「ロエベ」2022年春夏コレクション
Image by: LOEWE
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が手掛ける「ロエベ(LOEWE)」は、3シーズンぶりのフィジカルショー形式で2022年春夏コレクションを発表した。コロナ前まで発表の場にしてきたユネスコ本部を離れ、歴史的なフランス共和国親衛隊の乗馬トレーニングアリーナに会場を変更。今シーズンは後期ルネサンスの美術様式であるマニエリスムの世界に着目し、「ロエベ」の新章の始まりを意味する実験的なクリエイションを見せた。
予想外のシルエット
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「ロエベ」が得意とする彫刻的なシルエットは今回、「ねじれ、転換、歪み」のテクニックが落とし込まれた。ファーストルックは、一見シンプルなノースリーブのブラックドレス。しかし3Dのメタルワイヤーを潜ませ、腹部が垂直に突き出している。その後のルックも、肩や腰に入れられた立体的なワイヤーが予想外のフォルムを形作る。またコルセットのようなメタルプレートを合わせたルックは、「着飾るという現実を別の次元へと拡張する」ことを目指したという。
ドレープや歪み...日常着を変換
ブランドの公式SNSには、今季の着想源の一つであるマニエリスムを代表する画家のヤコポ・ダ・ポントルモ(Jacopo da Pontormo)の感情的なアートを映した動画が公開されていた。ドレープした布を合わせたミニドレスは、マニエリスムの絵画に描かれている人々が纏う服装を彷彿とさせる。羽のようなケープを付けたトップスは、官能的なマンガのキャラクターをイメージしたものだという。さらに、トレンチコートやデニムジャケットの前後を転換したり、ペプラムのようなパターンを加えたりと、日常着を自由に変換させていく。
マニキュア、石けん、薔薇ヒール
遊び心のあるデザインのシューズも目を引いた。一見シンプルなパンプスは、儚さや偶発性を示唆する石けんやマニキュア、バラ、キャンドルなどをヒールにあしらった斬新なデザイン。テディベアなどぬいぐるみで知られる「シュタイフ(Steiff )」の生地を使った柔らかなブーツも登場している。また定番のスニーカーは、透ける再生プラスチックを採用してアレンジした。
ぬいぐるみの生地をバッグにも
主力のバッグも、ウェアと同様のドレープのデザインが印象的。定番のクラッチバッグ「FLAMENCO」はシューズと同様にシュタイフのテキスタイルで新提案。ショルダーバッグの「GOYA」も波打ったテキスタイルでエレガントに表現した。曲線が美しい新作バッグ「LUNA」は、ブランドを象徴するアナグラム ジャカードをハンドルにあしらったのがポイント。カラフルなブレスレット型バッグもスタイリングのアクセントになった。
「再生」を意味するルネサンス
今シーズンのインスピレーション源となった「ルネサンス」は、14世紀のイタリアで古典古代の文化を復興しようと始まった文化運動であり、フランス語で「再生」「復活」を意味する言葉でもある。コロナ後の再生を願うコレクションとして、過去のアイデアから新しいものを生み出すのにふさわしいテーマと言えるだろう。8年前にクリエイティブディレクターに就任し、ファッションにアートやクラフトのアイデアを融合するなど、幅広い世代に支持されるメゾンへとロエベを再生させたジョナサン。「新章への扉を開く出発点」とする今シーズン、更なる進化を予感させるショーとなった。
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