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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.40 L-2Bフライトジャケット編

ポロ ラルフ ローレン“ポニーなし”レザードリズラー

Image by: FASHIONSNAP

ポロ ラルフ ローレン“ポニーなし”レザードリズラー

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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.40 L-2Bフライトジャケット編

ポロ ラルフ ローレン“ポニーなし”レザードリズラー

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 歴史的背景を持つ、ヴィンテージ古着。人気が高く希少なアイテムの価値は高まり続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

 でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第40回はL-2Bフライトジャケット編。

VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やエルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

マニアが惹かれるフライトジャケットの魅力

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 アメリカ軍のミリタリーウェアはヴィンテージファンの間でも人気のアイテムですが、今回僕がお勧めしたい逸品は「L-2Bフライトジャケット」です。フライトジャケットは、その名の通り飛行機のパイロットが着用していたウェアのこと。ただ、ひとくちにフライトジャケットと言っても、その用途によってデザインや仕様が大きく異なるんです。アメリカ空軍の前身である陸軍航空隊は、1930〜40年代にフライトジャケットをヘヴィゾーン、インターミディエイトゾーン、ライトゾーンの3つに分類しました。その目的は、飛行中の温度環境や任務の状況に合わせた装備を整えるためです。飛行機内は高度が上がるほど寒くなりますが、一方で地上や低空での任務は比較的温暖な環境下で行われることもあるため、軍は寒冷地から温暖地まで多様な地域や高度に適応できるようにフライトジャケットを設計・支給していました。ヘヴィゾーンは-30〜-10℃、インターミディエイトゾーンは-10〜10℃、ライトゾーンは10〜30℃の気温に対応できるようになっており、このL-2Bフライトジャケットはライトゾーン用のアウター。つまり、春や秋に羽織るのにピッタリのアイテムなんです。

 L-2Bのルーツであるモデル L-2が開発されたのは、朝鮮戦争開戦直前の1949年。それまで、フライトジャケットに主に用いられていたレザー素材の供給が不足するようになったために、当時の最新素材だったナイロンが初めてフライトジャケットに採用されました。その後、後継モデルとして1952年にL-2Aが登場しますが、空軍のシンボルカラーであるエアフォースブルーが戦場で目立ちすぎてしまうという問題があったために、セージグリーンのL-2Bが開発された、というわけなんです。こちらはそのL-2Bの開発段階で試験的に製作されたアイテムで、タグにも「EXPERIMENTAL TEST SAMPLE=実験テストサンプル」と記されています。テストサンプル自体が希少なんですが、こちらは46というめったにお目にかかれないビッグサイズの個体。しかも、当時着用していたパイロット名と思われるワッペンも付いています。本来、こういったアイテムは軍を除隊するときに返納しなければならないはずですが、L-2Bはご覧のようにスタイリッシュなデザインなので、こっそり持ち帰ってプライベートで着用していたケースも少なくなかったそうです。また、一般的に空軍は航空機の運用・整備・指揮などを担うために高度な技術や訓練が求められる分野が多いので、自分の誇りの象徴として保管していたこともあったと聞きます。

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フライトジャケットの裏側がオレンジ色である理由

 L-2Bはその後20年以上もの間、アメリカ空軍の正式品として採用されていたので、時代によって少しずつ仕様が異なっています。最も大きな変化は、1960年代前半にライニングに採用されたレスキューオレンジカラー。フライトジャケットの象徴と言えるMA-1にも採用されているので、ご存知の方も多いでしょう。これは、墜落や不時着などの緊急時にパイロットがジャケットを裏返し、空からの捜索に対して自身の所在を分かりやすく示す目的で導入されました。

 次に紹介するのは、一般の兵士が着用していたと思われる個体です。上掲のテストサンプルとは対象的に、全てのワッペンが取り外されていますが、ボディに残っているステッチ跡がクールですね。このように、個体によって細かな違いがあることも、ヴィンテージミリタリーウェアの魅力のひとつです。

パイロットが操縦席に座ったときに邪魔にならないように、裾の後ろ部分が短くなっている

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 最初に触れた通り、ミリタリーウェアにはファンが多いので、ヴィンテージアイテムは基本的に高値安定という印象。テストサンプルは50万円くらいから、それ以外のL-2Bは10万円くらいからが相場ですが、数多くのメーカーやブランドがクオリティの高い復刻版を出しているのでご安心を。L-2Bは中綿が入っておらず、すっきり着られるので、最近は女性からの人気も高まっています。全身ヴィンテージアイテムで揃えるのではなく、普通のコーディネートに一点だけヴィンテージミリタリーを取り入れるのもオススメです。

L-2Bを着用する男性

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編集:山田耕史 語り:十倍直昭

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