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「追い求めたのは自分の中の理想像」 FRUITS ZIPPERの生みの親に聞く、“カワイイ”論

Zipperモデル、アイドルを経てたどり着いたもの

木村ミサ

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Image by: FASHIONSNAP

木村ミサ

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「追い求めたのは自分の中の理想像」 FRUITS ZIPPERの生みの親に聞く、“カワイイ”論

Zipperモデル、アイドルを経てたどり着いたもの

木村ミサ

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 「原宿から世界へ」をコンセプトに掲げる、アソビシステムのアイドルプロジェクト「カワイイラボ(KAWAII LAB)」。2022年、プロジェクト発足とともにデビューしたFRUITS ZIPPERが、セカンドシングル「わたしの一番かわいいところ」をきっかけに知名度を集め、次いで妹グループとしてCANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETが続々と誕生。昨年8月にデビューしたばかりのCUTIE STREETは、デビューから1年足らずでアリーナクラスでの公演が決まる*今年10月にぴあアリーナMMで2日間、ワンマンライブを開催予定など、まさに令和以後のアイドルカルチャーの先頭に立つ存在だ。そんな現状を、プロジェクトの生みの親はどう見ているのか。平成の青文字ファッションの代名詞である雑誌「Zipper」のモデルを経て、アイドルグループ・むすびズムのリーダーを務めた後、プロデューサーとしてカワイイラボを手掛けるヒットメーカー・木村ミサに聞く、理想のアイドル像と「カワイイ」論。

追い求めたのは世間ではなく“自分の中の王道”

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──カワイイラボの立ち上げから、今年で3周年を迎えます。木村さんが手掛けるグループは、今や令和の王道アイドルのスタイルを牽引する存在ですが、この反響は想定内でしたか?

 当初は、世間にとっての“王道”を意識して作ったつもりはありませんでした。日本のアイドル文化を体現するプロジェクトにしたいという思いがあったので、「私にとっての理想のアイドルを作ろう」というところを起点に始まりました。私は元々アイドルオタクなので、これまで自分がファンとして応援してきたももクロ(ももいろクローバーZ)やハロプロ(ハロー!プロジェクト)のグループのような、どんなコンセプトの楽曲も歌って踊れるアイドルであることが理想でした。それに加えて、アソビシステムが得意としている原宿を起点とした“カワイイ”ファッションカルチャーも体現できるグループをイメージして作ったんですが、“カワイイ”を軸にした結果、色々な人から「王道でいいね」と言っていただけるようになりましたね。

FRUITS ZIPPER

FRUITS ZIPPER

Image by: KAWAII LAB.

──カワイイラボのグループは、これまでアイドルに触れてこなかった層も取り込んでいる印象ですが、狙いはあったのでしょうか?

 どのグループにも共通していることなんですが、アイドルソングでありながら、一つの楽曲としてアイドル好きじゃない人にとっても聴きやすい楽曲を作ろうという思いが根底にあります。「カワイイラボの楽曲=カワイイを打ち出した楽曲」というイメージが先行していますが、実はそれだけをやっているわけではないんです。

 例えば、FRUITS ZIPPERがデビュー当初にリリースした「RADIO GALAXY」は、転調が多かったりラップパートがあったりと、いろいろな要素が詰まった楽曲で、一つの型に囚われないカワラボ(カワイイラボ)らしさを表現しています。メンバー自身もすごく大切にしている楽曲で、この曲があるからこそ「私たちには多様な表現ができる」という自信にも繋がっていると感じます。

衣装へのこだわりは業界随一 雑誌「Zipper」のDNAを引く“カワラボらしさ”

──カワイイラボのグループは、ライブの公演やCDのリリース時期に関わらず、頻繁に衣装を変えているのも印象的です。

 衣装に対するこだわりは強くて、特にFRUITS ZIPPERは衣装がコロコロ変わっています。昨年の年末は、各音楽番組ごとに衣装を変えたりもしていましたね。「原宿から世界へ」というコンセプトなので、ファッションの街である原宿を発信する上で、衣装にこだわるのは必要不可欠だと考えています。

──FRUITS ZIPPERの衣装は、スタイリストの相澤樹さんが手掛けています。

 相澤さんには、ステージ衣装に加えて、メディアに露出する時のスタイリングをお願いすることも多いです。個人的に、アイドル衣装はファッション的な要素とかけ離れている側面があると常々感じていて。だからこそ、アイドル衣装を専門的に作っていない方に依頼することが多いです。「この人がアイドル衣装を作ったらどうなるんだろう?」と興味が湧くような人。相澤さんもその一人です。

アイドルグループ FRUITS ZIPPERのアーティスト写真

相澤樹、齋藤ヒロスミが手掛けた衣装

Image by: KAWAII LAB.

 FRUITS ZIPPERは、相澤さんと、浜崎あゆみさんの衣装を手掛けている齋藤ヒロスミさんがタッグを組んで一緒に作ってくださることが多くて、CUTIE STREETは、椎名林檎さんやきゃりー(きゃりーぱみゅぱみゅ)の衣装を担当している飯島久美子さんにお願いしています。それに対して、SWEET STEADYは坂道グループの衣装を手掛けている市野沢祐大さんに依頼したりと、グループの雰囲気に合わせて、クリエイターの方も変えるようにしています。

CANDY TUNEのアーティスト写真
SWEET STEADYのアーティスト写真
CUTIE STREETのアーティスト写真

CANDY TUNE

Image by: KAWAII LAB.

──衣装制作においては、Zipperモデルとしての経験が生きていることもあるのではないでしょうか。

 衣装はもちろん、ヘアメイクなどのディレクションに関しては、Zipperでの経験があったからこそ、できていることが多いと感じます。例えば、FRUITS ZIPPERがデビューしたばかりの頃は、雑誌の取材で「私服でお願いします」と言われることが多かったんですが、すぐに私服が用意できないメンバーもいたので、自らリースに行ってスタイリングを組むこともありました。私の私服でコーディネートを組んでメンバーに着させることもあったり。私がモデルとして活動していた頃のZipperは、リースされた衣装の中から自分たちで好きなものを選んでコーディネートを組むという環境が当たり前だったので、「やっていて良かったな」と感じましたね。

──衣装を手掛ける上で気をつけていることはありますか?

 メンバーの趣味がバラバラで、それぞれ好きなテイストが明確にあるので、同じ衣装でもメンバーの個性や良さが出るように気をつけています。好みに合わせてパフスリーブにしたり、肩を出したデザインにしたり、お腹を出すのが苦手な子には配慮したデザインにしたりと、制作過程でメンバーにフィッティングをして、直接意見をもらいながら調整しています。

 色々な衣装を作ってきたからこそ「この子にはこういう形が似合うから、フリルを少し減らそう」とか、メンバーの個性を反映した細かい調整もできるようになりました。メディアに出演する時には、スタイリストさんに「この子は肩を出しすぎるのはNGだけど、このくらい出すとスタイルが良く見えます」と明確に伝えたりもします。

──衣装や楽曲制作におけるインスピレーション源は?

 楽曲は、「メンバーが自分自身の感情を乗せて歌うことができるか」「メンバーの気持ちとリンクするか」を大事にしているので、メンバーとの会話を通してインスピレーションを受けることが多いです。メンバーが今、何に興味があるのかとか、メンバーの間で流行っている言葉を起点に作っていますね。あとは、アニメのキャラクターソングをよく聴くようにしています。アニメソングは、キャラクターのセリフが入る楽曲が多いので、「この(セリフの)入れ方、いいな」とか、ピンポイントで参考にすることもあります。

 衣装に関しては、とにかくめちゃくちゃインスタを見ています。スタイリストさんやブランドのアカウントを見て「この形が可愛い」とか「この服のこの部分がかわいい」と、細かいポイントを集めて切り貼りしながら、衣装チームに提案しています。

──トレンドも気にしているのでしょうか。

 “気にしつつ、気にしすぎず”を意識しています。アイドル衣装においては、トレンドを取り入れたからといって必ずしもファンの方に喜んでもらえるとは限らないと思うので。日常着なら良くても、ステージ衣装に取り入れると違和感を生んでしまうものもあるので、線引きが難しいのが正直なところです。基本的な形は変えず、素材や細かいデザインに遊びを入れながら「この雰囲気がアイドル界でトレンドになったらいいな」と思って作っています。

木村ミサ


──近年、アイドル業界全体ではカワイイラボ同様、メンバーカラーの衣装が主流になっていますよね。

 メンバーカラーで言うと、これまでアイドルグループにおいてメジャーな色ではなかった「ミントグリーン」が、カワラボの子達をきっかけに人気色になったように感じています。これまで、アイドルのメンバーカラーと言えばピンクや赤が“人気色”で、グリーンはそこまで目立つ色とされていなかったんです。私個人としては、グリーンのメンバーカラーを背負ったアイドルに推しが沢山いるので、カワラボのグループには必ずミントグリーンを入れていたら、最近は色々なグループでミントグリーンの子を見かけるようになりました。これを機に、さらにミントグリーンに憧れる子が増えたらいいなと思っています。

加速する「カワイイ」消費 日本発のアイドルならではの魅力とは?

──近年、K-POPアイドルが年々市民権を得ていますが、それに対して日本独自のアイドル文化の魅力はなんだと思いますか?

 K-POPが完成されたクオリティの高いものを楽しむ文化なのに対して、日本のアイドルは、完璧じゃないからこその可愛らしさだったり、人としての成長物語をリアルタイムで届けられることが魅力だと思っています。ただ、成長過程を売りにすることで「アイドルなんて」と下に見られてしまいがちなので、そのイメージは変えたい。日本には、成長過程を追う楽しさと、クオリティの高いパフォーマンスがうまく共存しているアイドルが沢山いるので、カワイイラボを通して、日本ならではの魅力を発信していきたいですね。

──K-POPアイドルは、身につけたものがすぐにトレンドになったりと、Z世代のロールモデルとなっているケースも見られますが、日本のアイドル界でも、今後そのような存在は生まれると思いますか?

 生まれてほしいです。かつてギャルのカリスマと言われた益若つばささんのように、日本のアイドル業界にも憧れられるロールモデルのような存在がいたら良いなと思いますね。実際、FRUITS ZIPPERのメンバーが身につけたものを真似してくれるファンの方もいるので、可能性は感じています。

木村ミサ


──トレンドと言えば、「カワイイ」をキーワードにした楽曲を出すアイドルが増えたのは、カワイイラボの台頭がきっかけですよね。

 アイドル業界全体で見ると、「カワイイ」という言葉が消費されすぎていて、飽きられてきているのが正直なところ。ただ、カワイイラボとしての軸は、これからも変わらず「カワイイ」です。今は一種の流行りになっていますが、一世を風靡したももクロの楽曲は、今でも「ももクロっぽい」系統として愛されているし、モーニング娘。などのハロー!プロジェクトの楽曲も時代を超えて「ハロプロっぽい」と言われ続けていますよね。そんなふうに、カワイイを歌う楽曲も「カワラボっぽい」系統として浸透させたいです。流行りはいずれ廃れてしまうかもしれないけど、私たちはこれからも変わらずにカワイイを発信し続けます。

──最後に、木村さん自身が考える「カワイイ」の定義は?

 「カワイイ」って変幻自在な言葉だと思っていて。“キモカワイイ”とか“ブサカワイイ”とか、語尾に「カワイイ」を付けると全てが肯定されて、プラスになるような不思議な言葉じゃないですか。前に来る言葉によって意味が変わるので、ある意味、定義のない自由なものだと思っています。

 「アイドル」という言葉も、定義が一つではないですよね。自分で名乗るものというよりは、他人から与えられる肩書きで、本人が自分のことをアイドルと名乗っていなくても“誰かにとってのアイドル的存在”なら、その人はアイドルと言えると思うんです。「こうじゃなきゃいけない」という定義がないからこそ、一つの形に囚われない自由な“カワイイアイドル”像を、これからも作っていきたいです。

木村ミサ

■木村ミサ
 1990年、群馬県出身。アソビシステムのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」総合プロデューサーを務める。これまでには、雑誌「Zipper」のモデルやアイドルグループ「むすびズム」として活動した経歴を持つ。
公式インスタグラム

FASHIONSNAP 編集記者

張替美希

Miki Harigae

茨城県出身。得意の英語を生かし外大に進学するも、幼少期から抱いていたファッション雑誌への憧れから、ライターを志す。大学卒業後、2022年に株式会社レコオーランドに入社。主にスポーツとファッションの領域で記事執筆を担当する。趣味はアイドル鑑賞で、エビ中ファミリー(私立恵比寿中学のファンの総称)歴は10年。週末はライブに握手会に大忙し。

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