん
観葉植物の一番の特徴が、室内環境に耐えられる性質を持っていること。最低限の日当たりと風通しが確保できれば、どこで育てても大丈夫です。
キーワードは「一回り大きく」 鉢のサイズの選び方
観葉植物を買ったら、必ずセットで買うことになる鉢。部屋の内観も左右する大事な存在ですが、どのように選ぶのが良いのでしょうか?選び方は人それぞれですが、曽我さんにアドバイスを聞いてみると「鉢カバーのサイズよりも一回り大きいものを選ぶのがおすすめ」とのこと。
曽我さん
特に決まりがあるわけではありませんが、植物の大きさに対して華奢なシルエットの鉢を選んでしまうと、アンバランスになってしまいがち。洋服をコーディネートするときと同じような感覚で、バランスを意識したサイズ選びをするのがおすすめです。
購入したときには小さいサイズの植物も、成長するにつれてどんどん大きくなっていくもの。ジャストフィットする鉢も良いですが、基本的には、植え替えの必要を考えて一回り大きい鉢を用意するのがおすすめです。
曽我さん
僕自身、鉢をセレクトするときには、なるべく下に重心がくるようにしています。上のボリュームや葉の垂れ方など、それぞれの植物の特色に合わせた鉢選びをしましょう。
鉢のセレクトには色々な楽しみ方があるので、植物に対して小さすぎたり、中の鉢カバーが丸見えにならない限りは、自由度が高いんだとか。もしも大きめの鉢サイズを選んで、高さが見合わずバランスが崩れてしまう場合には、発泡スチロールなど、嵩増しできる素材を中敷のようなイメージで入れるのも一つの方法。「アクタスの店頭でも、建築資材に使われている、硬い発泡スチロールのような素材を入れています。単純に底上げできるものであればなんでも大丈夫です」(曽我さん)。
成長しきる前は、高さが足りずアンバランスに。
Image by: FASHIONSNAP
育て方の基本
続いては基本の育て方について。種類によって水やりの頻度は異なりますが、基本的には日当たりと風通しの良い場所に置いて定期的に水やりをする、というのがどの植物にも共通する育て方です。
観葉植物の種類は、ざっくりと葉物植物と多肉植物の2種類に分けられますが、葉物植物の場合には、土に指を入れて指の第1関節から第2関節までが乾いていたら、水やりのタイミング。多肉植物は、土全体が乾いたタイミングで水やりをします。
曽我さん
多肉植物は特に風通しが重要になるので、水をあげるときにはできるだけ外に出して、一定時間風にさらすか、窓を開けて換気しながら水をあげるようにしましょう。
ちなみに、観葉植物を室内で育てていると、葉っぱの先がヨレてしまったり茶色くなったりすることがありますが、「室内は屋外と比べて空気が乾燥しているので、葉っぱが傷んでしまうのはどうしても仕方ない」と曽我さん。葉っぱの一部が傷んでしまっても、植物そのものへのダメージは少ないですが、部屋に置いている以上、どうしても気になってしまいますよね。そんな時には、ハサミで切ってしまって大丈夫です。
Image by: FASHIONSNAP
曽我さん
髪の枝毛を切るようなイメージが近いです。一部ではなく全体が傷んでしまった場合には、根本から切るようにしましょう。
万が一枯れてしまったらどうする?
室内環境に適した観葉植物。基本的には、適切な頻度での水やりと日当たりを担保すれば枯れることはありませんが、水やりを怠った場合、もしくは水をあげすぎてしまうことで枯れてしまいます。そんな時、復活させる方法はあるのでしょうか?
曽我さん
状態にもよりますが、初期段階であれば復活させることができます。パターンは2つあるので、それぞれのケースに合わせて試してみてください。
◆パターン1:上の方が枯れてしまって、下の方はまだ生き生きとしている場合
植物が傷んでしまっても、下の方は生きていて、上の方だけが枯れてしまっているような初期段階には、まだ生きている下部分の幹を切ることで、その部分から芽が出てくるようになります。植物には、細胞分裂が盛んで、成長の起点となる「成長点」というものがありますが、幹を切ることで成長点を下の節に変えることができるんだそうです。「上の方が少し枯れてしまっても、幹を切ってみて、断面が生き生きとしていれば、まだ根っこまでは枯れていないという証拠なので、試してみてください」(曽我さん)。
◆パターン2:全体的に枯れてしまって、元気な枝が2〜3本残っている場合
植物全体が枯れてしまっている場合には、復活を諦めてしまいそうになりますが、そんな中でも2〜3本の枝は生き残っている、という場合には復活できる可能性があります。ポイントは「根っこの環境を変えること」。植物が傷むと根まで枯れ、根の量に対して土の量が大きくなり、バランスが悪くなってしまいます。そんな時には、一度植物を土から出して、生きている根っこだけを残して、一回り小さい鉢に植え替えましょう。そうすることで、土と根のバランスが良好になり、また元気な芽が出るようになります。鉢を変えるだけではなく、活力剤の使用もおすすめです。
曽我さん
元気に育って植物が大きくなると、一回り大きい鉢に植え替えるのが基本ですが、枯れてしまった場合にはその逆を実践すると健康な状態を戻しやすいです。
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