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UPDATE
【2021年10月27日更新】「DUNE/デューン 砂の惑星」の続編「Dune: Part Two(原題)」の製作が正式に決定したことを米ワーナー・ブラザース/レジェンダリー・ピクチャーズが発表した。2023年10月20日に全米公開予定。
トレンドの最前線を行く者、映画の最新作も気になるはず──。今月公開が予定されている最新映画の中から、FASHIONSNAPが独自の視点でピックアップする映画連載企画「Fスナ映画部屋」。
今回は、今年一の注目を集めるSF超大作がいよいよ日本上陸。約10ヶ月の全米公開延期を経て公開される「DUNE/デューン 砂の惑星」と、映画「ブリジット・ジョーンズの日記」製作陣が再集結した"ほぼ"実話に基づく物語「ビルド・ア・ガール」をセレクト。編集部員によるゆる〜い座談会付きで、今月絶対に見てほしい注目の映画を紹介します。
目次
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約1年の全米公開延期を経て、SF超大作がついに公開「DUNE/デューン 砂の惑星」
気になるあらすじは?
主人公 ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)には、未来を視る能力があったーー。時は10191年、人間の居住地が銀河系に広がった時代。宇宙帝国の皇帝が世の中を支配し、「メランジ」と呼ばれるスパイスが最も重要な資源となっていた。皇帝からの命令でスパイスが採取することができる、砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星「アラキス」通称デューンへと移住するポールとアトレイデス一族。ところがその移住計画は、今まで"砂の惑星"を治めてきた凶暴なハルコンネン家と皇帝が仕掛けた罠だった。
配給会社の米ワーナー・ブラザーズは、コロナ禍による映画館の閉鎖を受けて本作を含む2021年の劇場公開作品のすべてを、ロードショー初日からストリーミングサービスでも同時公開することを発表済み(日本国内では未定)。しかし、本作の予告編は「映画館で鑑賞するしかない」とあなたを強く思わせるはず!
■DUNE/デューン 砂の惑星
公開日:2021年10月15日(金)
上映時間:155分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジェイソン・モモア、ジョシュ・ブローリン、チャン・チェン、ステラン・スカルスガルド、ハビエル・バルデム、ゼンデイヤほか
公式サイト
一足先に「DUNE/デューン 砂の惑星」を観た、同い年編集部員2人による ゆる〜い座談会
普段はアートやカルチャー関連のほか、東京のデザイナーズブランドなどを担当。先日、美容師さんに「私をデヴィッド・ボウイにしてください!」と懇願。3年間伸ばした髪をバッサリカットしてマレットヘアーになりました。10月8日から公開中のデヴィッド・ボウイ誕生秘話を描く映画「スターダスト」も楽しみ。
フルカティ:まずは「令和を代表するSF映画になるだろうな」と思えるくらい、「SFエンタメ超大作を観た!」という気持ちになれて嬉しかった!
マサミーヌ:ベネチア国際映画祭で「上映後7分間にも及ぶスタンディングオベーションが起こった」と聞いて「流石に長すぎるだろう」と思ったけど、観客の気持ちがよくわかった(笑)。
フルカティ:物語の舞台は10191年の未来、人間の居住地が銀河系の地球以外の惑星にも広がった時代。この未来では皇帝が圧倒的な権力を持っていて、コンピューターなどの最先端技術は厳しく禁じられており、意識を拡張し寿命を延ばす効果がある「スパイス」が何にも変えがたい資源になっている……。と、とにかく情報量や設定、固有名詞が多い。
マサミーヌ:その情報量の多さを、台詞だけではなく衣装や美術などで説明したり納得させてくれるのは映画ならではだった。
フルカティ:設定やキャラクターは多いけど、わかりやすい善悪が最初からわかっているから観やすかった。「複雑な設定だけどすんなりと理解できる」という感覚が、私を「SFエンタメ超大作を観た!」という気持ちにさせてくれたんだと思う。
マサミーヌ:本作は数千年後の架空の未来を描いているのに「ここで描かれている未来の暮らしはそのうち本当にやってくるかもしれない」と観客に思わせる不思議な力があったね。
フルカティ:メガホンを取ったのは「メッセージ」「ブレードランナー2049」などで知られているドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。ドゥニ監督は本作を「サイエンスフィクションぽい中世もの」と形容しているんだよね。
マサミーヌ:「サイエンスフィクションっぽい中世もの」というのは言い得て妙!「中世」という時代も、歴史の授業で習うくらい「嘘のような本当の話」だもんね。
フルカティ:本作のテーマを端的に表すとしたら「適応能力」という言葉が個人的には一番しっくりきていて。今の世の中はどちらかといえば他のSF作品で描かれてきたようなディストピア的な世界で、その中で何か新たな変革を迎えようとしている。そういう今の時代だからこそ重要な作品になるかもな、と考えたりした。
フルカティ:ドゥニ監督は、本作の原作でもあるフランク・ハーバード著の同名タイトルの大ファンだそう。
私にとって、「DUNE/デューン 砂の惑星」は心理スリラーであり、アドベンチャー映画でも戦争映画でもあるし、主人公が大人になる過程を描く映画でもあるんだ。それにラブストーリーでもあるね。原作本が長い年月を通して、私の本棚やベッドサイドにずっと置かれ続けた理由がそこにはあるんだよ。
ードゥニ・ヴィルヌーヴ監督
マサミーヌ:原作は「SFの金字塔」とも言われているよね。
フルカティ:一説には「スター・ウォーズ」シリーズや「風の谷のナウシカ」など、歴史に名を刻む名作はフランク・ハーバード著の「DUNE/デューン 砂の惑星」なくして生まれなかったのでは、と言われているらしい。
マサミーヌ:原作読んだことある?
フルカティ:大学生の時に1週間ほぼ完徹で読んだ(笑)。スケールが壮大すぎて、「実写化不可能」とも言われていたんだよね〜。
フランク ハーバート著「DUNE/デューン 砂の惑星」(新訳版)(上)
フルカティ「ちなみに『DUNE/デューン 砂の惑星』は、全6作からなるシリーズの第1作目だよ」
マサミーヌ:主演は今をときめくティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)!ティモシーは25歳だけど、見事に未成年の役を演じきっていたね〜。
フルカティ:ティモシー演じる主人公ポール・アトレイデスに、フォースに目覚めるまでのルーク・スカイウォーカーを感じて「また、1人の青年がどんどん成長していく過程を見れるのか!」と嬉しかった(笑)。
マサミーヌ:そんなスター・ウォーズシリーズ第7作目「スター・ウォーズ フォースの覚醒」で、ポー・ダメロン役を演じたオスカー・アイザック(Oscar Isaac)が、ポールの父親で、アトレイデス家の当主 レト・アトレイデス公爵を演じていたね。
フルカティ:オスカー・アイザックも、原作の大ファンらしい。レト公爵を演じるにあたって、三船敏郎の演技を参考にしたらしい。
自分が刺激を受けるリーダーがどんな話し方をしているのか調べていったよ。三船敏郎の映画もたくさん観た。彼にはどこか惹かれるところがあった。非常にパワフルで強い人だね。
ーオスカー・アイザック
マサミーヌ:完全に余談だけど、「メットガラ2021」のオスカー・アイザックは本当にカッコ良かった……。
フルカティ:配役で興味深かったのは、原作では男性の設定だったリエト・カインズ博士を、女優シャロン・ダンカン=ブルースターが演じていたこと。
マサミーヌ:原作では男性だったんだ!
フルカティ:そうなの。同作の登場人物は大半が男性で、女性はたった3人しか出てこない。でもこの3人の女性はパワフルで、物語になくてはならない存在だった。
マサミーヌ:そうだね!観客はカインズ博士を通して、原作者フランク・ハーバートからのメッセージを強く感じることになるんじゃないかな。
マサミーヌ:キャステイングももちろん豪華なんだけど、ハンス・ジマーが本作のサウンドトラックを手掛けているんです!
フルカティ:「ライオン・キング」「パイレーツ・オブ・カリビアン※」「ダークナイト」シリーズなど、幅広いジャンルの映画音楽を作ってきた世界的な映画音楽作曲家。
※クラウス・バデルト編曲
マサミーヌ:「素晴らしいシリーズものには、テーマ曲ありきなんだな」と私に初めて思わせてくれたのが、ハンス・ジマーなの。庵野秀明には鷺巣詩郎、スティーヴン・スピルバーグにはジョン・ウィリアムス、クリストファー・ノーランにはハンス・ジマー、そして言わずもがな、宮崎駿に久石譲!
フルカティ:いい話だ(笑)。本作のメインテーマはどうだった?民族音楽っぽい印象を受けたけど。
マサミーヌ:「よく聞くと心地よくない音」をうまく映画音楽として表現しているなーと個人的には思った。
フルカティ:よく聞くと心地よくない音、とは?
マサミーヌ:本作は「音」が結構重要な要素にある気がしていて。例えば、主人公ポールの母親 レディ・ジェシカは「声」と呼ばれる特殊能力を使うマインドコントロールの達人。一方、砂の惑星に生息するミミズ状の巨大生物「サンドワーム(砂虫)」は、振動(音振)を感知して移動するから、「音のあるところにサンドワームあり」なんだよね。
フルカティ:サンドワームは本作の「象徴」と言っていいんじゃないかな。砂漠において、サンドワームは圧倒的な力を持っているし、あの世界では「音」は命に関わる。
マサミーヌ:サンドワームを誘引するために必要な振動発生装置「サンパー」が劇中に出てくるけど、サンパーの機械音はあまり心地が良いものではなかったよね。
フルカティ:そうだね。何かを奏でるような「楽器」というよりかは、単純に砂を揺らすための機械音だから、どちらかといえば耳障りというか。長くは聞いていられない感じはした。
マサミーヌ:でもこのサンドワームが支配する砂の惑星では、心地の良くない音が砂漠の遠くから聞こえて来たら、むしろ命拾いなんだよ。
フルカティ:なるほど!たしかにリズムや音を感じ取った時に何かが起こる映画だよね。
マサミーヌ:そういう意味での「よく聞くと心地よくない音」。でも「生き抜くためには必要」という点では心地よい音に成り得るな、と。
マサミーヌ:私たちは、グランドシネマサンシャイン池袋IMAXシアターで行われた試写会に参加させてもらったわけだけど。縦に長い巨大スクリーン(その大きさなんと1.43:1!通常スクリーンに比べて最大40%増だとか)&分散型オーディオシステム環境の中で鑑賞できたから、より映画の世界観の没入できたよね。
フルカティ:撮影監督はグレイグ・フレイザー。前回も話題になった、ロバート・パティンソンが主演を務める「ザ・バットマン」も手掛ける予定とのこと!
マサミーヌ:本作をIMAXのフォーマットで撮影することは、企画が立ち上がった最初の段階で決まっていたらしい。
フルカティ:主人公ポール・アトレイデスがみる予知夢や、砂漠のシーンなど、作品全体を通してIMAXのフォーマットで撮影されていたけど、時々通常スクリーンのアスペクト比が差し込まれていて。アスペクト比がシーンによって変わることで、上映中ずっとIMAXの迫力を感じ続けることができた気がしている。
マサミーヌ:通常スクリーンの画角からIMAXの画角に広がる演出などは、ドゥニ監督が意図したものらしい。
フルカティ:砂漠のシーンは手持ちカメラで撮影して、その他の景色は絵画のような映像に仕上げたりと映像にはかなりこだわったみたいね。
マサミーヌ:私が映像演出の部分で覚えていることは、砂の惑星は、所謂「砂漠」と聞いてイメージするような『黄色い砂に青い空』ではなかったこと。『色あせた砂と白茶けた空』が広がる砂の惑星は「暮らすのが大変そうな星だな」と感じさせられた。
フルカティ:たしかに、台詞で説明されなくても細かい映像演出で「厳しさ」がひしひしと伝わってきた。
マサミーヌ:スクリーンの大きさも相まって、サンドワームが登場したシーンは本当に「喰われる!!」と思ったもん(笑)。
フルカティ:サンドワーム、想像よりも大きかったよね(笑)。
マサミーヌ:主演のティモシー・シャラメが明かしていたけど、グリーンスクリーンを背後に撮影したのは2シーンのみ。あとはハンガリー、ヨルダン、アブダビ、ノルウェーでのロケ撮影だったとのこと。
未来感のない衣装の考察や、リンチ監督の旧作のすゝめまで>>
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