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先週の日曜日、シズカさんのお薦めで上海や北京、深圳、南京などの一級都市で店舗展開する中国有数のセレクトショップ「ルックナウ(LOOKNOW)」のイベントへ訪れた。
会場は高級デパートの向かいの元々火鍋屋だった3階建ての建物。床と壁が剥がされ、アスファルトとコンクリートがむき出しとなった廃墟となり、壁には色とりどりのスプレーアートが施されていた。
1階で受付を済ませて2階に上がると、黄色やピンク、黄緑と卑猥な色のサイバーパンクなネオンサインが光る空間で、フランス人のDJが麻雀卓を囲む4人のZ世代の傍らでエレクトロニック・ダンス・ミュージックのレコードを回していた。
食欲を掻き立てる香りのする薬膳カレーや腸詰を焼くじゅうじゅうという音の横では、ハンドメイドのアクセサリーやキャンドル、手書きのグラフィックを販売するメキシコ人が様々な国の言語で話す。エンジンみたいに鳴くハスキーを連れたロシア人は、置き場に困ったレコードを気ままに売る中国人の若者のレコードバッグを漁っていた。
一つ階を上がった3階には、天井から吊るされたたくさんのドローイングと無造作に配置された異形のアートピース。そして、ひねもすのたりのたりと、ガラスにライブペインティングを繰り広げるうら若き女性がいた。
これらの光景は「スワロウテイル」に描かれた、円が世界で一番強かった時代の円都(イェン・タウン)、あるいはリドリー・スコット監督作「ブレードランナー」のメガロポリスを彷彿とさせるが、ここは魔都上海、元都(ユェン・タウン)だ。
国境、世代を超えた混沌と混乱と狂熱こそが、まさに今の上海の縮図だと思った。
■コラム連載「ニイハオ、ザイチェン」バックナンバー
・vol.3:隔離のグルメと上海蟹
・vol.2:書を捨てよ 上海の町へ出よう
・vol.1:上海と原宿をめぐるアイデンティティ
・プロローグ:琥珀色の街より、你好。
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