昼の窓から夜の窓へ。「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」を手掛けるデザイナー黒河内真衣子は、先シーズンの窓からの着想を引継ぎながら、月光が差し込む夜の部屋の景色からイメージを広げていった。2021年秋冬コレクションのテーマは「Nocturnal Window」。
■影が作り出した景色から着想
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月夜が照らし出すのは、昼間とは異なる幻想的な世界。生活の一部である窓や、光と影の関係を模索し、テキスタイルに表現することからコレクション制作がスタートしたという。おぼろげな影から光の存在を認識したという黒河内の想像は月へと旅立ち、伝統的な技術を用いながらフューチャリスティックなスタイルを創造していった。
■揺らぐストライプと曲線を描くプリーツ
窓に掛かるブラインドの影は、ストライプやプリーツとして具現化。ストライプ柄はプリントではなく、染めの伝統技法である板締め絞りにより、滲むような線で表現された。プリーツやニットのリブは直線ではなく、ソファーやベッドの上で歪む影のようにカーブを描いている。
■夕暮れのマーブル、中庭の金木犀をモチーフに
コレクションで印象的なのは、鮮やかなオレンジ色とサイケデリックなマーブルプリント。夕暮れから刻一刻と移り変わるマジックアワーを超現実的な視点で表現したようなマーブルプリントは、京都の工房で制作された。粘土状の染料を用いて職人の手作業で色と柄を組み上げる世界唯一の技術で、絵画のようなプリントをストレッチ素材のシンプルな仕立てが引き立てている。
ブランドのアイコンであるボタニカル柄は今回、アトリエの中庭に散っていた金木犀を、刺繍やニットの編み地、そしてピアスやイヤーカフにデザインした。
■アイウェアがデビュー
繊細なモチーフとは対照的に、マルチポケットのスカートバッグやウエストポーチ、そしてタフなトレッキングブーツを合わせたスタイルは、アクティブで現代的。ブランド初登場のアイウェアは、キャットアイスタイルで、ブラック、グレー、クリアの3色展開となっている。
■奥山由之が手掛けたコレクション映像
コレクション映像の監督を務めたのは、先シーズンに続き奥山由之。前作とはガラリと変わり、窓枠を効果的に用いながら異次元に迷い込んだかのような、フューチャリスティックな世界を描き出した。
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