2023年秋冬ニューヨークコレクション
Image by: (左から)Rodarte、Collina Strada、THOM BROWNE、ADEAM
トム・ブラウン(Thom Browne)がアメリカファッション協議会(CFDA)の会長に就任して、初めて開催されたニューヨークファッションウィーク。2月10日から15日までの期間中に行われた2023年秋冬コレクションのショーは、意表をつく演出やサプライズゲストなどで盛り上がりを見せた。「ロダルテ(Rodarte)」「コリーナ ストラーダ(Collina Strada)」「クリスチャン シリアーノ(Christian Siriano)」「アディアム(ADEAM)」「プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)」「トム ブラウン(THOM BROWNE)」の新作発表を振り返る。
「ロダルテ」はきらびやかなダークファンタジーで魅了
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ローラ・マレヴィ(Laura Mulleavy)とケイト・マレヴィ(Kate Mulleavy)の姉妹デザイナーが手掛ける「ロダルテ」は、まるで童話のような世界観。会場に設置されたディナーテーブルや椅子はすべてメタリックに彩られ、薄暗い空間の中、燭台の火がゆらゆらと揺れている。ショー前半、モデルたちは魔女マレフィセントを思わせるようなゴシック風メイクで、黒一色のロングドレスで登場。また、花々のモチーフやリボン、レースといったロマンチックな要素がドレスを装飾した。
後半には王冠を被ったクイーンや、大きな羽根を背負った妖精のキャラクターも登場。デザイナーデュオの母親が描いたというイラストも取り入れ、幻想的なフェアリーテールを作り上げた。
特殊メイクの動物たちが大集合した「コリーナ ストラーダ」
ヒラリー・テイマー(Hillary Taymour)が手掛ける「コリーナ ストラーダ」は2019年にCFDA/VOGUE ファッション・ファンド・アワードのファイナリストに選ばれ、「グッチ(GUCCI)」のオンラインスペース「ヴォールト(VAULT)」でもフィーチャーされるなど、注目を集めているブランド。今回は「私の友達を食べないで(Please Don't Eat My Friends)」と題されたコレクションで、特殊メイクで動物に扮したモデルたちがランウェイを闊歩した。
Image by: Collina Strada
動物の毛並みをプリントで再現したルックなどは、動物由来の素材を極力使わず、エシカルコンシャスな服作りを心がけているブランドらしいアプローチ。デザイナー自身の愛犬もモデルとなり、ランウェイに登場した。ラストルックを飾ったのは、ドラマ「13の理由」でブレイクしたトランスジェンダー俳優のトミー・ドーフマン(Tommy Dorfman)。エルフのような耳と白のストラップドレスで、手にはウサギを模ったクラッチが握られていた。
「クリスチャン・シリアーノ」はオードリーへのオマージュ
「クリスチャン・シリアーノ」はカマラ・ハリス(Kamala Harris)米副大統領も愛用するブランド。今シーズンは「オードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)の真夜中のバラ園」がテーマに。ランウェイは色とりどりのバラで装飾され、ドレスはモノトーンから華やかなジュエルトーンで彩られていった。
「ローマの休日」や「マイ・フェア・レディ」「ティファニーで朝食を」といった出演作で見られたオードリーのアイコニックなスタイルを、よりダークかつセクシーにアレンジしている。プラスサイズモデルや男性モデルも起用し、様々な角度からオードリーのエレガンスを紐解いた。また、リンジー・ローハン(Lindsay Lohan)はフロントロウで、弟ダコタと妹アリがウォーキングする様を見守っていたよう。
パンクロックやグランジを取り入れた「アディアム」
前田華子が手掛ける「アディアム」は、2023年秋冬ウィメンズコレクションとジェンダーニュートラルコレクション「アディアム イチ(ADEAM ICHI)」を発表。2021年にローンチされた「アディアム イチ」は今回が初のランウェイショーとなった。インスピレーション源となったのは、パンクロックやグランジ。「ドクターマーチン(Dr.Martens)」のブーツやチェック柄のボトムス、チェーン使いなどを取り入れ、エッジィなアクセントを効かせていた。
Image by: ADEAM
ショーの終盤に登場したのは「サムライギタリスト」の異名を持つMIYAVI。ギターのソロ演奏を披露したほか、スペシャルゲストとしてランウェイを歩いた。身長185cmのMIYAVIだが、SNSで「ここでは小さい方。みんなでっかい!」とモデル体験を振り返ったほか、バックステージでの様子もツイートした。
Image by: ADEAM
存在感を示した「プロエンザ・スクーラー」のミューズ
ラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)とジャック・マッコロー(Jack McCollough)が手掛ける「プロエンザ・スクーラー」は、ファーストルックに女優のクロエ・セヴィニー(Chloë Sevigny)を起用した。ブランドと長い交流のあるクロエは小説家のオテッサ・モシュフェグ(Ottessa Moshfegh)のテキストを朗読するなど、ショーのサウンドトラックにも参加。あらためてブランドのミューズであることを印象付けた。
コレクションのテーマは、女性たちにとっての「完全なワードローブ」。シックなレザーアイテムやスラウチーなブーツなど、今年20周年を迎えたブランドらしいマチュアかつ都会的なアイテムが数多く登場した。
Image by: Proenza Schouler
客席にはマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)の姿も。また、アナ・ウィンター(Anna Wintour)がシエナ・ミラー(Sienna Miller)と10歳になった愛娘マーロウ(Marlowe)と歓談するシーンも見られた。マーロウは「ディオール(DIOR)」のサドルバッグを持ち、すでにファッショニスタの貫禄だ。
星の王子さまのストーリーを描いた「トム ブラウン」
先シーズンは、シンデレラのオペラ戯曲「サンドリヨン」から着想を得た「トム ブラウン」が、今シーズンはサン=テグジュペリの「星の王子さま」をテーマに選んだ。円形の会場には、不時着した白い飛行機のセットが置かれ、天井からは星々のオブジェが吊るされている。足元には、物語の舞台であるサハラ砂漠を思わせる白い砂が敷かれていた。
モデルたちはパイロットや象、小惑星、バオバブの木といった様々なキャラクターを思わせる装いで現れ、王子さまの髪型も挿絵通りに再現された。また、大きな時計が埋め込まれたヒールやバッグのシリーズもアイコニックだ。
Image by: THOM BROWNE
ショーの最後にデザイナー本人が登場し、フロントロウに座っているパートナーのアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)にハート型のチョコレートボックスを手渡すシーンも。バレンタインデーにふさわしい愛あふれる演出に、会場からはあたたかい拍手が贈られた。
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