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ルーブル美術館
Image by: 杉田美侑
日本最古のファッションサークル・早稲田大学繊維研究会で副代表を務める早稲田大学文学部仏語仏文学専攻の杉田美侑によるパリ留学記。
フランス語習得という名目で、パリコレ見たさに留学を強行した筆者だが、初めてのパリは分からないことだらけ。名だたる観光地に囲まれて、パリの中心に位置する語学学校に通う日々が始まる。
1日目 ハプニング続きの初日
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Image by: 杉田美侑
シャルル・ド・ゴール空港に到着したのは、予定時刻より30分遅い15時ごろ。送迎スタッフと出会うのに四苦八苦し、15時40分過ぎにようやく空港からステイ先へと出発した。ステイ先に無事到着したのはいいものの、シムカードが使えずホストファミリーと連絡が取れない。そのため路上に一人取り残される羽目に。途方に暮れていたが、たまたま居合わせた同じマンションの住人の方が人づてにホストファミリーに連絡を取ってくれ、ステイ先の部屋まで送り届けてくれたのだ。早速、人のやさしさに触れ感動した。その日はホストファミリーのおばあさんと軽く会話をし、残りの時間は部屋でひたすらシムカードが使えないか試行錯誤していた。結局シムカードは使えるようになったけど、無駄な費用が2万円ほどかかってしまい、げんなりした。
2日目 語学学校は試練の予感
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Image by: 杉田美侑
2日目は語学学校の登校初日。これまた信じられないくらい優しい同じ家に暮らす男子学生が、私を語学学校まで案内してくれた。学校の開始時間が8時15分でステイ先を出発するのが7時。大学の1限よりずっと早く、こんな時間に出発できている自分が信じられない。彼は違う学校に通っていて、しかも開始時間は10時だという。にもかかわらず、電車を乗り継いでわざわざ案内してくれ、私は終始恐縮していた。早稲田大学繊維研究会のサークル活動でも常々感じていることではあるが、人の善意に生かされていると感じる今日この頃である。
学校についてからは、地獄の始まり。先生の話も生徒の話も9割理解できず、わからないのに勢いで頷いてしまう自分にあきれながら、なんとか5時間耐えた。5時間の試練の後、私は逡巡する。朝登校した際に見たパリの街並みは、想像を絶する美しさで、初めて一人で海外を訪れた私の不安と焦燥を一気に押し流すほどだった。「あの美しい街並みの中を散歩したい」、「(朝ごはんを食べそびれたため)遅めのランチにしたい」という気持ちと、「昨日初めて訪れたフランスで急に一人でぶらつくのは危険なのではないか」という警戒心の間を行ったり来たりした。結局、ザジ※に倣って好奇心に身を任せることにした。せっかくのフランス留学だ。パリを満喫できる時間は限られている。
※ザジ・・・1960年制作のフランス映画『地下鉄のザジ』の主人公。
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Image by: 杉田美侑
学校から歩いて10分もしないところにその店はあった。青いテントと小さなフランス国旗が連なった装飾が可愛らしく、どことなくメルヘンな雰囲気が漂っている。冷えた体を温めようと飲み物はひとまずエスプレッソを注文。食べ物はサーモンとポテトのガレットと甘いクレープで迷い、甘いものを食べたい欲求に負けてバナナとラムにホイップクリームがトッピングされているクレープを注文した。店員さんが、イチゴのトッピングもおまけしてくれた。私の席の隣には日本人観光客と思しき2人組が座っていた。朝から英語とフランス語をひたすら聞き取っていた私は日本語が使いたくて仕方なく、普段人見知りであることも忘れ、2人に話しかけた。2人は大学4年生で卒業旅行に来ているそうだ。
2日目にして早くも日本語が恋しくなるとは少々先が思いやられるが、異国の地で母語を話す人に出会うと嬉しいものだ。20年間、日本に暮らしていて、日本という国の枠組みの必要性を感じたことはあまりなかったし、母国に対する思い入れもそこまでなかったが、こうして1人になってみると、ただ母国があると言うだけでこんなにも守られているのかとしみじみと感じ入った。
私の感慨と同じくらいラム酒に浸ったクレープはもちもちとしていて、たっぷりのホイップクリームとフルーツに心が満たされた。
エネルギーを補給した私は店を出て、少し遠回りして帰ることにした。というのも、今朝はシャトレ駅で乗り換えたのだが、私は乗り換えが大嫌い。東京でも通学のために乗り換えるのが嫌で、半年ほど前から毎朝学校まで40分かけて歩いている。今日は1本で最寄り駅へ帰ることができるシャトレ・レ・アル駅まで軽く散歩することにした。
駅までの道のりは絵に描いたように美しく、いくつ目があっても足りないほどだった。
そこかしこに点在するカフェはどこも色鮮やかなテントとテラス席を備えており、絵本に登場するようなカトラリーやテーブルクロスが華を添えていた。カフェの他に雑貨屋や服屋などさまざまな店が立ち並でおり、どれも興味をそそられる。気になる店に入っていったら、端から端まで1店舗ずつ立ち寄ることになるので、ぐっと我慢する。華やかなショーウィンドウを横目に足早に通り過ぎた。
最寄り駅の近くのスーパーで軽く買い物をし、帰宅。夕食をすませると、時差ボケもあいまって猛烈な眠気に襲われた。授業の復習をしたかったが、断念し眠りについた。
早稲田大学繊維研究会部員が巡るパリ留学記
①ハプニングに言語の壁、前途多難なパリ留学の幕開け
②「地下鉄のザジ」に憧れて
2004年、福岡県出身。早稲田大学文学部仏語仏文学専攻。副専攻としてジェンダー研究を学ぶ。学業の傍ら、日本で最も長い歴史を誇るファッションサークル・早稲田大学繊維研究会の副代表を務める。「衣服を媒体に理論と実践の両面を兼ね備えたファッション批評を行う」ことを理念に活動している。現在は、憧れのパリに短期留学中。
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