
Image by: FASHIONSNAP
歴史的背景を持つ、ヴィンテージ古着。人気が高く希少なアイテムの価値は高まり続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。
でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第43回は「パタゴニア(Patagonia)」パフボールベスト編。
2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
ヴィンテージパタゴニアならではのカラーをお手頃価格で
ADVERTISING
アメリカを代表するアウトドアブランドであるパタゴニア。当連載では以前、まだ注目が集まっていない穴場的ヴィンテージとしてドリズラージャケットをピックアップしましたが、ヴィンテージパタゴニアの最大の魅力といえば、やはり美しい色合いではないでしょうか。パタゴニアはシーズン毎に新色や限定色を展開しており、そのなかでもひときわ人気が高いアイテムが、化繊中わたジャケットのダスパーカです。名作中の名作であるダスパーカは近年価格がかなり高騰していますが、今回紹介するパフボールベストはパタゴニアならではの美しい色合いを楽しめるにも関わらず、相場が3〜5万円と人気アイテムに比べるとかなり手を出しやすい価格であるのがポイントです。

今回ピックアップしたのは1990〜2000年代のアイテム
Image by: FASHIONSNAP
パフボールベストの価格はカラーによってかなり上下します。バターナッツやマンゴーなど、ダスパーカでも人気があるカラーの価格は比較的高め。それ以外でも、鮮やかな色の個体は相場が高い傾向が見られます。また、サイズも価格に影響を与えます。最近はサイズ感のトレンドが変わってきており、オーバーサイズ一辺倒からジャスト〜タイトを着る方も増えていますが、ヴィンテージ業界では今も大きいサイズの価値は高いまま。逆に言えば、小さいサイズの価格は控えめなので、お買い得です。








定番のブラックはいつの時代も安定した人気を誇る
Image by: FASHIONSNAP
「故郷である地球を救う」パタゴニアのブランド哲学
世界には数多くのアウトドアブランドがありますが、パタゴニアはそのなかでも独特の個性を持つブランド。その理由はパタゴニアならではのブランド哲学によるところが大きいでしょう。パタゴニアは、1973年に創業者 イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)が立ち上げました。その原点は、彼が1950年代に製造・販売していたクライミングギアブランド、「シュイナード・イクイップメント(CHOUINARD EQUIPMENT)」に遡ります。自然の中で活動することを愛したシュイナードは、製品の機能性と耐久性を追求すると同時に、環境保護と企業としての責任を重視しました。その姿勢はブランドの根幹となり、パタゴニアは現在「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というパーパスを掲げて事業を展開しています。素材選定や生産工程において環境負荷を抑えるとともに、収益の一部を自然保護活動に寄付するプロジェクト「1% for the Planet」に参加しており、企業活動全体でサステナブルな価値観を実践・啓発するリーディングブランドとして広く認知されているんです。








フルジップタイプとハーフジップタイプが存在する
Image by: FASHIONSNAP
パタゴニアを象徴する有名なエピソードのひとつが、2011年のブラックフライデーのときに行われた「Don't Buy This Jacket」キャンペーン。感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日を指すブラックフライデーは、年末に向けて消費が大きく喚起され、小売業界に大きな売り上げをもたらす重要なイベントです。そんなビジネスの命運を分ける重要な日に、パタゴニアがニューヨーク・タイムズ紙に掲載した広告が話題となりました。自社商品の写真の上に「Don't Buy This Jacket=このジャケットを買わないで」というキャッチコピーを掲げたのです。つまり、消費を促すセール期間にあえて長く着られる製品を大切にする姿勢を示すことで、自社のブランド哲学を強くアピールしたのです。





内タグにシーズンが記載されており、こちらは1998年春夏
Image by: FASHIONSNAP
ファッションの楽しみ方は人それぞれ。ブランド哲学などは特に気にせず、デザインが格好良いから着る、機能性の高さに惹かれるから着る、などという姿勢もアリだと思います。僕は最近、このようにパフボールベストをアウターの下に着るというコーディネートにハマっています。美しい色合いのシェルがコーディネートのアクセントになるだけでなく、薄めの中わたはレイヤードにピッタリ。冬から春にかけて気温の変化が激しいときや、屋内・屋外を行き来するときなどの体温調節に非常に重宝するんです。暑くなったら、ラフに丸めて鞄に放り込んでおけるので、扱いもラクチン。手に入れやすい価格であるうちに、是非チェックしてみてください。

Image by: FASHIONSNAP
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
vol.1 カーハート × ステューシー編
vol.2 キース・ヘリング Tシャツ編
vol.3 エルメス ヘラクレス編
vol.4 リーバイス ギャラクティックウォッシュデニムジャケット編
vol.5 ポロ ラルフ ローレン オープンカラーシャツ編
vol.6 セックス・ピストルズ ポスター編
vol.7 シュプリーム ゴンズジャケット編
vol.8 ソニック・ユースTシャツ編
vol.9 エルメス アクロバット編
vol.10 ナイキ クライマフィット ジャケット 2ndタイプ編
vol.11 カルバン・クライン「オブセッション」Tシャツ編
vol.12 マルタン・マルジェラ ペンキデニムジャケット編
vol.13 J.クルー ツートーンアノラックパーカ編
vol.14 エルエルビーン ボート・アンド・トート編
vol.15 エルメス クレッシェンド編
vol.16 オンブレチェックシャツ編
vol.17 エルメス アレア編
vol.18 スカジャン編
vol.19 カルチャーポスター編
vol.20 エルメス グレンデシャン編
vol.21 アディダス レザートラックスーツ編
vol.22 コム デ ギャルソン オム シャツ編
vol.23 ハーゲンダッツ編
vol.24 エルメス トルサード編
vol.25 フレンチフレーム編
vol.26 ペンドルトン ボードシャツ編
vol.27 BDUブラック357編
vol.28 アニマル柄シャツ編
vol.29 フェードスウェット編
vol.30 モヘアカーディガン編
vol.31 ウエスタンジャケット編
vol.32 リーバイス「後染め」ブラックデニム編
vol.33 エルメス オスモズ編
vol.34 ラングラー デニムジャケット編
vol.35 ASAT トライバルカモフラージュ編
vol.36 リーバイス アクションスラックス編
vol.37 レインボーレイクジャケット編
vol.38 パタゴニア ドリズラージャケット編
vol.39 ポロ ラルフ ローレン レザースイングトップ編
vol.40 L-2Bフライトジャケット編
vol.41 エルメス ブックルセリエ編
vol.42 アメリカ軍ヘリンボーンツイルジャケット編
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【令和のマストバイヴィンテージ】の過去記事
RELATED ARTICLE