「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」のデザイナー黒河内真衣子が霧の中に見たのは、淡い春の景色と、自身の記憶の深部。2022年春夏「Land」は黒河内の故郷である長野を舞台に、立ち上げから10年を経たマメの原点に立ち返り、新たな命を吹き込むようなコレクションとなった。
コレクション制作のベースとなったのは黒河内が生まれ育った長野。今年の春に⻑野県立美術館で開催したブランド10周年の展覧会の準備を進める中で感じた春の訪れと、故郷での遠い記憶が着想源で、淡い色のグラデーションと繊細なテクスチャーとなってコレクションに落とし込まれている。
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春の息吹が織り込まれたジャカード
草花のモチーフが随所に用いられ、小川に花々が浮かんでいるようなジャカードや、雪溶けの下から芽を出す様子、そして植物柄の先からフィルム糸が垂れ下がるシルクジャカードなど、春の息吹が織り込まれている。ピンクやライラックといった水彩絵具で描いたようなペールトーンが特徴で、移りゆくものの儚ない美を、マーブル染めや特殊な板締めなど伝統的な技術によって、透明感のあるグラデーションに表現している。
過去との対峙 曲線のルーツ
マメ クロゴウチのルーツを見つめ直し辿り着いたのは、デビューコレクションで発表したキャップスリーブのドレス。今ではブランドの象徴となっている曲線のカッティングと、特徴的な穴の空いたデザインを現代にアップデートし、ジャケットやドレスなどを仕立てた。
朝露のクリスタルとビーズ
クリスタルのアクセサリーや、ハンドメイドのマクラメバッグに飾られたビーズは、朝露の輝きを連想させる。カーブを描くリネンのクロッシュハットは「キジマ タカユキ(KIJIMA TAKAYUKI)」とのコラボレーション。細いストラップがフレーミングするサンダルとローヒールのスリッポンは、ヌーディーな印象でスタイリングに抜け感を作っている。
「霧の彫刻」のランウェイ
コレクション映像を手がけたのは、先シーズンに続き奥山由之。⻑野県立美術館に常設され「霧の彫刻」で知られる中谷芙二子の作品「Fog Sculpture #47610-Dynamic Earth Series I-」の中を、イノセントな表情のモデルたちが歩き、儚さとミステリアスなムードをまとった。
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