2023年秋冬コレクションショーのフィナーレ
Image by: Onitsuka Tiger
クリエイティブディレクターのアンドレア・ポンピリオ(Andrea Pompilio)が、「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」に携わるようになって約10年。ミラノファッションウィークで発表した2023年秋冬コレクションでは、同氏が本来得意とするテーラリングに軸足を置き、脱スポーティーを意識したニューアーバンなコレクションを作り上げた。
今回のコレクションテーマは「アーバン・レイヤリング」。「重ね着」は、十二単をはじめ日本文化の象徴的なスタイルで、現代においても原宿を端に発するストリートファッションでも散見される。アンドレア・ポンピリオにおける最新のデザインアプローチは、これら重ね着とオーバーサイズ、テーラリングを組み合わせたハイブリット的解釈だ。それを、オニツカタイガーのスポーティーなDNAのフィルターを通すことで、都市的な美意識にフォーカスしたコレクションを作り上げた。
Image by: Onitsuka Tiger
前シーズンの2023年春夏コレクションはホワイトとグリーンのカラーパレット、2022年秋冬コレクションはブラックでまとめたが、今シーズンはベージュやグレー、ブラックの差し色としてオレンジをプラス。柄を用いず、ミニマルな印象に仕上げた。
テーラリングにおいて目を引いたのは、オーバーサイズの3つボタンのフェルトジャケット。フェルトの重みで、下にストンと落ちるボックスシルエットはテキスタイルの特性を活かしたアンドレア・ポンピリオらしいパターンメイキングで、懐かしさの中に新しさを感じる一品に仕上がっている。重ね着の観点では、ラペルを立てたジャケットにテーラードジャケットを合わせたスタイリングや、パンツから覗かせたボクサーショーツといずれも同色でのレイヤードが目立った。そうしたソリッドなルックがある一方、ジョーゼットを使ったドローストリングでドレープが入ったドレスなど、流線を帯びたシルエットでコレクションに緩急をつけ、奥行きの広さを示している。ニードルパンチ加工を施したクラフティッドエコファーのオーバーサイズコートや、背中にボンバージャケットのディテールを施して大きなニットのマーチンゲールを飾ったコート、メルトンのバギーパンツなど違和感あるデザインで、差異化を図っている。
Image by: Onitsuka Tiger
また、アノラックは、日本初のダウンウェアブランド「ザンター(Zanter)」とのコラボレーションアイテム。ザンターが1956年に第1次南極観測隊にダウンウェア提供を開始した際、オニツカタイガーが局地防寒靴を提供していた縁もあり、2015年に初めてのコラボレーションが実現した。ショーでは、良質なバージン羽毛を使用し、羽毛の吹き出しを防ぐための技術「ダウンプルーフ加工」を施したビッグサイズのアノラックが披露された。
フットウェアも、アーバンシティを意識したデザインで、レザーのアンクルブーツや膝下丈のブーツのほか、中空なデザインとGELテクノロジーを組み合わせたソールと機能性を兼ね備えた新しいランニングシューズも発表された。
ショー会場には、注目度もあってか様々なゲストが来場。岩橋玄樹のほか、インドの俳優ラシュミタ・マンダナ(Rashmika Mandanna)や韓国の俳優チョン・イル、ガルフの名前で知られるタイの俳優カナウット・トライピパタナポン(Kanawut Traipipatpong)らが観覧した。
岩橋玄樹
Image by: Koji Hirano(FASHIONSNAP)
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