ロアートヴィンテージ店内
Image by: FASHIOSNAP.COM
何気なく手に取る“ヴィンテージ”。愛好家のみならず感度の高い洒落人に愛される珠玉のアイテムですが、ふと疑問に思うのは「この服はどこから来たのか?」。そこで今回、グリモワールのヴィンテージセレクトショップ「ロアートヴィンテージ(LOART VINTAGE)」がオープンするまでを密着しました。どうやってショップができ、どうやってアイテムたちは見つけられ、どうやって再び人の手に渡っていくのか。悠久の時を経た服が人と出会うまでの旅を届けます。VOL.1「準備編」、VOL.2「買い付け編」を経て、最終編となる今回のVOL.3は「オープン編」です。
オープン16日前
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ロサンゼルスで買い付けた大量のアイテムが東京に届きました。帰国する際に手持ちで運んだものが第1便で、現地でパッキングした後に輸送したこれらの荷物が第2便。第2便はおおよそ1〜2週間後の配達になるので、すぐに店頭に並べたいものや高価なアクセサリー類などは、第1便で運ぶのが確実なんだそうです。
オーナーの十倍さんも搬入をお手伝い。
箱には番号が振られていて、中身が識別できるようになっています。大まかな仕分け作業を買い付け現地で輸送前に行うことで、作業の効率化を図る工夫が。そしてここからは、
「開封→細かい仕分け→メンテナンスの有無を確認→クリーニング→メンテナンス作業」
という流れ。グリモワールや新店舗のロアートヴィンテージでは、丈切りや袖詰めなどの一般的なお直し以外にも、肩詰めやウエスト直し、しみ抜きやほつれの修正まで丁寧に行います。また、サイズが大き過ぎてもテキスタイルが良質であれば買い付けることもあるので、日本人に合うよう全体的にリサイズするものも。店頭で顧客が試着をしてから補正するパターンもあります。
オープン15日前
内装工事中のロアートヴィンテージの店内へ。
作業が急ピッチで進みます。
オープン12日前
通行人が、オープン日を知らせる張り紙に目を止めています。
オープン11日前
アンティークの収集家でもあるオーナーの十倍さん。海外などで見つけた時に「いつか使うかも」という理由で什器やインテリアを買っておくことも多いため、青梅に倉庫を借りて様々なものを保管してます。今日は、その数百点の中から新店舗用の什器をピックアップします。
これはイタリアの鏡で、1960年代のものだとか。
今回の新店舗では、木製の棚などを使用する様子。早速、運び出します。
ドア板や家具など様々なものがありますが、一番多いのは「ランプとか照明系かなぁ」と十倍さん。大小問わず、様々な年代物が所狭しと並んでいますね。
再び店舗へ。施工業者と不動産会社の担当がチェックしています。
観葉植物が届きました。インダストリアルな内装がキーイメージなので、植物などで優しさを加えます。
「死ぬほど重かった...」という重量感のある姿見も、無事搬送完了。
今回の業者関係を手配をした平野さんが下見に。「管理組合の了承で手間取りましたが、その他はすんなりと進んでよかったです」とホッと一息。
これは1920年代にアメリカの図書館で使われていたライブラリーテーブル。歴史を感じさせるルックスで、ロアートヴィンテージのメインとなるセンターテーブルとして使います。とても100年前のものとは思えない状態の良さで、存在感がありますね。
オープン10日前
ヴィンテージウェアだけではなく、雑貨も並びます。これらは主に花器で、もちろん売り物。最上段にあるのは1960年代の西ドイツで作られていた「Fat Lava(ファットラバ)」というヴィンテージの花器です。
まずセンターテーブルの位置を決めて、他は相談しながら配置を決めていきます。
照明の色味と向きを全員でチェック。通常照明で使われるのは、電球色、昼白色、昼光色の3つ。太陽の明るさに近いのが昼白色、細部まで確認しやすいのが青みがかった昼光色ですが、店内の雰囲気などを考えると暖かみと落ち着きのある電球色を多くのショップが採用しているようです。ロアートでも電球色をチョイス。ヴィンテージの色合いをちゃんと確認できるよう調光可能なLEDを使用して、照度を細かく調整します。
レジ付近は明るく調整を。店舗内でのメリハリは、什器配置だけではなく照明も重要なんですね。
オープン8日前
いよいよ服を搬入。各々にプライスタグを付けてから運び込みます。店内で作業をするとタグの貼り忘れや細かいクズの掃除などで作業量が増えるため、ロアートでは搬入する前に取り付けているそうです。
内装がだいぶ出来上がってきましたが、これでもまだ7割ほど。
商品を並べる時に気をつけることは、まず適量かどうか。次はヴィンテージの年代やサイズ、デザインのバラエティーとバランス。同時に、商品の状態も再度チェックしていきます。
ここで気になるのが値付け。十倍さんはセレクトヴィンテージショップ「グリモワール」の運営を通じて蓄積してきた知識やデータなどを参照しながら価格を決めているそうです。ポイントは、下代ベース(仕入れ値)ではなく、いくらで店頭で売るべきかの上代ベースということ。その基準となるのが年代です。レギュラー(現代〜1980年代までの物)、ヴィンテージ(1940〜70年代)、アンティーク(1920〜30年代)と、元々の年代が古いほど価格が上がります。次にデザイン、サイズ、そして素材と状態を見極め、商品の価値を総合的に判断するそう。ただしアンティークなど年代物に関しては、仕入れ値が反映されることもあるとか。
試着室のドア。雰囲気がありますね。
フラワーアーティストのtsukiさんが、店内の植物の状態を確認してメンテナンス。
金額が書かれたシールが商品に貼られています。これは、値付けとプライスタグの金額が合っているかを再点検するため。一点一点、細部までチェックしていきます。
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