ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)とNIGO。互いが尊敬しあう盟友で、ストリートやヒップホップのカルチャーをルーツとする2人が、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のランウェイに立った。2025年秋冬メンズコレクションは、メンズ クリエイティブ・ディレクターのファレルがNIGOを迎えてコラボレーション。パリファッションウィーク初日の夜、ルーブル美術館のクール・カレに特設会場が設けられ、多彩なクリエイティビティにあふれる84ルックが発表された。
ファレルとNIGOのドリームストーリー
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ファレルとNIGOの最初の出会いは2000年代初頭。NIGOが来日中のファレルを自身のスタジオに招待したことがきっかけだ。意気投合した2人は、2004年にファッションブランド「ビリオネアボーイズクラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB)」を立ち上げ。同年、当時ルイ・ヴィトンを手掛けていたマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)からオファーを受けたファレルは、NIGOとともにルイ・ヴィトンとコラボレーションし、サングラス「1.0 ミリオネア」を発表して注目を集めた。ラグジュアリーとストリートの距離を縮めた2人が、約20年の時を経てルイ・ヴィトンのクリエイションを率いるポジションに栄進。まさにストリート発のドリームストーリーと言える。
NIGOとルイ・ヴィトンのタッグも、今回が初めてではない。ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターだったヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)と手を組み、2020年にコラボレーションコレクション「ルイ・ヴィトン LVスクエアード コレクション(LV²)」を発表した。その後NIGOは、同じLVMHグループ傘下「ケンゾー(KENZO)」のアーティスティックディレクターに就任している。
そしてファレルは2024年から、NIGOによるライフスタイルブランド「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」を運営するオツモのアドバイザーを務めている。その就任時には「NIGOは私の先生であり、彼からは決して時を経ても色褪せることのない、何回分もの人生にあたる教えを授かった。NIGOへの感謝の気持ちは尽きることありません」と、信頼と尊敬のコメントを寄せた。
ここからは、「生涯にわたる友情を芸術的に表現した」というルイ・ヴィトン2025年秋冬コレクションを、5つのポイントから紐解いていく。
サブカルチャーを注入したダンディストリートウェア
ファレルはルイ・ヴィトンのクリエイションで毎シーズン、現代のダンディズムを探求している。今シーズンは、ストリートカルチャーにルーツを持つ2人ならではの、ダンディなストリートウェアが提案された。
メゾンのテーラリングにワークやスポーツの要素を取り入れ、2000年代初頭のシルエットを参照。クラシカルな素材と仕立てを用いながら、ボンバージャケットやトラックジャケット、パーカを合わせるなど程よくカジュアルダウンしたスーツスタイルが、着こなしの幅を広げる。サブカルチャーに敬意を表し、ロカビリーやモッズのエッセンスも注入したという。1990年代調のカモフラージュ柄のセットアップ、アメカジを連想するヴァーシティジャケットといったNIGOが得意とするアイテムも、メゾンのクラフトマンシップでアップデートされた。
また、NIGOがヴァージルと手掛けた「LV²」コレクションで登場した、モノグラムとダミエを融合したパターンも、今回のコレクションで再登場している。
刺し子、ぼろ、茶道...日本の文化と伝統
今シーズンの最大の特徴とも言えるのが、コレクション全体に散りばめられた日本文化。ランウェイにも用いられている桜色をはじめ、羽織風のジャケット、家紋やカタカナ、そして七宝織りや絣、ぼろ、刺し子といった日本の伝統技術も反映されている。ジャケットのボタンは折り紙の風車のよう。巨大なハードトランクの内側には富士山などの刺繍が施され、生花をアクリルガラスに閉じ込めたデザインはフラワーアーティスト東信が手掛けた。
アイコンバッグ「スピーディ」は、ゆずイエロー、煎茶グリーン、桜ピンクといったカラーが登場し、日本の藍染による特別なバッグも。また、ショーには登場していないが翌日の展示会では特注のトランクが発表されていた。日本酒専用のトランクにはダミエのとっくりとお猪口が付属。またNIGOが嗜んでいる茶道の専用トランクも、オーダー制で展開される。
多彩なアクセサリーとあふれる遊び心
今シーズンならではのスタイルを完成させるアクセサリーには、ファレルとNIGOの遊び心をふんだんに取り入れた。ショッパーバッグはカラー展開が豊富になり、ダストバッグ風のヌバックレザーのバッグが登場。また、ピンバッジが無数に施されたバッグや、ギョウザ型のポーチ、ザリガニ型のバッグが目を引いた。
チャームやキーホルダーでは、テディベアや鯉、そして2000年代の"ガラケー"をメタルで模したアクセサリーも。さらに展示会では、マスキングテープやノート、カップホルダーや扇子といったライフスタイルアイテムが発表された。
そして2004年に発表されたサングラス「1.0 ミリオネア」がリバイバル。左右が異なるバイカラーのタイプは、2人のコラボレーションを反映している。
膨大なアーカイヴがベースに
円形のランウェイには、24のボックス型のショーケースを設置。会場セットは、片山正通が率いるワンダーウォールが手掛けた。フィナーレでファレルとNIGOの2人がランウェイに登場すると、ガラスがスモークから透明に変わり、中身があらわになるという仕掛け。今回のコレクションの「歴史の望遠鏡を通して見る未来」というテーマにある通り、ファレルとNIGO、そしてメゾンが所有する貴重なアーカイヴの数々が、まるで博物館のように展示された。
その中のひとつのボックスでは、最新コレクションの一部を展示。フィナーレでNIGOが着用していたものと同じTシャツは、ヒューマンメイドとのコラボレーションで、「LVERS MADE」ともじったハート型のプリントが施されている。
ファレルが音楽をプロデュース
音楽アーティストとしても活動しているファレルとNIGOがタッグを組めば、ショーのサウンドトラックにこだわらないわけがない。オープニングは、ファイナルファンタジーVIIの楽曲で植松伸夫の「片翼の天使」を、ポンヌフ管弦楽団が生演奏。SEVENTEENの「Bad Influence」、ザ・ウィークエンド(The Weeknd)とプレイボーイ・カルティ(Playboi Carti)の「タイムレス」、そしてドン・トリヴァー(Don Toliver)とジェイホープ(J-HOPE)のコラボレーションによる楽曲「LVバッグ」、いずれもファレルのプロデュースによる楽曲がショーを豪華に演出した。
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