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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は？ vol.38 パタゴニアドリズラージャケット編

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　とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

　でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第38回は「パタゴニア（Patagonia）」ドリズラージャケット編。

VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール（Grimoire）」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCM（@vcm_vintagecollectionmall）を立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やエルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

まだ手に入れられる穴場的ヴィンテージパタゴニア

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　数あるアウトドアブランドのなかでも、特にヴィンテージファンに高い人気を誇るのが、パタゴニアです。僕が2024年のベストバイにピックアップした「グリセード」のほか、「ダスパーカ」や「スナップT」「レトロX」など、プレミアが付く人気アイテムが多数存在しています。ヴィンテージのパタゴニアは価格的に手が出しづらい、と考える人も少なくないかもしれませんが、全てのヴィンテージパタゴニアに高いプレミア価格が付いている訳ではありません。今回紹介するのは、市場にあまり出回っていない珍しいアイテムにも関わらず、現時点ではそれほど高値にはなっていない、穴場的なヴィンテージパタゴニアです。

　赤のグレンチェック柄のアイテムは、ウルトラ・プラッシュ・オーバーシャツという商品名で、1997年から2年間のみ展開されました。プラッシュ（plush）とは、長く柔らかい毛羽のあるビロードの一種のことで、その名の通り滑らかな肌触りのフリース生地が魅力です。一般的に、このウルトラ・プラッシュ・オーバーシャツのような、襟付きのジップアップアウターをドリズラージャケットと呼びます。ドリズラージャケットは元々、1921年にアメリカ・ニューヨークで創業したブランド「マックレガー（McGregor）」が、ゴルフのときの小雨対策アウターとして1945年に発表したスポーツジャケットのこと。当初はマックレガーの商品名でしたが、その後似たようなデザインのアウター全般を指す名称になりました。

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合わせる服を選ばないシンプルデザインが◎

　残りのふたつのスタンドカラーのアウターは、ボイラープレート・ジャケットという商品名で1990年代終盤から2000年代にかけて展開されていたアイテム。表地はストレッチ性の高いソフトシェル、裏地には防寒性の高いフリース生地が用いられています。

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　1990年代のパタゴニアは、パープルやピンクなどの鮮やかな色使いのアイテムを数多く展開していたのですが、このボイラープレート・ジャケットは非常にシンプルでソリッドなデザイン。個人的にはこういう「パタゴニアっぽくない」雰囲気がとても好みです。また、ゆとりのあるシルエットなので、今の気分にもマッチするのではないでしょうか。

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　今回のアイテムは、福岡の人気ヴィンテージショップ「スナッグ（SNUG）」のオーナー小川元気さんにお勧めしていただき、お借りしました。冒頭で触れた通り、パタゴニアは長年ヴィンテージファンから支持され続けているブランドで、近年はその人気がさらに高くなっています。しかし、今回ピックアップしたアイテムは市場にそれ程数が出回っている訳でもないのに、価格はあまり高くなっていません。サイズや状態にもよりますが、両アイテムともだいたい3〜5万円から購入可能。とはいえ、現在のようなパタゴニア人気が続くと、今後価格が上がる可能性は十分にあるので、気になっている方はお早めに。