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【微ネタバレ注意!】もっと、「オートクチュール」の話
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ここからは、同い年編集部員である「フルカティ」と「マサミーヌ」による、ネタバレありきのゆるい座談会をお届け。「オートクチュール」観劇後の余韻に浸りながらゆる〜くどうぞ。(本当にゆるいです!)
一見、不良娘のジャドを後継者に選んだエステルの言動は不可解というか、簡単には説明し難いものだよね。
地下鉄でバッグをスった張本人だからね(笑)。
普通だったら後見人として育てようとはしないと思う。
でも、よくよく考えてみるとエステルがバッグをスられた理由は、ジャドがギターを弾く滑らかな指使いに見惚れていたからなのかな、と。
なるほど。
演奏に聞き惚れていたのではなく、ジャドの手に見惚れていたという解釈。
そうそう。今作の重要な台詞として「この手は美しいモノを生み出せるのよ」があると思うんだけど、エステルはギターを弾いているジャドの手を見た時から
「あの手は美しいものを作る指だろう」と直感していたんじゃないかな。
ジャドとエステルは、年齢や仕事、社会的環境、宗教さえも異なっている。
でも唯一の共通点としてある「あたたかい家庭環境を知らない」という事実が、エステルに「ジャドを成長させ、盗みを働かなくてはならない境遇から抜け出させたい」と思わせたのかな。
エステルがジャドを見つめる眼差しは常に、怒りと迷惑と好奇心が混在しているなと思った。(ナタリー・バイの演技力に脱帽!)
おそらくこの映画の主題はオートクチュールドレスを作る女性たちの物語ではなくて
ガラスの天井や、生まれながらに不利な環境に置かれてしまった人がどのようにその宿命から逃れようとするのか、という話なのかなと思った。
サクセスストーリーやシンデレラストーリーの雰囲気を感じなかった理由はそういうところにあるのかも知れないね。
自身を解放しようとする少女の成長物語という側面のほうが強い。
人生に意味を与える方法として、仕事以上のものはないのかもしれないね。
ちなみに、今作の監督を務めたシルヴィー・オハヨンも「フランスは実力主義で、特別な技能を持つ人はしばしば助けの手を得られるという信念から本作の着想を得た」と語っているよ。
これは私の経験に基づく、私自身の人生のテーマでもあります。私にとってフランスは、共和国の学校制度のおかげで全てが可能であり、卒業証書さえあれば自分で道を切り拓ける博愛の国です。
自身の孤独を癒したいというエステルの身勝手な理由もありますが、そんなことはどうでもよく、彼女の中には献身的な心、優しさがあります。そして少女は教育を受け、人生に対する新しい視座を持ち、パラダイムシフトを起こします。私も同じようにして、ジャドと似た境遇から立ち直ることができました。
ーシルヴィー・オハヨン
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