【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.39 ポロ ラルフ ローレン レザースイングトップ編
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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.39 ポロ ラルフ ローレン レザースイングトップ編
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とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。
でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第39回は「ポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)」 のレザースイングトップ編。
2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やエルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
ラルフのレザーアイテム、おすすめの製造国は?
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当連載5回目以来のポロ ラルフ ローレンの登場です。ラルフにはヴィンテージをインスピレーション源としているアイテムが少なくないのですが、素材の選び方やディテールアレンジなどが非常に巧みで、熱狂的なヴィンテージファンを唸らせる実力を備えたブランドです。今回ピックアップした1990年代のレザー素材のスイングトップでも、そんなラルフの魅力が存分に味わえます。前回のパタゴニアの記事でも触れましたが、襟付きのシンプルなジップアップアウターのことを、一般的にドリズラージャケットと呼びます。ですが、古着業界ではラルフのアイテムについてはスイングトップと呼ぶことが多いので、ここでもその呼称を使おうと思います。スイングトップはシンプルなデザインでどんなファッションにも馴染む万能選手。元々はスポーツシーンでの雨用ウェアとして軽快なコットン素材でつくられていましたが、素材をレザーに置き換えるだけでこんなにスタイリッシュな印象になるんです。
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ラルフのレザースイングトップの多くは中国製ですが、稀にポルトガル製のものもあります。今回ピックアップしたブラックのアイテムで、裏地が赤のものが中国製、黒のものがポルトガル製です。あくまで僕の経験則ですが、ポルトガル製の個体には、肌触りが滑らかで上質な革が用いられていることが多い気がしています。
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ヨーロッパの革の生産地といえばイタリアやスペインが有名ですが、実はポルトガルも革製品の生産が盛んであることをご存知でしょうか。ポルトガルで革製品の生産が盛んになった要因として、革を多く使う製靴業の発展がありました。製靴は労働集約型、つまり人間の労働力への依存度が高い産業です。第二次世界大戦後のヨーロッパでは、ドイツやイギリス、フランスなどの主要国で靴が製造されていましたが、各国が経済発展を遂げると労働賃金が高くなり、自国での製造が困難になりました。そこで目をつけられたのが、比較的労働コストが安かったポルトガルです。1970年代にはポルトガル製の靴がヨーロッパ各国に輸出されるようになりました。1980年代には健康志向の高まりによって、ウォーキングシューズが世界規模のヒットアイテムになります。当時のウォーキングシューズブームを牽引したアメリカ・ボストン発のシューズブランド「ロックポート(Rockport)」など欧米のシューズブランドのアイテムを、OEMとして製造していたのもポルトガルでした。このようにして、ポルトガルは良質な革のリソースや、効率化された製造のノウハウ、熟練した職人の技術力を備えるようになったのです。
通好みの“ポニーなし”デザイン
ラルフは市場に出回っているアイテム数が膨大なので、製造国もさまざまです。一見同じように見えるアイテムでも、素材や仕様が微妙に違っていたりします。例えば、このレザースイングトップにはジップの色がシルバーの個体と、真鍮の個体があるんです。こういった違いを細かく調べるのも面白いですよ。
ラルフの象徴と言えば、胸元に施されているポニーの刺繍。ですが、今回ピックアップしたアイテムには全てポニー刺繍がありません。これは、ヴィンテージファンの間で“ポニーなし”と呼ばれているデザイン。このレザースイングトップ以外にも、“ポニーなし”のアイテムは多数存在しているのですが、総じて希少性が高いこともあり、“ポニーなし”のほうが愛好家から好まれている印象があります。個人的には、ラルフというブランドのイメージが前面に出る“ポニーあり”よりも、匿名性が高い“ポニーなし”のほうが、幅広いスタイルに合わせられるように感じています。
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また、グリーンやブルー、レッドなど、カラーバリエーションが豊富にあるのも、このアイテムの魅力。デザインがシンプルでベーシックなので、こういった鮮やかな色にも挑戦しやすいですね。
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今回紹介したブラックのアイテムは僕の私物、その他はラルフに強い祐天寺のヴィンテージショップ BIG APPLE STOREさんからお借りしました。お店にはラルフの名作が数多く並んでいるので是非足を運んでみてください。ラルフのレザースイングトップは、イギリスのロックバンド オアシス(oasis)のリードボーカルで、ファッションアイコンとしても人気が高いリアム・ギャラガー(Liam Gallagher)が着用していたという背景もありますが、現時点での相場は5〜10万円くらいと、それほど高価という訳ではありません。裾にゴムが入っている個体はシルエットが丸っこくなっており、女性が大きめサイズをざっくりと羽織っても格好良いんですが、たまにゴムが劣化してしまっている個体もあるので、ご購入の際はチェックをお忘れなく。
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編集:山田耕史 語り:十倍直昭
vol.1 カーハート × ステューシー編
vol.2 キース・ヘリング Tシャツ編
vol.3 エルメス ヘラクレス編
vol.4 リーバイス ギャラクティックウォッシュデニムジャケット編
vol.5 ポロ ラルフ ローレン オープンカラーシャツ編
vol.6 セックス・ピストルズ ポスター編
vol.7 シュプリーム ゴンズジャケット編
vol.8 ソニック・ユースTシャツ編
vol.9 エルメス アクロバット編
vol.10 ナイキ クライマフィット ジャケット 2ndタイプ編
vol.11 カルバン・クライン「オブセッション」Tシャツ編
vol.12 マルタン・マルジェラ ペンキデニムジャケット編
vol.13 J.クルー ツートーンアノラックパーカ編
vol.14 エルエルビーン ボート・アンド・トート編
vol.15 エルメス クレッシェンド編
vol.16 オンブレチェックシャツ編
vol.17 エルメス アレア編
vol.18 スカジャン編
vol.19 カルチャーポスター編
vol.20 エルメス グレンデシャン編
vol.21 アディダス レザートラックスーツ編
vol.22 コム デ ギャルソン オム シャツ編
vol.23 ハーゲンダッツ編
vol.24 エルメス トルサード編
vol.25 フレンチフレーム編
vol.26 ペンドルトン ボードシャツ編
vol.27 BDUブラック357編
vol.28 アニマル柄シャツ編
vol.29 フェードスウェット編
vol.30 モヘアカーディガン編
vol.31 ウエスタンジャケット編
vol.32 リーバイス「後染め」ブラックデニム編
vol.33 エルメス オスモズ編
vol.34 ラングラー デニムジャケット編
vol.35 ASAT トライバルカモフラージュ編
vol.36 リーバイス アクションスラックス編
vol.37 レインボーレイクジャケット編
vol.38 パタゴニア ドリズラージャケット編
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