ロエベ 2022年秋冬ウィメンズコレクション
Image by: LOEWE
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が手掛ける「ロエベ(LOEWE)」が、2022年秋冬ウィメンズコレクションのフィジカルショーを発表。レザーやフェルトのほか、ラテックス、レジン、3D プリント繊維など、多彩な素材使いが光るコレクションとなった。
■原始的なムードを演出する巨大カボチャ
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会場には、酒袋からインスパイアされた土色のカーペットが敷かれ、巨大なカボチャが床にめり込むような形で横たわっている。これはイギリス人アーティスト、アンセア・ハミルトン(Anthea Hamilton)による彫刻作品。ハミルトンは、2016年にターナー賞(英国の現代美術賞)にもノミネートされた注目株で、ロエベとはこれまでもコラボレーションを実現させてきた。今回の作品はレザー製で、ブランドと共同制作したものだという。
■違和感を味方につけた巧みなクリエイション
コレクションもカボチャのオブジェと同様に、思わず触りたくなるようなフォルムや素材使いが目を引いた。「リアクションを呼ぶファッション」とブランドが説明したとおり、ドレープをモールド成形したレザードレスや車をかたどったドレスなど、観衆をあっと驚かせる作品が続く。どれほどウェアラブルなのかは不明だが、ロエベが得意とする「芸術的なクラフト」のさらなる進化を印象付けた。
■「現実を超えた現実」をファッションで追求
キーワードとなったのはシュールレアリスム(超現実主義。20世紀を代表する文学・芸術運動の一つ)。大きな唇の胸当てやハイヒールを布地の間に挟んだドレスは、マン・レイ(Man Ray)の世界観を彷彿とさせる。
また、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)風のトロンプルイユ(だまし絵)ドレスも、倒錯的ながらユーモアを感じさせる仕上がりに。今にも割れそうな風船のモチーフは、スリリングなアクセントとなっていた。
■人気のアイコンバッグが変容
ロエベのアイコンバッグも変容を遂げている。「フラメンコ」「ゴヤ」といった人気のバッグが膨張したシルエットで登場。「パズル」はステッチやチェーンでアレンジが加わった。
足元には、「フラメンコ」をそのまま履いたかのようなボリューミーなシューズをスタイリング。銀色の大きなリボンをあしらったサンダルも、違和感を与えながらも不思議なバランスを完成させていた。
■アンダーソンが注目する京都在住のアーティスト
彫刻的なバッグやバングルなどを手がけたのは、京都在住の石塚源太。漆塗りの質感と触感を追求し、「薄膜の周辺にあるもの」をテーマに作品を制作している。ロエベ財団クラフトプライズにもノミネートされたアーティストだが、あらためてその才能に注目が集まりそうだ。
バッグ、シューズ、アクセサリーの新作
Fuyuko Tsuji
セントラル・セント・マーティンズ出身。モード誌の編集者、通信社のニュース記者を経て、フリーランスのファッションエディター/ライターとして独立。ファッション以外では、現代アートやフィギュアスケートについての記事執筆もこなす。
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