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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は？ vol.37 レインボーレイクジャケット編

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　とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。

　でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第37回はレインボーレイクジャケット編。

VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール（Grimoire）」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCM（@vcm_vintagecollectionmall）を立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やエルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

ヴィンテージファン垂涎の謎多きジャケット

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　今回紹介するレインボーレイクジャケットというアイテム、聞き馴染みがない方も少なくないでしょうが、ヴィンテージファンなら喉から手が出るほど欲しがる人気の逸品なんです。

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　レインボーレイクジャケットがつくられたのは、1970年代頃。1911年創業で、アメリカのアウトドアブランドの雄として知られる「エルエルビーン（L.L.Bean）」のアイテムが有名ですが、その他に最初はアウトドアブランドとしてスタートした「アバクロンビー＆フィッチ（Abercrombie & Fitch）」や、アメリカの名門百貨店である「メイシーズ（Macy's）」、「ニーマン・マーカス（Neiman Marcus）」のタグが付いた個体も確認されているので、おそらく同じOEMのメーカーが製造していたのだと思われます。

　最大の特徴は、やはりこのパッチワーク。パッチワークは、1960年代後半から1970年代にかけて隆盛したヒッピーカルチャーで頻繁に用いられていたモチーフなので、このレインボーレイクジャケットもその影響を受けたのだと思います。ちなみに、ヒッピーカルチャーには、大量生産・大量消費に対する疑問や環境への配慮から、古着や余り布、古布などを再利用して衣服を作る風潮がありました。パッチワークは端切れをつなぎ合わせる技法のため、布の再利用手法として適しており、反消費主義の姿勢とも結び付きやすかったとされます。また、パッチワークは、色柄の異なる布を組み合わせることで一点物の表現がしやすく、制作者の個性がより現れやすいデザインです。ヒッピーは既存の枠にとらわれない自由な発想を重んじていたため、手作り感やユニークさを追求するうえで、パッチワークが好まれたのでしょう。

YouTube「ゆーみん&きうてぃ」でヴィンテージ情報を発信しているヴィンテージショップ「KIT VINTAGE」オーナー木内氏提供

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　このレインボーレイクジャケットのパッチワークのメインになっている生地はコーデュロイですが、そのコーデュロイも太畝と細畝があったり、他にデニムやダックなども使われていたりと、個体によってデザインが多種多様な点が魅力です。

　また、レインボーレイクジャケットには、ハンティングジャケットの特徴的なディテールである、ゲームポケットという内ポケットが付いています。ですのでおそらく、ハンティングジャケットがベースになっていると思われますが、それがどうパッチワークデザインと結びつき、さらに多くのアウトドアブランドや百貨店ブランドで展開されていたのかは、現時点ではよくわかっていません。つまり、その正体は「謎」ということ。この奥深さに惹かれているヴィンテージファンも少なくないでしょうね。個人的には、アメリカのアイテムにも関わらずユーロな雰囲気を感じる点が、気に入っています。

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あのハリウッドスターが劇中で着用

　このように、ヴィンテージファンが惹かれる要素たっぷりのレインボーレイクジャケットですが、1998年公開の映画「ラスベガスをやっつけろ」の劇中であのジョニー・デップが着用していたということをご存知でしょうか。同作の舞台は1970年代ですので、時代的な符号はぴったり。画像は検索するとすぐ見つかると思いますが、デニムのショートパンツに、柄物のプルオーバーシャツをラフに着たうえからレインボーレイクジャケットを羽織ったコーディネートは非常にスタイリッシュ。ジョニー・デップファンならずとも真似したくなる魅力に溢れています。