ブランド150年の歴史を堪能できる「シューマニュファクチャーズ[オーツカ]」【日本が誇る革靴店】
岩井直明さん(左)、髙島涼(右)
Image by: FASHIONSNAP
岩井直明さん(左)、髙島涼(右)
Image by: FASHIONSNAP
ブランド150年の歴史を堪能できる「シューマニュファクチャーズ[オーツカ]」【日本が誇る革靴店】
岩井直明さん(左)、髙島涼(右)
Image by: FASHIONSNAP
世界に注目される日本の伝統技術。中でも、ものづくりの伝統が色濃い革靴の世界には、歴史の深いブランドが多く存在しています。この連載では、そんな日本が誇る革靴文化を推進する団体・日本靴工業会に参画する革靴ブランドに着目。髙島涼さんが各ブランドの店舗を訪問し、サービスを体験しながら、ブランドの魅力を紐解きます。記念すべき第1回は、創業150年以上を誇る老舗・大塚製靴。旗艦店として六本木ヒルズで営業するシューマニュファクチャーズ[オーツカ]で、歴史あるブランドならではのサービスやアイテムを深掘りします。
■日本靴工業会とは?
日本の風土や日本人の足に合う良質な革靴の提供と普及を目的とするNPO法人。革靴の仕様や品質に関する情報提供や日本の革靴規格(JIS)の策定、革靴の製造過程で生じる環境問題への対応など、幅広い活動に取り組んでいます。今後は、激しさを増す国際競争の中で日本の革靴を更に発展させていくことを目標に掲げています。
参画企業:岩手製靴、大塚製靴、共和工業、チヨダシューズ、東立製靴、ハルタ、マドラス、宮城ハルタシューズ、ムーンスター、リーガルコーポレーション(五十音順)
目次
大塚製靴とは?
大塚製靴は、明治維新によって宮中の正服が「洋服」と定められた年である1872年に、武士の子弟であった大塚岩次郎が創業。手縫いによる革靴の製造販売をスタートした大塚製靴のクオリティは早くから世界に認められ、明治22年にはパリ万国博覧会で銀牌を受賞しました。
大塚岩次郎
Image by: 大塚製靴
創業から150年の長い年月が経った今でも、現存する日本最古のシューメーカーとして、世界トップレベルの革靴を展開。多くの人に愛され続ける本格革靴を提案しています。
シューマニュファクチャーズ[オーツカ]を訪問!
シューマニュファクチャーズ[オーツカ]は、2012年に大塚製靴初の直営店として六本木ヒルズにオープン。「お客様にとっての“運命の一足”と出会っていただきたい」という思いから、最高素材を使用し、履き心地にこだわったビスポークシューズをはじめ、世界に一足だけのオーダーシューズや、ドレスシューズのアプローチによって制作されたレザースニーカーなどを展開しています。
今回は、同店のシューコンシェルジュである岩井直明さんによる案内のもと、ここでしか見ることができない特別な商品のラインナップやサービスを髙島さんが体験します。
ブランド150年の歴史を感じられるシューズギャラリー
店頭には、ブランド150年の歴史を感じることができるシューズギャラリーを用意。これまで販売されてきたさまざまなカラーやスタイルの革靴を一挙に見ることができ、そのラインナップは、ハイエンド素材を使用したグッドイヤー製法の本格ドレスシューズから、歩きやすさにこだわったウィメンズ向けのボンステップまでさまざま。ギャラリーというコンセプトでありながら、気になる靴は実際に購入することもできるんだとか。
斬新なデザインですね。鮮やかな金魚が目を引きます。
髙島さん
岩井さん
これは、蒔絵と呼ばれる漆工芸の代表的な加飾技法の一つで描かれていて、漆で絵や文様を描き、漆が固まらないうちに蒔絵粉(金、銀などの金属粉)を蒔いて表面に付着させて装飾したものです。販売はしていませんが、職人の高い技術を誇る大塚製靴ならではの作品となっています。
大塚製靴の革靴の最大の魅力とも言えるのが、職人の手作業によって一つ一つ染め上げられる繊細な色合い。中でも、太陽の日の出を表現したという「サンライズ」は、ブランド150周年を記念して製作されたモデルの一つで、ベーシックな革靴とは一味違う、芸術的なカラーが魅力です。
大胆な色合いが素敵ですね。
髙島さん
岩井さん
サンライズは、職人自らがイラストで提案した靴を再現したモデルです。履く人が明るい気持ちになれるような、明るいカラーのアーティスティックな靴に仕上がりました。
自分だけの革靴が作れるビスポークサービス
シューマニュファクチャーズ[オーツカ]では、150年以上に渡る長い歴史の中で培った知見をもとに、最高水準の素材と匠の技を駆使したフルオーダーのビスポークサービスを展開しています。大塚製靴には、日本メンズファッション協会からMFUマイスター技術遺産認証を受けた石渡さんをはじめとした手縫い靴職人とシューコンシェルジュが在籍し、採寸をもとにしたオリジナル靴型の製作をはじめ、デザイン、素材などを話し合いながら、世界に一足だけの靴を制作することができます。採寸から完成までにかかる期間は約6ヶ月で、価格は49万5000円〜。
また、ビスポークのほか、大塚製靴で展開している靴型をもとに細かいデザインや革をカスタマイズできるハーフメジャーも提供。ハンド(手縫い、29万7000円〜)とマシン縫い(14万9000円〜)の2種類を展開しています。
手縫いとマシン縫いではどんな違いが出るんでしょうか?
髙島さん
岩井さん
手縫いの場合には、履きはじめから柔らかく軽い履き心地を実感できる底付けをしてもらえます。マシン縫いでは、機械による調整を加えることで手縫いとは違ったフィット感のある履き心地を得ることができます。縫い方の違いによって、異なる風合いを楽しむことができますよ。
■シューマニュファクチャーズ[オーツカ] ビスポークサービス
問い合わせ:03-3497-1872(※随時受付可能、要電話予約)
足のサイズ計測を体験!
店頭では、靴を購入する前に、足の簡易計測を受けることができます。足長や足囲、甲の高さなど、足のさまざまなポイントを計測し、紙に書き起こしてもらえるので、サイズ選びも安心。計測後は、数値をもとにした足の形にふさわしい靴を提案してもらうことができます。
フットゲージで足長と足幅を計測した後に、足の周囲(足囲)などをメジャーで測ります。
改めて測ってみると、左右差があることを知れたり、発見があって面白いですね。
髙島さん
岩井さん
ビスポークではわずかな左右差も意識して制作するので、丁寧な計測が肝心となります。また、ビスポークではなくても、初めて革靴を買うという人には特に計測をおすすめしています。普段あまり革靴を履かない場合、スポーツスニーカーのサイズで自分の足のサイズを認識している人が多いんですが、革靴はスポーツスニーカーの靴のサイズから1cmほど下回ることがほとんどです。
スタッフが選ぶ一押しシューズは?人気モデル3選
長い歴史の中で、さまざまな革靴を展開してきた大塚製靴ですが、その中でも特に一押しのモデルはどれなのでしょうか?ブランドを代表する定番モデルから、どんなシーンにも対応できるスニーカー、ブーツなど、今、特におすすめのシューズ3足を岩井さんに厳選してもらいました。
岩井さん
今回紹介するのは、どれも20〜60代まで幅広い世代に人気を集める万能シューズです。フォーマルなスタイルからカジュアルなスタイルまで、さまざまなシーンに対応できる高品質な本物革靴を探している人は必見です。
ベーシックな内羽根ストレートチップ「M5-1503」
まず紹介してもらったのが、大塚製靴のハイエンドモデル「M-5」の内羽根ストレートチップ。最もフォーマルに見えるデザインで、スーツなどのビジネスや、冠婚葬祭などの特別なシーンによく合います。ソールは、レザーソールか、イギリス製高級ラバーのダイナイトソールのいずれか好きな方を選ぶことができます。
Image by: FASHIONSNAP
岩井さん
キメの細かい高級革を使用したベーシックな革靴です。どのようなシーンにも合うデザインとシルエットに仕上げています。
ボタンブーツ「M5-1501」
続いて紹介するのが、150周年を記念して復刻したというボタンブーツ。ビジネスシーンから普段着まで、さまざまなシチュエーションで着用できるモデルです。
岩井さん
ボタンブーツは、1910年代までは最もフォーマルな靴とされていましたが、生産に手間がかかることから現代ではほとんど目にすることがなくなったレア物です。復刻モデルは、大塚製靴のボタンブーツだと一眼でわかる特徴的なデザインで、現代のカジュアルスタイルにフィットします。履き込むほどに足の形に馴染んでいく素材が特徴です。
レザースニーカー「HS-6009NA」
最後に紹介してもらったのが、ブリティッシュグリーンのレザースニーカー「HS-6009NA」。職人が1つずつ手作業で染色をしているので、表情に奥行きのある唯一無二のデザインが魅力です。一日中外でアクティブに動けるフィット感とフォーマルなシーンでも着用できるハイエンド感を備えています。また、大塚製靴ならではの強みとして、修理の際にはソールを丸ごと新しいものに交換できるんだとか。
Image by: FASHIONSNAP
岩井さん
レザースニーカーならではのポイントとして、定期的にお手入れ用のクリームを塗り込むことでより深みのある濃いグリーンにすることができ、お手入れと合わせて味のあるデザインを楽しめます。
最後に
老舗ならではの150年の歴史に基づいた体験ができるシューマニュファクチャーズ[オーツカ]。普段から革靴を履くという人はもちろん、初心者でも気軽に立ち寄りやすい温かい空間が広がっていました。
今日はありがとうございました。はじめて見るデザインの革靴ばかりで、どれも魅力的でした。いつかはビスポークに挑戦してみたいと思います。
髙島さん
岩井さん
当店は、ドレスシューズからスニーカーまで、さまざまなシチュエーションで着用できる紳士靴を一挙に揃えています。「本格的な革靴が欲しいけどいまいちどんなものが良いのかわからない」という人にも、ピッタリ合う革靴を提案します。
■シューマニュファクチャーズ[オーツカ]
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ウエストウォーク4階
営業時間:11:00~20:00 ※金・土・祝前日は21:00まで営業(年中無休)
問い合わせ:03-3497-1872
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境